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ラ・ベルメール ~再び出張出店の一日!~

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ラ・ベルメール ~再び出張出店の一日!~
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~数多彩 茉由良、アシュトリィ・エィラスシード、カラビンカ・ギーターの一日~

「席も……空いているようですし……また、よって いきませんか?」
数多彩 茉由良が同行のアシュトリィ・エィラスシードカラビンカ・ギーターに問いかけると、二人もこくりと頷き、ラ・ベルメールの出店の前で足を止めた。
「丁度、御昼時でございますし……良いと思うのでございますわ」
以前にもラ・ベルメールに訪れた事がある三人。
今回も久しぶりのカラビンカの里帰りだ。偶然とはいえ、ラクスを訪れたタイミングで出店があるというのも、何かの縁を感じると言うもの。
「あの二人も、来れば良かったのに……とは思いますわ」
アシュトリィは、同行できなかった二人の事を思い浮かべ、ほんの少しだけ残念だと感じた。
とはいえ、人数が揃わなくても折角の機会を楽しまなければ勿体無い。気持ちを切り替え、三人はレノのもとへ足を運んだ。
「いらっしゃいませー! あっ、皆さん……お久しぶりですねー」
「お久しぶり、です……。お変わりはありませんか……?」
茉由良たちの顔を見つけると、レノは嬉しそうにはにかんだ。
やはり、顔見知りのお客様がリピーターとして来店してくれるのは店の主人として嬉しいものだ。
「今日は三名様ですねー。ご不在のお二人は、お元気にしていらっしゃいますかー?」
「ええ、偶々本日は来られなかったけれど……このお店の事を聞いたら、悔しがると思いますわ……」
「とってもおいしそうにご飯を食べて下さいましたからー。また遊びに来ていただけると嬉しいですー」
アシュトリィの言葉を聞いたレノも、彼女の姿を思い浮かべて懐かしそうに目を細めた。なにせ、店の料理を片っ端から平らげるほど、ラ・ベルメールの味を気に入ってくれていたのだから。レノにとっても誇らしく、店主冥利に尽きることだ。
「では、テーブルにご案内しますー。ごゆっくりなさってくださいー」
立ち話もなんなので、レノは三人をテーブルに通し、早速メニューの用意に取り掛かる事にしたのだった。



「最近、コルリス王国の治安も安定して来ていますし……付き添いがわたくしだけでも問題ないのは良いですけれど……」
「そうですね……旅の道中は、……とくにそう感じました」
アシュトリィと茉由良がアルテラの内情について語り合っていると、トレイに軽食のスープの紙皿とサンドイッチ、魚のフライなどを乗せたレノがテーブルへ戻ってきた。
「ええと、茉由良さんはココアで、アシュトリィさんとカラビンカさんはコフィアで宜しかったですかー?」
「ココア……淹れていただけるのですか?」
「勿論ですー。折角来てくださったので、お好きな物を飲んでいただけたほうが嬉しいですしー」
香り高い名物のコフィアと、甘く温かい味が心を和ませるココア。カフェとしては自慢のコフィアを出す事は多いが、やはりお店を贔屓にしてくれている茉由良の希望が最優先である。
レノは三人の前に料理とカップを並べ、暫しの間雑談に混じる事にした。
少なくとも、レノがこうして出張出店をしていたり、バザーやイベント事が催されている以上は平穏である事が見て取れる。
レノも普段は、変わらずカフェの店舗で営業を続けているようだ。
茉由良は淹れたてのココアに口をつけ、行き交う人々の様子や観光客の楽しそうな笑顔を見つめる。その隣で、アシュトリィはスープに舌鼓を打っていた。
「前回のスコーンも美味しくいただきましたけれど……このスープも口当たりが良くて、とても気に入りましたわ」
「本当ですかー。そう言っていただけると、お出しした甲斐がありましたー」
アシュトリィに新作のスープを褒められ、レノもホッと胸を撫で下ろす。
「食後には是非、デザートのケーキをお願いしたいものですわ」
「そう……ですね。この前いただいた、フルーツケーキは……見た目も味も上品、でした……」
「わっ、本当ですかー。お気に召していただけたなら、すぐお持ちしますー!」
 馴染みのお客様であるアシュトリィと茉由良から自分の店のメニューを求められるのは名誉な事だ。
三人の食事が終わる頃合に、レノはいそいそとケーキをテーブルに運んできた。
「レノさんは……普段は、何を生業になさっているのでしょう? あとは、お仕事がお休みの日はどんな風にお過ごしか気になったのですが、お尋ねしても宜しいですか?」
カラビンカは、この機会に気になっていた事をレノに問いかけてみた。
「あっ、わたしはですねー。普段はラクスの隅っこで小さなカフェをしていますよー。出店が無いときは、そこで営業させていただいているのですー」
レノは、バザー出店が無い時は店舗で通常営業をしている。纏まった休日は取れないが、稀に休みを取ると歌の練習をしているようだ。
「では、店舗ではこことは違うお料理も愉しむ事が出来そうですね」
「はいー。もしまたカラビンカさんが帰省されるときは、店舗の方にもいらしてくださいねー。それと、何かの機会があれば歌を教えて下さると……その、嬉しいですー」
「わたくしの唄で宜しければ、機会がありましたら是非……」
アーライルではあるものの、レノは歌唱練習はさぼり気味だ。ラ・ベルメールではステージパフォーマンスも行うが、店主がステージに立たないのは性格だけの問題ではなく、唄に自信が無いせいである。その点、カラビンカはラクスの唄姫の名を持つ少女。彼女ほど師に相応しい者はいないだろう。



 ――人数はいつものメンバーではなかったものの、それを忘れるくらいラクスの広場は賑々しく、またレノと三人の絆も変わってはいなかった。
温かな雰囲気を感じつつ、食事と休息を満喫した茉由良たちが席を立つと、
「あっ、皆さん、どうぞお土産を持って帰ってくださいー」
「レノさん……これは、あの時のクッキー……ですか?」
レノが茉由良に手渡したのは、前回の訪問時にも、レノが茉由良たちにお土産にと渡したものだ。
「はいー、来られなかったお二人の分もありますのでー」
「それはきっと、あの二人も喜ぶと思いますわ。ありがとうございます」
「こちらこそー。またお会いできて楽しかったですー」
料理とケーキは食べられなかったが、このお土産を渡せば不在の二人も笑顔になってくれるだろう。アシュトリィは二人の喜ぶ顔を思い浮かべ、レノに礼を述べた。
「また……こうやって、お料理とケーキを……皆で食べたいものです……」
「はい! いつでもお待ちしておりますよー」

――次の機会がいつになるかは未定だが、レノと茉由良たちの紡いだ縁が切れない限り、きっと再会することができるだろう。

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