クリエイティブRPG

ジーランディア

「このシュバリエは、見られたものではないので見てはいけません!」

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「このシュバリエは、見られたものではないので見てはいけません!」
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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「皇国? 鐵皇国かい?」
「ああ、そのスパイだか工作員だかが潜り込んでてな。今回の事故の原因となったシュバリエ、その開発者を探してるらしい。自分の国に引き込むためにな」
 ちっ、とネリスが舌打ちした。秀はそれを横目に見る。
「こんな話も聞きましたよ。その開発者の居場所を報告すれば塞の指揮官が報酬を出すし、さらにそれまでの罪も帳消しにすると」
 声がして、四人はそちらを振り返る。カウンターの端に座っていたクラウス・和賀が、ロックグラスを片手に微笑んだ。くいと傾け、中身を空ける。「マスター、おかわり」「へい」「い、いつからいたんです……?」「最初からです。ねえマスター」「ああ。お前らより先に来て呑んでたぞ。気づかなかったのか?」「一部始終は拝見いたしました」「……」
「さて――どうしましょうか。ねえ?」
「な――何がです?」
 クラウスは席を立ち、弟子の隣のスツールに移動する。「まあまあ。今すぐ何かしろとは言いませんよ。――タイミングが重要ですから。ねえ?」「な、何の話か分かりませんが……」「へいお待ち」「ありがとうございます」
「……どうするか……」
「……鐵皇国、悪くねえんじゃねえか? ちょうど飛ぶ準備もしてたんだろ? 何しろ押しも押されぬスーパーロボットのメッカだ。お前の腕なら十分やってけるだろ」
「そういう問題ではないんですよ……」
 マスターの言葉に、ネリスは歯切れの悪い返事を返し、ジョッキを傾ける。(……マスターの言葉の意味は分かるはず。この状況では、弟子を切って皇国に飛ぶのが最善手ということだ。何が気に入らない……?)クラウスは考えながらネリスを見つめ、グラスを傾ける。
「お邪魔いたします」
 声がして、五人はドアの方を振り返った。――壮年の、いかにもサラリーマン風の男がそこにいた。しかし、その表情と佇まいは、仕事に疲れて呑みに来たというようなそれではない。まるで、重要な取引先に商談に来たような――
 サラリーマン風の男はネリスの傍らに歩み寄り、名刺を差し出す。「ネリス・オニモト様とお見受けいたします。私、川上 一夫と申します」
 ネリスはジョッキを置き、名刺を受け取る。「……皇国の手の者か」
「単刀直入に申し上げます。鐵皇国においでください。現状では、貴女にとってそれが最善です」
「そんなわけがないでしょう。私は連盟への亡命を考えていたところです」
(やはりだ……明らかに皇国を警戒している。何故だ?)
 秀はネリスを見つめ、ワイングラスを傾ける。「では、お聞かせください。なぜ皇国ではダメなのでしょうか」
「何故って――うん? 待ちなさい。貴方、皇国の手の者ではないのですか?」
「は? ――あ、いえ、確かに私は皇国から参りましたが、皇国の公僕というわけでは」
「……」
 ネリスはジョッキを傾け、一夫をしげしげと眺める。「……よろしい」
「では、こちらの条件を提示します」
「……条件、ですか」
「まず、弟子」
 ネリスはジョッキを置き、弟子を振り返る。「え? ぼ、僕ですか?」振られると思ってなかった弟子は思わずどもった。
「私は鐵皇国に行きます。降りるならここで降りなさい。見逃してあげます。――ついて来るなら、覚悟を決めなさい。途中で裏切ったら、殺します」
「――」
 弟子はネリスの静かな気迫に黙り込み、――やがて、答えた。「僕は、師匠について一流のシュバリエ・マイスターになるんです。そうでなきゃ意味が無い。一緒に行きますよ」
「――よろしい。では、貴方がた」
 言って、ネリスは三人を見る。「まず、私は皇国に行くつもりですが、異論はありますか?」
「……うーん……」
「そうだね……正直、君を捕らえようとは思ってたけど、その後どうするとかは」
「では、よろしいですね。それでは、えーと、川上一夫さん」
 ネリスは一夫を振り返り、名刺を読み上げる。「は、はい」
「私の存在を皇国の公的機関に通報しないこと。これが私の条件です。もし違えれば、殺します。いいですか?」
「――かしこまりました。それでおいで頂けるなら」
「よろしい。――では、行きましょう」
 ネリスはジョッキを空け、席を立った。「なら、ボクが送るよ。丁度艦を持ってきてある」「いいでしょう」
「待てお前ら。勘定だ。まさか呑み逃げじゃねえよな?」
「「「「「……」」」」」
 言われて、全員がマスターを振り返る。がちゃり。「お待たせしましたー。チキン南蛮セットでーす」「「「「「……」」」」」
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