ワールドホライゾンのクリスマス
ショッピングモール
「ここでなら、クリスマスプレゼントも見つかりそうだね」
ワールドホライゾン郊外にあるショッピングモールへとやってきて、
月路 ミラが妻の
月路 鴇に言いました。確かに、ここでならなんでもありそうです。
「うん。何がいいかなあ」
仲良く手を繋ぎながら、月路鴇と月路ミラはショッピングモールの中へと入っていきました。
巨大な建物の中には、様々な店が並んでいます。
「思ったよりも、人が多いなあ」
「クリスマスですものね」
親子連れや、カップルの人波に、二人がいっそうしっかりと手を握りしめます。はぐれたくないと、無意識に力が入ってしまっているようです。
「洋服かあ。ちょっと見てみようか」
ブティックを見つけた月路ミラが、ちょっとぎこちない様子で店に入っていきました。
店内には、様々な洋服が、ハンガーに掛けられています。
「うーん、これなんかどうかな。ちょっとモデルになってくれる?」
そう言うと、月路ミラが、自分が探してきた洋服を月路鴇の身体に当てて様子を見ました。
「うん、なかなかよさそうだ」
明るい白に、所々赤や青の色が入ったニットのロングワンピースは、なかなかに月路鴇に似合います。
「これじゃ、少し大きくない?」
プレゼントなのに、私でサイズを確かめてどうするのかと、月路鴇が聞き返しました。
「ええっと……」
月路ミラ、誤魔化すのがへたです。これでは、明後日に近づいた月路鴇の誕生プレゼントだということが、誰の目にも明らかではありませんか。
「そうかもな。じゃあ、別のに……」
月路ミラが、持っていた服を棚に戻そうとしました。誕生日は明後日ですから、後でこっそり買えばいいのです。
ところが、月路ミラが棚に戻した服を、すぐに月路鴇が取り出して、そのままレジへと持っていったのです。
「あれ? 鴇?」
予想外の展開に、月路ミラが月路鴇を呼び止めようとします。
「はい、早く払って」
急かされて、そのまま月路ミラが支払いをすませました。
「どうしたんだい?」
ワンピースの入ったつつみをかかえて、月路ミラが月路鴇に訊ねました。
「だって、明後日買いに来るのも、今日買うのも同じでしょう」
その言葉に、やっぱり妻に隠しごとはできないなと再認識する月路ミラでした。
「じゃあ、はいっ」
そう言って、月路鴇が両手をさし出します。早くプレゼントをちょうだいのアピールです。
「えっ、でも誕生日は明後日じゃ……」
「今日がいいの!」
なぜだか、強く月路鴇が言います。
月路ミラに教えてある誕生日は確かに明後日です。実は、その日は、月路鴇が始めてワールドホライゾンへやってきた日なのでした。ですから、その日を新しい自分自身が誕生した日として、月路鴇は決めていたのです。
そして、本当の誕生日は、今日なのでした。ですから、今日ほしいのです。
月路鴇の様子に、月路ミラも、誕生日は今日なのではないのかとうすうす気づきます。けれども、まだ、その理由までは分かっていませんでしたが。
「誕生日おめでとう。それは俺からのプレゼント」
改めて、月路ミラが月路鴇に誕生プレゼントを渡しました。
「ありがとう♪」
本当に嬉しそうに、月路鴇が受け取ります。
お返しは、感謝のキスです。
不意打ちに、月路ミラの思考は停止です。
「さあ、クリスマスプレゼントを探さないとね」
そう言って悪戯っぽく笑うと、月路鴇は店の外へと駆け出していきました。
改めて、クリスマスプレゼントを探します。
ブティックの隣の店で、月路鴇は、コンパクトとリップがセットになったポーチを選びました。これならば、喜んでくれそうです。
月路ミラの方は、万年筆を選びました。
あの二人は喜んでくれるでしょうか。
「もう少し、色々見ようか?」
「うーん、そうする?」
せっかくの二人っきりです。も一度手を繋ぎなおすと、月路ミラと月路鴇は揃って歩き始めました。