■ほっこりお茶会
晴れた午前を演出されたワールドホライゾン。
「今日はお家でお疲れ様会をしましょう(アイドル活動のドレッド・カルチャー騒動も一息つき、ツアーも完走しましたし、一区切りにいいでしょうし)」
自宅にいる
藍屋 あみかは過ぎた忙しさを脳裏に浮かべ、安堵と共に
藍屋 むくに本日の予定を伝えた。
途端、
「うん、みんなといっしょにしよー! アイドルかつどうお疲れさま会! ね? ファーブラ、アーレア」
楽しさ弾けるむくは、小さな鳥の翼を持つ子犬姿の神獣のファーブラと猫の【フレンド】アーレアを巻き込んでぴょこんぴょこんとはしゃぐ。
そんな微笑ましい光景を横目にあみかは、
「よく育ちましたね」
自身が育てた『あみかの幻想花』を窓辺に置いた。
「むくもー」
気付いたむくは、『むくの幻想花』の鉢植えを『あみかの幻想花』の隣にちょこんと置いた。
「元気に育ちましたね(この子たちのように私たちも成長できたでしょうか)」
むくに微笑みかけながら、これまでを振り返るあみか。
しんみりした後、
「さあ、お茶会の準備をしましょうか」
「白白もちふわをつくるよー」
あみかがお茶会セットでテーブルや椅子やお菓子を整え、むくは『メイクスイーツ』で、白いもちふわともちふわマシュマロを作ったりとお茶会の準備を始めた。
しばらくして、準備は整いお茶会が始まった。
「……美味しいですね(そういえばホライゾンのお家で一緒にゆっくりは珍しいかも、私はアカデミーの大学部にも通っていますが、むくちゃんはイベント時の一休み程度ですし)」
あみかはそっとカップに口を付ける。味わうのは紅茶の風味だけでなく、大切な人と過ごすこのまったりとした優しい時間。
「うん! おいしくておむねがぽかぽかするのー」
むくは紅茶を飲んで、あみかに向かってにっこり。大好きなお姉ちゃんと一緒のお茶会は美味しい紅茶以上に胸の奥をほっこりとさせる。
「おねえちゃんがよういしたお菓子、おいしいよー」
むくは続いてあみかが用意したお菓子を頬張ってから、
「おねえちゃん、もちふわをどうぞー」
自分が作ったもちふわを全力で勧める。
「いただきますね」
あみかは、勧められるまま二種類のもちふわを味わう。
「……おねえちゃん(……もちふわも、おいしくできたみたい)」
もちふわの味が気になるのか、むくは手を止めてあみかが食べる様子を見守り、良さげな反応に安堵する。
「むくちゃん、美味しいですよ」
あみかはふと食べる手を止めて、にっこりと感想を伝えた。
「えへへ、ありがとう」
食べる姿だけでなく言葉として称賛を貰ったむくは、嬉しくてちょっぴり照れた。
「ファーブラもアーレアもありがとー」
二人の傍らにいた二匹が、むくの喜びに共感するように鳴いたりくっついたり。
そうして、まったりとしたお茶会は無事に終わり、
「予定もありませんし、お片付けはゆっくりしましょうか」
あみかは言葉通りゆっくりと片付けを始めた。
「むくも、おてつだいするよ!」
むくも元気一杯に片付けを手伝おうと加わった。
あみかとむくは、仲良くゆっくりとお茶会の片付けをした。
程なくして、
「おかたづけおわりー♪」
片付けは終わり、綺麗になった部屋を見てむくはにこにこ。
むくの様子をそっと盗み見るあみかの胸中は、
「お片付けは終わりましたが……(いつも真面目に気を張ってしまったり、私よりも考え込みがちなところがあるので……今日は……)」
心配とお姉さん心でいっぱいだ。
そこから導き出された行動は、
「それ!」
ベッドにころんと全力の脱力だ。のんびり好きな所を見せる所存だ。
「おねえちゃん(……のんびりモードになってる)」
あみかの突然の行動にちょっぴり驚くむく。
「むくちゃん」
あみかは、隣をぽんと叩いてまったりへ招こうとする。
「おねえちゃん、むくわかってるからね」
むくは分かっていた。あみかが皆とのライブを楽しんでいるものの、なかなか平和がこなくて無理をしている事やしてきた事、自分を気遣ってくれている事も。
「風邪ひきさんにならないように」
むくはいそいそとタオルケットを用意してから、
「むくもころ~ん♪」
のんびりしようと隣に寝転がった。
「むくちゃん、ありがとうございます」
あみかはタオルケットを持ってきてくれた事、言外に込められた思いやりに対してそっと礼を言った。
「うん、どういたしましてー」
むくはにこにこと返してから、
「ファーブラ、アーレア」
側に寄ってきた二匹を『よしよし』と優しく撫でるあみかを見て、
「……これで安心」
小さく呟いた。姉が休んだ所を見て安心したのだ。
「むくちゃん、何か言いましたか?」
呟きが小さくて聞こえなかったあみかは聞き返した。
「なぁにも!」
むくは元気一杯の笑顔で誤魔化し、
「ファーブラ、アーレア、いい子、いい子」
ファーブラとアーレアを『よしよし』と撫で回した。