プロローグ
黒須三太は集まってくれた面々に頭を下げた。
「俺の失態ですまない! どうにか頼む! 子供達が待ってるんだ!」
サンタクロースになろうとして、結果的に大勢に迷惑をかけることになった三太。
しかし、集まってくれた冒険者は優しく声をかける。
「気にすんな。俺もこの世界にクリスマスを作るのは賛成だ。騒げるイベントはいくらあってもいい」
「そうですよ。私たちも協力しますから、声をかけてくれたらよかったのに」
「みんな……」
三太は感涙してぎゅっと拳を握りしめた。
「俺はこの世界に来たばかりで、できるのもハーピーからプレゼントを奪還するところしかない……道を切り開くのはみんな任せになるが、よろしく頼む」
各々頷き、三太の肩を叩いて歩いていく。
(いい人ばかりでよかった……!)
三太は喜びを噛み締めて、冒険者たちの後に続いた。