三千界のアバター

ラ・ベルメール ~再び出張出店の一日!~

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~津久見 弥恵のステージ~

 ――正午を過ぎた広場は、より多くの人手で賑わいを見せ始める。
ステージでは本日二組目のパフォーマンス参加者津久見 弥恵がステージ準備を始めているところだった。
(皆を照らしてこそ、私は輝く。そんな自分になれるように)
弥恵にとっての舞台の価値、それは”魅せる”ことだ。観客の心を捉え、一体となってひとつの世界を創りあげる。
(つねに自分に自信を持って……誇れるように)
【パワーオブラブ】の力強い歌声が広場に響き渡ると、パフォーマンスを待ちわびていた観客達が集結し始めた。
「おっ、次のステージの時間か」
「綺麗な声ね……」
歌声に引き寄せられた観客の気が反れぬ内に、弥恵はくるりと前転宙返りでステージへ登場する。
【ムーンライトドレス】は、しなやかな弥恵の四肢を強調させる衣装だ。大胆なデザインでありながら、細部の繊細な刺繍が。
「天爛乙女の参上です。魅惑の舞台へようこそ♪」
加えて【お化粧と小道具セット】によるメイクと、胸元の【月光のペンダント】、【陽月の花飾り】の煌きが、彼女の凛とした外見に華を添えていた。まさにステージ上の乙女に相応しい姿である。
弥恵の挨拶に、指笛と歓迎の拍手が巻き起こった。
【オンステージ】で歌姫としての風格を纏った弥恵は、パワーオブラブの歌声で広場を震わせる。
”この瞬間に酔いしれ
華やかな世界に見惚れなさい
この光に満ちた場所は
特別な場所なんかじゃない
誰もが来れる場所
貴方も輝かしい”
 旋律を、弥恵の表情は多彩に変化する。
(私がステージと皆さんを引っ張って行きます……!)
表現豊かな歌と共に、鍛え上げた体躯で艶やかに舞う。一つひとつの動作を魅せつつ、観客を巻き込んでいった。自然と手拍子が零れ始め、注目が一心に弥恵へと集まる。
弥恵に内なる輝きを引き出された観客達は、音楽に任せて思い思いにリズムを刻んだ。ある者は靴を踏み鳴らし、ある者は手を叩いて体を揺らしながら。
弥恵は観客の反応に手ごたえを感じ、よりいっそう【華麗なる円舞】を加速させる。ステップを踏む度に歓声が上がり、盛り上がりが最高に達した時、弥恵は大胆な行動へ出た。ステージを囲む観客の輪の中へ、自ら飛び込んでいったのである。
(さあ、皆で舞いましょう。この煌びやかな世界で)
華麗な旋律に乗せて。観客をひとときの夢に誘うように。
「わあっ」
「すごい……!」
ステージを降り、広場の人波をかき分けながら自由自在に移動する弥恵。人々は声を上げて歓迎し、見惚れ、時には体を揺らして一緒に踊った。
”その胸の鼓動は
生まれた誰もが持つ二拍子
両脚が刻むドラム
我慢できない体が生むダンス
望むままに身を任せ踊って楽しめ
貴方もきっと輝かしい”
踊り手として優雅に舞うだけでない。弥恵は【魅惑の舞】により、存分に女性らしい妖艶さを演出するのも忘れなかった。
異性だけでなく、同性までも惹きつける目配せ、仕草、透き通る笑顔――。
長い手脚を存分に酷使して、舞手としての技量を余す所なく発揮。人々を魅了し続けたのである。
 やがて、曲も終盤へ差し掛かった。人々の熱狂を受け止めて、弥恵は再び舞台上に戻っていく。観衆に惜しまれつつ、彼女の舞台は幕を閉じたのだった。
手を広げて挨拶をし、ステージ上から観客の顔を見つめる弥恵は、充足感と感動で満たされていた。
 それは、彼女が目指していた光景がそこに拡がっていたから。
輝く一時を共有した弥恵と観客達の間に、確かな絆が生まれたのである。

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