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遊ぶ人形、叫ぶ幽霊

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遊ぶ人形、叫ぶ幽霊
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廃墟のガゼボで捕まえて(【1】ガゼボAで人形退治)


 川上 一夫は、人形を倒さなくては、本命の幽霊にダメージが通らないことを理解した。戦闘は苦手だが役に立ちたい。その気持ちが彼をガゼボに向かわせたのであった。実際、一夫は戦闘に「苦手意識」はあるかもしれないが、冒険者のレベルとしては申し分ない。できることで貢献できれば十分だろう。

 葵 司は、人形がすばしっこく走り回るという情報を得て準備をしていた。一見面倒ではあるが、どこに逃げ隠れするかわかっていれば、シーフからしたらむしろカモなのだ。

 作戦は立った。一行は、走り回る人形が出ると言うガゼボに向かった。


「あれが、例の人形でしょうか」

 ガゼボに到着し、早速一夫が件の人形を発見した。人形は見つかったことに気付くと、脱兎のごとく駆け回る。地の利は向こうにあるが、それを崩すために動いたのが一夫だった。
 
 魔力活性薬を服用した彼の魔法は、レベルがワンランク上がる。相手の自衛能力を上回る、あるいは更に引き離すことができるだろう。その強化した力で、クエイクを発動させた。ガゼボ周辺に地震を起こし、足場を乱す。
 
 人形は隆起した足下に引っかかってこてん、と倒れた。しかし、すぐに起き上がり、魔法を撃ってくる。冒険者たちの防具レベルに対して、ものすごく上回ると言うわけでもなく、一度につきどうやら一体しか狙って来られない攻撃は大した脅威ではなかった。
 
 司の同行者であるノーネーム・ノーフェイスは念のための回復役を担っていたが、彼女一人では回復が足りない! と言う状況には陥りそうにない。
 
 七種 薺は吹雪の書を開いてファイアーボールを放っていた。吹雪の書でファイアーボール……? と、首を傾げられそうな物だが、初期レベルの魔法攻撃を使うことで、敢えて「舐められる」のが彼女の狙いだ。弱く見せることが肝要。これで、薺を警戒対象から外してくれれば御の字だ。
 
 コーディとバーサも攻撃に加わり、数の圧を感じた人形は逃げ出した。そこで、司が地面を蹴る。追っ手が掛かったことを察して、人形は駆け回る。その逃走ルート、行動パターンを見極めると、司はマッドダイバーで土の中に潜り込んだ。
 それとバトンタッチするように、ノーフェイスがぴったりと貼り付いた。追いかけてくるのが別人になったことに、人形は気付いているのか、気付いていたとして、それを不審に思っているか。
 
 仮に思っていたとしても、潜伏した司が撒いたバードライムトラップに足を取られては、混乱することだろう。
 
 茂みに逃げ込むこともある。それを見ていた司は、草むらの中にとりもちを仕掛けていたのだ。人形はトラップから足を引っぺがして再び走ろうとするが、突然、周りの植物が動き出した。人形を縛り上げる。こちらは一夫の、プラントバインドだ。人形よりもレベルが高く、簡単に引きちぎることも難しい。
 
「今です、皆様」

 一夫の合図で、魔力活性薬を飲んだ薺がサンダーボルトを放った。雷の発生は、氷の粒が静電気を起こすところから始まる。属性的に、恩恵は受けられないが、吹雪の書から雷を起こすというのも理に適っている。
 
 落雷が炸裂した。それは身動きのとれない人形を正確に貫く。アクセラレートの俊足で、一夫がまさに電撃の様に迫った。脱サラ鍛冶師は、強化したルツェルンを思いっきり振るい、人形を打つ。相手は一夫に向かってスパークルボムを発動し、少しだけ彼を後ろへ追いやった。
 
 まだ倒れていない相手を前に、一夫は天技「無限大の愛」を周囲に分け与える。武器のレベルを無限大にしたのだ。人形はまだプランツバインドに囚われている。
 
 冒険者たちは一気に畳みかけ、人形を撃破したのであった。

 戦闘終了後、少し受けてしまっているダメージは、ノーフェイスが回復した。
 
「他の皆はどうかね」

 彼女は屋敷と、反対側のガゼボの方角を見るのだった。
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