■いざ、ツーリング!
現代のザイトのよく晴れた午後、ネーヴィアのジュロッス。
「小世界とは言え、久々のガイアだな」
紅紫 司は青空を仰ぎながら解放感にワクワクと胸を高鳴らせた後、
「さて、今日は離れている間に磨いた操縦技術を発揮と行くかな」
傍らの旧来の蒸気機関を搭載したバイクのマシンギアライドをちらり。
「メンテも万全か。後は給水してエンジンを温めたところで出発だ」
メンテナンスも当然万端だ。火のギアストーンが石炭代わり故に必要な水の補給も済ませてから、マシンギアライドにまたがりツーリングに出発だ。
「気ままに走るとするか」
『操縦技術(ガイア)』を活かして、目的地のない自由なひとときを過ごすべくマシンギアライドを走らせた。遭難防止に『位置把握』も忘れずに。
ツーリングの様子はと言うと、
「折角だから風景写真や珍しいものの写真でも撮るとするか」
巡った場所をマゼンタのカメラでバッチリと撮影して行った。
「のどかだな」
ネーヴィアの南方の村『エストア』の田園風景。
「どこを見ても花ばかり、さすが花の街と言った所か」
ベジィザの南方の街『フローリアン』に溢れる色彩豊かな珍しい花々。
「向こうにある島がヨウドゥか」
『ジャイロランサー・改式』のギア・カスタマイズ能力で崖下から滑空しながら、海と青々と茂る大地と向こうに見えるザイト最北の島をパシャリ。
「これは賑やかだな」
ミュージの首都のシンフォアに佇むいくつもの劇場と路上パフォーマー。
「あれが時計塔か……近くを飛んでいるのが飛行船ホテルとかいう……」
高台からジャイロランサー・改式の能力で飛行しながら、ジュロッスにおいてすぐに目につく時計塔と優雅に空を泳ぐ飛行船ホテル。
「丁度、夕焼けに染まってなかなかいい景色じゃないか」
時間も夕暮れ時でオレンジ色が世界を包み込み、何とも美しく自然とシャッターを切る。
「さて、そろそろ引き返そうか。勝手のわからん世界でギアを持っているとはいえ、夜にうろつくもんじゃないからな」
撮影を終えた司は、身の安全を考え引き返す事にした。
ザイトから戻るなり現像に出し、
「なかなか悪くないな」
司も納得の物ばかりであった。
「ついでに焼き増ししたのを庁舎に渡すか。この期に及んで目新しいものは無いかもしれんが一応、な」
念のためにと焼き増ししたものを報告代わりにホライゾン庁に提出し、確認した者達の心を和ませた。