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混沌の獣を討伐せよ!

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混沌の獣を討伐せよ!
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街の郊外から轟音が轟く。
ゆっくりと、しかし確実に近づいてくる。
黒く焦げた地面と砕けた大地を残しながら、やってくる。

獣の形をした『ラクシャス』が、人の形をした『ヤクシャ』を守るように隊列を組んでいる。
隊列の中心で一匹のラクシャスの背上から、ヤクシャは己の目指す街を見ていた。
何故そこを狙うかは分かっていない。
しかしこのままでは甚大な被害が及ぶだろう。
腕に覚えるある者が、治療師が、魔術師が、技工士がいても、滅亡因子の汚染に沈むだろう。
無力な街人を守れるのは、特別な力ある特異者達だ。

「敵の進行は止まってない、このままじゃ、街に辿り着いちゃう!!」

『扶翼の衣』で上空を飛ぶ小白 紫炎が叫ぶ。
黒い瞳には少しの焦り、このままでは街が危険だという予測。
その声に、地上にいる者達は武器を構える。
臨戦態勢、これ以上は進ませないという使命感と緊張感。
考えることは違えど、やること、目指すものは同じだ。

「それー。
 皆様をーちぇすとご支援するのですよーみんなー」

取間 小鈴がその場に障壁を展開する。
彼女の武器であるカブトムシ型のドローンが即座に飛び立ち、敵を包囲する。
『フォーキャスト』の情報収集と同時に、『コスモスバイザーグラス』での計測も開始される。
敵のことは勿論、地形や浸食度合いも戦闘には大きく関わるだろう。

「さてっと……配信開始よ!」

そう宣言して駆け出すのはヒルデガルド・ガードナー
コスモス機関から借りた撮影用のドローンをで配信を開始。
ウィンクを決め、白金の髪を躍らせながら先頭のラクシャスに向かう。
それを追うのは島田中 圭二だ。
シックナースのエマージェンシートリートを展開させ、ハイアリングタクトが調整した『ソードオフパニッシャー30CA』が火を噴く。

「前に出過ぎると危険だぞ!」
「敵は真っすぐ街を目指しています……!
 横が、空いています……!そちらから!!」

島田中の警戒の声と同時に、プリメア・イルミネイティの指示が飛ぶ。
『タクトレポートⅡ』での全体把握の結果だろう。
敵は目指す先しか見ていない、そんな解析結果だったと推測される。
その指示に、ガードナーはラクシャスの横へ回り込むように走る。
気を逸らさせるように、島田中の銃撃が放たれる。

そこで、敵が特異者を捉えた。
ヤクシャが悲鳴のような声を響かせ、ラクシャスが呼応するように咆哮する。
声に特異者達は身構える。
咆哮と共に、ラクシャスが足に力を込めた。

一瞬の間に、飛び込んできたのは弾丸のような速度の黒い塊だった。

一番近かったガードナーの横を通り抜け、そのまま直進していく。
通り抜けたのは鋭くも、強い突風だけだ。
飛び込んできたラクシャスが後ろにいるのをみる。
直撃していたらひとたまりもなかっただろう。
その証拠に、背後にあった大岩が砕けて崩落した。
岩にぶつかったラクシャスは無傷なのか、再び前線の二人へ顔を向けている。

「マジかよ……」
「あっぶなぁい……」

最前線を走っていた二人の呟き。
直撃しなかったことに安堵する反面、嫌な汗が伝う。
一撃でも貰ってはいけない、そう察する。
まだ戦いは始まったばかりなのだ。

複数のラクシャスが突進してくる。
ほんの少しタイミングがズレたそれは、前線にいる二人だけではなくドローンなども狙っていた。
幸い対空手段ではない為か、撃墜させられるものはない。
それでも大地を割り、岩を砕いていく。
波状攻撃の様に連続して飛び込んでくるラクシャスに、たまらず特異者達は下がる。
このままでは前線が下がり、この場を突破されてしまうだろう。

「前線へは、行きたいくないのです……」

後方、それを見ていた川上 一夫は己の眼鏡を正しながら、『KK砲改』を構えていた。
どうにかして止めなくてはならない、しかし前線へ行くのも難しい。
そして放たれたのが『パワーアウトプットブースター』と、『パワージェネレーター』で強化された『バーニングディスインフェクト』だ。
焼夷弾として放ったそれは、敵の群れの中へ的確に落とされた。
燃え広がる炎は敵を焼き、隊列を乱させていく。
その隙を、特異者達は見逃さない。

島田中とガードナーが接敵する。
『ソニックスラッシュ』を使いながら島田中は距離を保ち、『スウィフテッドアクセル』でガードナーは己を疾風と化す。
一撃では大きなラクシャスは倒れない、それでも攻撃を繰り返す。
確実にダメージを蓄積させていく為にも。
燃え、浸食され、斬りつけられたラクシャスが苦悶の声を上げた。
もう少しで最初の一匹が倒れる。

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