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冒険者になりたい!

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第一章 父の苦悩

 一行は仕入れた荷物を順繰りに街へ運び入れ、新たに街で合流した川上 一夫と共に次の街へと出向く準備をしていた。
「お荷物はこちらで?」
「ああ。クレーエとライアー君が次の仕入先を聞いてくるそうだから、少し待っていてくれとのことだ」
「ふむ……では、今ならお話も伺えそうですな」
「……あー……」
 少しだけ視線をそらしたアードラーは一夫が何を言おうとしているのかをなんとなく理解したようで、少しだけ空を見上げる。
 内緒にしてほしいのだが、と一言告げたアードラーは妻が亡くなった話などを一夫に伝えた上で、ただ、娘のことで悩み続けるしか出来なくてと恥ずかしそうにしていた。
「いえ、その気持ちは私にもよくわかります。私も同じ、娘を持つ父親ですから」
「貴方もだったのか。……ならば、私が懸念するもう一つのこともわかるのではないかな?」
「ええ、ええ。わかります、わかりますとも……」
 一夫もアードラーも、父親だから分かる。
 娘というのは……いつか、何処かの男の花嫁となって自分の元から巣立つ。
 だからこそアードラーは余計に複雑な気持ちを抱えており、どうしたものか、と悩んでいるのだそうだ。
「ならば、花嫁の予行演習と考えては如何でしょうか?」
「む。……いや、だが、やはり危険がつきまとう。良いことばかりではないだろう?」
「ええ。ですが……」
 そう言うと一夫は懐から上級冒険者勲章を取り出すと、それをアードラーに見せつけて説得する。
 『娘の教育は、我々上級冒険者が教育し、お守りするから安心して欲しい』と。
 上級冒険者という立派な教師がついているのならば、妻のような無残な死を遂げることは少なくなるかもしれない。
 そう考えたアードラーは少しだけ考えて……帰ってきたライアーとクレーエの声に気づき、顔を上げる。

 彼等が次の馬車の準備を進めている間に、一夫はこっそりとアードラーに小さな声で一言。
「もう一つの懸念――ライアー様に関しても、私が見張りますのでご安心くださいな」
「ほほう……それは、それは」
 父親同士の秘密の約束。それは、クレーエに聞こえることはなく……。
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