クリエイティブRPG

勇者候補は伊達じゃないってところを見せてくれ!

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勇者候補は伊達じゃないってところを見せてくれ!
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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●救出作戦

 港町はコボルトの集団によって攻め込まれていた。群れを成したコボルトたちは人々にとっては脅威であった。
 建物だけでなく、市場の荷台に乗っていた食料品を棍棒で叩き割っていくコボルトたちは、奇声を発しながらなだれ込んでくる。
 師走 ふわりが、アリーセ・クライトと共にジルバの元へと駆けつけてきた。
 ジルバがふわりたちに気付き、振り返った。ふわりは非常時でも冷静だ。何を優先すべきか分かっていた。
「避難先の隣町まではどれくらいかかりますか?」
「徒歩で一時間ですが、怪我をしている人たちもいますから救出することも踏まえると三時間はかかると思います」
 ジルバが応えると、アリーセがふわりと目配せしながら告げた。
「逃げ遅れた人々もいるはずですから、わたくしはその人たちを優先して探索してみますわ。場合によってはチェーンウィップで引っかけて助け出すつもりでいますが、よろしいでしょうか? もしかしたら建物に閉じ込められている人たちもいる可能性もありますから、扉を開けて助け出すこともできます」
 アリーセは人々の意に反するようなことはしたくなかったのか、ジルバにそう言った。
「それは助かります。緊急事態ですから、チェーンウィップを使ったり、扉を破壊するのは大丈夫です。よろしくお願いします!」
 ジルバは感心したように、そう応えた。
 
 
 手分けして、人々を避難させることになった。
 ふわりはジルバと協力して人々を避難誘導するため、隣町へと移動するように促していく。
 怪我人を見つけたふわりはダブルヒールLV5を使い、三人ずつ回復していくことにした。足取りが重かった怪我人たちは、ふわりの施したダブルヒールLV5によって回復すると、自ら歩き出して避難できるようになっていた。
「おばあさん、私が背負いますから安心してください」
 ふわりのダブルヒールLV5で怪我を回復することはできても、徒歩で移動する速さには個人差がある。
「僕の馬に乗ってください」
 ジルバは、ふわりが背負っていた女性を抱えて自分の馬の背に乗せて、隣町へと目指して移動していく。
「ありがとうございます。ジルバさん、まだ怪我人がいますから、私は回復に専念しますね」
 怪我人を回復させていくうちに魔力も尽きていた。
 ふわりが携帯していた魔力ポーションLV1を使い、魔力を回復して怪我人を見つけてはダブルヒールLV5を施して三人ずつ治癒していく。
「アリーセさん……」
 ふわりは信じていた。アリーセだからこそ、やり遂げてくれることを。
 
 
 
 アリーセは市場の建物が並ぶ屋根に登り、チェーンウィップLV5を駆使したワイヤードプレイLV7で足場を固定しながら、逃げ遅れた人々がいないか見渡していた。
 コボルトの集団が棍棒で建物を破壊していく様子が見えた。他の冒険者たちがコボルトたちを倒してくれたこともあり、建物は残っていたが、中から人々の声が聴こえてきた。助けを呼んでいることに気が付いたアリーセは素早く駆け寄り、ハイピッキングLV6を使って建物を破壊することなく、扉だけ開けることができた。
「皆様、助けに参りましたわ。すぐにここから逃げてくださいませ」
 アリーセが扉を開けてくれたこともあり、閉じ込められていた人々は外へと逃げ出すことができた。
「皆さん、こちらへ! 東へ向かってください!」
 ふわりが逃げ遅れた人々を誘導して、怪我人を見つけたらダブルヒールLV5を施していく。
 アリーセはチェーンウィップLV5を引っかけてワイヤードプレイLV7で足場を作ると、無人の魚屋の店へと登り、屋根の上に降りると自らを固定していく。
「……あれは……!?」
 泣いている五歳くらいの少年がいた。
 すぐさま駆けつけていくアリーセ……突然、姿を現したかのように見えたのか、少年はびっくりして倒れそうになった。
「驚かせてしまって申し訳ありませんわ。大丈夫ですから、安心してくださいませ」
 アリーセが優しく抱き留めて、少年を無事に助け出すことができた。
 その後も、ふわりとアリーセは見落としがないように港町中を隈なく探し回った。その結果、さらに逃げ遅れた五人を見つけ出すことができたこともあり、港町にいた人々を全員、隣町へと避難させることができた。
 
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