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ジーランディア

「このシュバリエは、見られたものではないので見てはいけません!」

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「このシュバリエは、見られたものではないので見てはいけません!」
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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 Ⅱ.PM19:40 バアル塞・研究セクション

「……汚い部屋だなぁ」
 ぐっちゃぐちゃの研究室を見渡して、烏丸 秀はそう呟いた。シュバリエの開発者を追うことにした秀は、塞の兵士の案内を受けて開発者――ネリスの研究室にやって来たのである。
「全く掃除されてない部屋。床にブロック食と栄養剤《ポーション》の残骸が散らかってる。クローゼットは――ん?――中は割と綺麗だけど、外側に埃が積もってる。まさかそもそも着替えてないのか?」
 ひとしきり部屋を調べ、秀は軽くため息を吐いた。「なるほど、生活能力は皆無っぽいね。弟子が生活の面倒見てる感じか」呟き、兵士に礼を言って研究室を出る。
(じゃあ話は簡単だ。ホテルは足がつくから使えないし、民泊か貸し部屋を転々としながら逃げるでしょ。そして生活は弟子が面倒を見る筈。ネリスではなくこの弟子の足取りを調べよう。どうせこのズボラな魔術師が生活に必要な買い物とかする筈ないし、表に出てくるであろう弟子の足取りを追った方が確実だ)
 考えながら歩き、秀は塞の敷地を出た。前方を見やる。塞が立つ小高い丘の下に、市街地――バアルの街の灯が見える。丁度日も落ち、宿場街も活気づく時間だ。
「……ボクの得意な時間帯だ」
 呟き、秀は街へ降りる道を歩き出した。

「こんばんは」
「いらっしゃい」
 ネリス・オニモトはバアルの街のとあるバーにやってきた。挨拶し、カウンターに座る。「注文は?」「とりあえずビール。あと――定食あります?」「定食だと? ファミレス行け」「料理なら何でもいいです。普通の食べ物をください。できればつまみじゃないやつ」「やれやれ……」マスターはひとまずビールを注いでネリスの前に置き、カウンターの奥にある魔力冷蔵庫を開ける。「――ダメだな。普通の食べ物なんか無えよ」「仮にも食べ物屋でしょうが」「バーだうちは。ほれ」「? メニュー?」「その中から選べ。出前取ってやる」「――ぶははははは!」「嫌なら出てけコラ」「いえいえ。じゃあこれ」「おう。――あーもしもし? 俺だが。チキン南蛮セット。出前頼めるか?」
「――少々お待ちください」
「何を偉そうに」
「遜ってるだろうが」
 笑い、ネリスはジョッキを傾ける。「で、今度は何をしでかしたんだ」
「しでかしてませんけど?」
「お前が仕事終わりに飲みに来るのはだいたい0時《てっぺん》近くだろうが。こんな時間に来るってことは、仕事の途中で、しかも仕事場にいられない事情があるってことだ」
「早く終わることもありますけど?」
「あと、あの爆発音。すげえ魔力のビームが塞から真っ直ぐ飛び出したな。まさかバレてないとでも思ってんのか? 言っとくが街全員目撃したぞ。絶対お前だろうが」
「……」
「師匠!」
 ドアを開け、弟子が入ってきた。背中にでかいリュックを背負い、両手には紙袋を持っている。「一通り買ってきました! いつでも発てますよ!」「――よろしい。腹ごしらえしたら行きましょう」「ほれ見ろ。どうみても逃げる準備じゃねえか。ていうか、高飛びか?」「ノーコメントです」「ふん。聞かねえ方がいいってか」
「こんばんは」
 さらにそんな声がして、三人はドアの方を見やった。「……いらっしゃい」「開いてるかな?」「ああ、まあ――」「開いてるね。失礼するよ」
「――どうも」
「……」
 秀はそう声をかけ、ネリスの隣に座る。「あー……何にする?」「そうだな……赤ワインと、チョリソーをもらえるかな。銘柄は任せるよ」「……そんな上等なもんは無えぞ。期待すんなよ」言って、マスターは準備を始める。
「……」
「……」
 秀はじっとネリスを見つめ、ネリスはそれを横目にしつつジョッキを傾ける。「――私に何か?」「いや? 美人だと思って見てただけだが」
「うわ面倒くさい……ナンパをあしらってる暇は無いってのに……ねえマスター、何とかしてこの人追い出せません?」
「バカ言え。俺はどちらかというと、お前を追い出したいぐらいだ」
「よしてくれマスター。こんな美人を追い出すなんて」
「へいお待ち」
「ありがとう」
 秀は出された赤ワインを傾け、チョリソーを齧る。「――うん。いいね」
「そうそうマスター。さっき塞の方で爆発か事故か何かあったようだけど、何か知らないかな? ちょっと興味があってね」
「「……」」
「……」
 ネリスと弟子の動きが止まり、マスターは暫くの沈黙の後、「――ああ、ちょうどその話をしようと思ってたんだ。お前らも聞いていけ。情報はあって損はしない」「「……」」
「街はその噂で持ち切りさ。――それでな、どうやら皇国の連中が動いてるらしい」
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