【1】怪魔ノイドを蹴散らす(屋外)(1) ~【GA】フェアリーセイヴァーズ~
怒声――。
奇声――。
罵声――。
轟音――。
強制労働施設で木霊するは、そのような音ばかり――。
まさに劣悪な環境――。
量産型マジカルデバイスを手に持ったカエル系怪魔ノイドは、同士と共に強制労働施設に迫りつつあった。
「ゲーコゲコゲコ! 今日はサイタマ県民の処刑デーだゲコ! 楽しいゲコなぁ!」
「処っ刑!」
「処っ刑!」
「処っ刑!」
楽しそうに音頭する怪魔ノイドたちの前に、立ち塞がる者がいた。
特異者たちである!
「そこまでだよ!」
マジカルベルンの声が響き渡る!
怪魔ノイドは驚いた!
「ムム! 魔法少女!? こんな真っ昼間にご苦労だゲコ! 食らえぇい!」
こうして、特異者たちと怪魔ノイドの戦いが始まったのである――。
☆ ☆ ☆
(は? ボクらがカワゴエの皆の為に作ったデバイスで処刑?
……おーけい分かった
逆にその日を怪魔ノイドちゃんの処刑日にしてやる!)
太陽神フレイシャロちゃん∞(
戦戯 シャーロット)は、怒りに燃えていた! 今日は怪魔ノイドの処刑日になりそうだ!
「まったくもー! 開発したマジカルデバイスが処刑道具に使われるなんて!
そんなの絶対に許さない! ベルンちゃんのため、皆を助けるために、こんなことをやめさせないと!」
「カエル風味の怪人さんなのですねー。食材としてーたいへん興味深く思いますけどー今日のわたしはー暗黒料理人にあらずーなのですよー。」
リリィ=ベル(
泡瀬 鈴蘭)とまじかる☆カブトII(
取間 小鈴)もやる気だ!
今回はリトルブラック(
ルルティーナ・アウスレーゼ)も応援に駆け付けたぞ!
「ふっふっふ☆ ボクとナインちゃ……じゃなかった、今日はブラックちゃんなんだっけ?」
「そうなのです、フレイお姉ちゃん」
リトルブラックは、マジカルベルンに挨拶した!
「ベルンさんとこうして肩を並べて戦うのは、初めてですねっ。
セイヴァーネーム、リトルブラックことルルティーナです♪」
「最狂暴走セイヴァー姉妹が揃ったからには宇宙船に乗ったつもりで安心していいよ♪ ベルンちゃん☆」
「暴走セイヴァー……?」
「最狂暴走……ベルンちゃん、なるべくあの二人の攻撃に巻き込まれないようにね?」
「うん、わかったよ!」
なんだかわからないが、マジカルベルンはわかったつもりになった!
「力と正義の美少女戦士、リトルブラック! 悪者を悪魔の力で折檻しちゃいますっ!」
「あたしは妖精と共に戦う……今はベルンちゃん達のために戦うセイヴァー『リリィ=ベル』! あたしの魔法で、未来を切り開く!覚悟なさい、怪魔ノイド!!」
「ヌゥゥゥだゲコ!! 魔法少女どもめ、今度こそ倒してみせるゲコ!」
怪魔ノイドたちはやる気だ!
フレイシャロはホーヴィちゃんに乗り、先陣を切った!
「んじゃいっくぞー! カブトちゃんは歌支援よろ!」
「はいーなのですー」
まじかる☆カブトIIは≪影法師≫でカブトムシのぬいぐるみ風シルエットを出した!
「労働とはー冬空に咲くお花たちの如しーなのですー。それではお聴きくださいませー『神州花石蕗』」
神州花石蕗――小春日和の野山に力強く咲く石蕗の花をイメージした、聴くとなんだか元気が湧いてくる応援歌だ!
【BC】メタルテックプロテクターのお陰で歌の効果もバツグンだ!
ホーヴィちゃんと共に街を駆けるフレイシャロは、ジャスティシアブレイドの巨大な光刃で≪斬撃≫を振るい、怪魔ノイドを爆散させていく!
「ぬぅぅん、行けぇだゲコ!」
量産型マジカルデバイスを掲げた怪魔ノイドが命令を下す! しかし!
「ちょっと待てだゲコ! お前は俺の上司じゃないから命令は聞けないだゲコ!!」
「なにィだゲコ!?」
哀れ! 他の怪魔ノイドから命令を拒絶されてしまう!
その間にリリィはアステロイドカッターを放ち、怪魔ノイドにぶつける! 一撃では倒せなくとも、リトルブラックのブラックダスターが敵を切り裂く!
「ゲコォ!!!」
「……さっきから、ゲコゲコうるさいゲコ。うぐっ、なんか語尾が移りましたぁ」
「ゲコ! あの魔法少女、ゲコゲコ言ってるゲコ! 面白いんだゲコ!」
「あ゛?」
リトルブラックの中で、プツンと何かがキレる音がした。
「…………アハッ♪ わたし、しっぽに来ちゃいましたぁ♪
……覚悟してください、ね?」
不気味な笑みを浮かべたリトルブラックはルルティーナ☆らっしゅを発動! 怪魔ノイドの懐に潜り込んだ!
繰り出すはボディーブロー! ハイキック! そして、残像を生じさせる程の連続格闘攻撃だ!
「わふわふわふわふ、わふーー! 砕けて、反省してくださいっ! ルルティーナぁ! らあぁぁぁっしゅっ!! 成敗ですっ!」
「ゲコぉぉぉぉぉぉぉ!!」
爆散!
ボス格の怪魔ノイドが前に出た!
「ぐぬぬぅ、役に立たない奴だゲコ! こうなったら、カエル系怪魔ノイドの
ゲコタリンヌが相手だゲコ!」
量産型マジカルデバイスを握ると、怪魔ノイド
ゲコタリンヌはマジカルベルンに殴りかかった!
「きゃあっ!?」
マジカルベルンがリベリオンで受け止めるが、いかんせん非力! 押されているどころか、明後日の方向に吹き飛ばされてしまった!
「【光り輝く妖精の風】よ! 敵には目くらましと足止めを、味方には闇を打ち払う光と追い風を! ……なんて」
リリィが発した光の風は強烈な眩しさと風圧を伴い、
ゲコタリンヌの視界を奪う!
「ゲコォ!? 魔法少女めぇぇぇだゲコー!!」
「とどめは頼んだわよ、ブラック、フレイちゃん!!」
「任せてください、リリィお姉ちゃん!」
「おーけー!」
リトルブラックが≪跳撃≫し、
ゲコタリンヌを宙に跳ね上げる!
フレイシャロは、自分を中心とした一定範囲内を疑似宇宙の無重力空間に変えた!
「〆はこいつだ! 太陽神フレイシャロちゃん∞ 全力全壊>ワ< コズミック☆サンブレイク♪」
ゲコタリンヌの動きを封じた上で、閃熱を帯びた斬撃で一気に薙ぎ払う!
「ゲ……ゲコォォォォォ!?」
太陽の重力に囚われ燃え尽きていく星々の如く、ゲコタリンヌは爆散した!