クリエイティブRPG

ジーランディア

「このシュバリエは、見られたものではないので見てはいけません!」

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「このシュバリエは、見られたものではないので見てはいけません!」
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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 ザラストロが突然その場にうつぶせに倒れた。マジックラッパー解除。光学迷彩が解かれ、ザラストロの傍らに黒いシュバリエ・ニンジャが現れる。
「なんかすごいシュバリエちゃんはっけーん♪ ――んで? なんで暴れてんの?」
 戦戯 シャーロットはシュバリエ・ニンジャのコクピットからそう尋ねる。「なんでだとお!?」ザラストロは跳ねるように立ち上がった。まだまだ元気である。
「この強い俺様に対してだ! 開口一番つまらない機体とか言いやがった奴がいたからだ!」
「んえ? つまんない?」
「そうだ! 他にもなんだ、こんなの巷にごまんと溢れてるとか、ボタンを押す順番を理解してればサルでも使えるとか、あの女好き勝手なこと抜かしやがって……ううう……」
 ザラストロは腕で顔を覆い、情けない声を上げ始めた。……まさか泣いているのだろうか。シュバリエのくせに。
「溢れてない溢れてない。ASならともかく、シュヴァリエちゃんでそんな射撃特化いないよ? 自信もってほしーな」
「成功だとか失敗だとかそんなのは勝手に誰かが言ったこと。あなた自身は何がしたいんですか? 弾幕を張ることじゃないでしょう、あなたの言葉で教えて下さい」
「ザラストロ、貴方は強い機体です。創造主に恵まれなかったのが不運でしたね」
 タヱ子と焔子もそう言って同意する。「お前ら……」ザラストロが呟き、三人を見る。
 と――不意に、通信機から歌が聴こえた。「え……?」
「特に悪さはして無いので……なるべく穏便に事を解決したいのですー」
 上空からカブトムシ型の飛空艦が降下してきた。歌はこの艦が流しているらしい。「人の世ではー辛い時やー悲しいときはー歌うのですー。あなたもご一曲いかがーですかー?」言って、取間 小鈴は新かぶとぎうす号の艦橋で鼓舞踊を踊り始めた。神州扶桑国で器物に意志が宿る《付喪神》として生まれてきた小鈴は、自我を持つシュヴァリエを遠い親戚のように思っていた。
「……何だ……この感じは……?」
 攻撃するでもなく、ただ歌を続ける新かぶとぎうす号に、ザラストロは思わず呆然と上空の新かぶとぎうす号を見上げた。自分の中に、何か暖かいものが宿るのを感じながら――

「ちぃ――あれほどの火力、うかつには近づけんか!」
「大佐!」
 長喜は一度後退し、サブマシンガンをリロードしていた。そこへキクカのサイフォスキャノンが降下してくる。
「ヒライズミ! 待機と言ったぞ! あと大佐はヤバいからやめろ!」
「状況は理解したであります! 敵の動きを止めるには質量攻撃による無力化が最適、しかし私の大鐡神ではパワーがあり過ぎる!」
「そうだ。中の人間が死なないように加減する必要がある。お前には難しい仕事だな?」
「いぇっさー! しかし、不肖キクカ・ヒライズミ、一計を案じたであります! 要は、私が直接敵を殴らなければ良いのであります!」
「――ほほう。つまり、その心は?」
「こぉぉぉぉ――」
 訊かれたキクカは、構えを取って覇気を溜め始めた。必殺の構え。
「覚悟完了! 推して参る!」
 気合を入れ、長喜のASを持ち上げる。「ん?」
「ドッジやるであります! 大佐がボールな!」
「え? 何? 何だって?」
「私のパワーと、大佐の最後の軌道修正により、この作戦は完遂するであります! よろしくなす!」
「よろしくなす!?」
「サイフォスぅぅぅぅ! ボンバディーーーーロっ!」
 投げた。放物線を描いて長喜のASがザラストロへ向かう。「ま、まったく分かってねええええ!」叫ぶ長喜。迫るザラストロ。
「ん?」
 ザラストロが振り返り、――命中。カッ飛んできたASの頭とザラストロの頭が激突し、二機はそのまま倒れこみ、石畳を吹き飛ばしながら地面を滑る。――やがて、倒れたザラストロの上に長喜のASが気を付けの姿勢でうつ伏せに被さる形で停止した。ブラックアウト。ザラストロはぴくりとも動かない。長喜もコクピットで白目を剥いていた。
「「「「……」」」」
 全員がザラストロを凝視し、その後振り返って長喜が飛んできた方角――残身の体勢にあるキクカを見やる。「あ、あれ……?」
「あー……私、なんかやっちゃった……で、ありますか?」

「――ん――」
 ネリア・オニモトは目を醒まし、周囲を見回した。なぜか半壊している塞のランナップエプロン。なぜか大量にいる大鐡神やASやシュバリエ。なぜか倒れたザラストロの上に寝かされている自分。なぜか正座で説教されてるおっさんと女。「ほほう! なるほどねえ! コンバーターでの魔力供給を前提として、プロペラントを大幅に小型化してある! これならエンジンはもっと大型のものを積めるし、しかも、コンバーターで完全に供給を賄えるとしたら、このプロペラントに蓄える分の使い途は――これは確かに画期的だ! この技術、まだまだ先があると見たね!」「あの、すまん……良かったらこっちに来て、弁護士の役をやってくれないか」
「気がついた?」
 声をかけられ、傍らを見やる。ライフリキッドを持った少女がそこにいた。「あなたは……?」
「アリーチェ・ビブリオテカリオ。身体は大丈夫そう? 怪我とかはライフリキッドでだいたい治ってるはずだけど」
「……大丈夫。ありがとう」
 ネリアはもう一度周囲を見回し――徐々に記憶がよみがえる。「そうか。ザラストロが――」
「全く、すごい機体だな。俺達総出でも簡単にはいかなかった。作ったやつの顔が見てみたいよ」
 傍らにいた潤也が言い、アリーチェも頷く。
「ねぇあんた、この暴走シュヴァリエを作った開発者がどこへ逃げたか、心当たりはないかしら? 皆捜してるけど、塞の中にはいないみたいなのよね」
 アリーチェの言葉を聞き、ネリアは引きつった苦笑を浮かべた。「あーはいはい……逃げましたか。そうですか。私を置いて。なるほどねえ」
「――できる限り協力するわ。たぶん、お姉ちゃんがこういう時逃げるとしたら」
「「お姉ちゃん?」」
「え? ああそっか。実は、これを作ったやつはね――」
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