■畑を守れ!
よく晴れたマグメルの西部共和国の昼空の下、
「……ここがイーヴィのギルドか」
街を訪れた
ジェノ・サリスが探し歩き辿り着いたのは、ギルド。
「ようこそ、我がギルドへ! どんな依頼をお望みですか」
中に入るとギルド職員であるエルフの青年が歓迎してくれた。
「……イーヴィの郊外には大きな畑があるらしいな」
ジェノが含みを持たせながら言うと、
「えぇ、ありますよ。害獣駆除の依頼が」
職員は察して求めていた依頼を紹介してくれた。
「ではその依頼を引き受けよう」
ジェノは依頼を引き受けて畑へ向かった。
畑に到着し依頼主と挨拶を交わした後、
「詳しい事情を教えてくれ」
ジェノは改めて詳細を求めた。
「依頼した通り普通の獣や魔物が畑を滅茶苦茶にして……収穫間近なので、是非お願いします」
依頼主であるドワーフの男性が困り顔で、詳細を伝えた。
「まずは仕掛けを設置するとしよう」
トリモチ的な罠である『バードライムトラップLV3』を仕掛け、何かが引っかかるのを待つ事に。
しばらくして、畑を荒らすものが次々と現れ、ジェノはその度に『モンスター知識LV1』を利用してそれぞれ適切な対応を行った。
「……鹿か。肉や皮の需要があれば提供するが?」
鹿が仕掛けに嵌まった際は依頼主に確認してから、
「あぁ、頼むよ」
速やかに対応した。
次に嵌まったのは猪だが、
「あの向こう傷は俺の友達の畑を荒らした奴だ! 結構凶暴で手が付けられねぇんだ」
依頼主の言葉通り面構えがふてぶてしく、暴れた末に罠から逃げた。
「そのようだな」
ジェノはリングオブスピードLV3の力を使って加速し、
「悪いがここまでだ」
グレートソードから繰り出す『スマッシュLV1』で大振りによる叩き潰しで仕留めていった。
「兄ちゃん、ありがとうな。友達も安心するぜ」
依頼主は胸を撫で下ろした。
畑を荒らしに来るのは普通の獣や虫だけでなく、
「……熊……いやあれは魔物だな」
時折魔物の姿もあったが、ジェノはグレートソードを振るって、対応した。
こうして次々と害獣や害虫を駆除し、
「兄ちゃん、助かったよ! 報酬とは別に俺の畑で育てた野菜も持って行け」
ひと段落がついた所で依頼を切り上げ、依頼主から礼にと新鮮な野菜を貰ってから、畑を後にした。
帰りの道々、
「やはり、最初は地道に依頼を受けるに限るな……新鮮で美味しい」
ジェノは達成感に満たされつつ、トマトをひと齧りした。