三千界のアバター

ラ・ベルメール ~再び出張出店の一日!~

リアクション公開中!

ラ・ベルメール ~再び出張出店の一日!~
リアクション
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last


~砂月 秋良の一日~

「あ、もしかしてー……秋良さん!」
「ええ。またお会いできましたね、レノさん」
レノは近づいてくる砂月 秋良に気がつき、ぶんぶん手を振った。秋良との対面は今回で四度目。店の主人と客の関係を越えた縁があり、レノも秋良には友情を感じている。その為、久しぶりの再会でも彼女の姿がすぐ分かったのだ。
「訪れる機会があったので、お店に立ち寄って見たんです。レノさんにお会いしたいと思っていましたから。後は、お食事をしたいのでレノさんのオススメをお願いできますか?」
「わぁ、嬉しいですー。わたしもお会いできたらって思っていたんですよー。ええ、勿論ですー! ご用意しますねー♪」
レノを待つ間、秋良は休日の賑わいを肌で感じつつ、飲食スペースの様子を見守っていた。すると、接客に励むアーライルの女性の姿を見つけたのである。
前回の訪問で、レノが一人で出店を切り盛りしていた(手伝いの特異者はいたが店の関係者はいなかった)事を秋良は覚えている。なんとなく気になってじっと見つめていると。
「お待たせしましたー。どうぞ召し上がって下さいー」
トレイに秋良専用メニューを載せたレノが戻ってきた。
「良い香りですね。今回は、スープですか?」
「はい、深めの紙皿が安く仕入れられたのでー。秋良さんには新しい料理を食べて貰いたかったのですよー」
「ふふ、嬉しいです。ケーキのフルーツが宝石みたいで綺麗ですね」
「ありがとうございますー」
 レノは、メイン料理に魚介のスープとフランスパンを。デザートはさっぱりした後味の生クリームと、ナパージュでコーティングしたフルーツケーキだ。
「そういえば、レノさんのお友達はあちらのアーライルの方ですか?」
「それが、あの方は臨時アルバイトの方なのですよー」
秋良が気になっていた事を質問すると、レノは苦笑混じりに答えた。普段は店で勤務している友人なのだが、イベントになるとフラフラ遊びに出てしまうらしい。
「そうだったんですか。お仕事も大変でしょうから、つい気になってしまって。私がなにかしようとするまでもないんでしょうけど。レノさんは強い人ですから」
「そんなこと全然ないですよー。秋良さんは、いつもお話相手になってくださいますからー」
レノにとって、店に訪ねてくれる秋良は貴重な存在だ。まして、何度も顔を出してくれるとなれば、店主としても心の支えになっているのだ。



 ――オープニングステージが始まる。食事を堪能した秋良は一旦レノの元を離れたが、やや時間を置いた後に、再び戻ってきた。
「秋良さん、また様子を見に来てくださったんですかー?」
「はい。お渡ししたい物があったので」
 秋良はバザーの出店を回り、レノに渡す土産を探していたのだ。レノは普段、店に閉じ籠もる生活を送っている。イベントも見て回る余裕は無い。秋良は、せめてレノに今日の記念を贈りたかったのだ。
「ねぇ、レノさん、ラ・ベルメールを開いてくれて……私と出会ってくれてありがとう」
「……秋良さん……」 
秋良が渡した小箱の中には、レノをイメージした色ガラス細工の小物入れが入っていた。決して主張することなく、あくまでもさり気なく。秋良の想いは、レノの掌に載せられている。
レノは瞳を喜びで潤ませ、ぎゅっと小箱を抱きしめていた。
秋良はそれ以上は語らず、最後に心からの微笑みをレノに返して、その場を立ち去っていった。

First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11  Next Last