第八章 →やっぱりスロットなんですよ→
「さあて……戦い《あそび》ましょうか」
スロットゲームを前にする
水野 愛須は持ち前の観察眼を使って目押しで少しずつ稼ぎ続けていた。
前回の愛須はテーブルゲームで稼いでいたが、そもそもの軍資金が少なかったのもあって、稼ぎは少なかった。
だが今回は違う。今回は盛大に100万円を持ち込んだため、一発でも当たれば特別ルーレットの権利となる300万にはすぐに集まる。
そしてスロットはテーブルゲームと違い、リールの並びを覚えてタイミングさえ覚えれば、あとは目押しで押して当たりが来るのを待つだけだ。
「んん、調子悪い……」
狙いをつけて回転数が多く大当たりが出ていない台を選んだが、なかなか当たる様子はない。
それでも前回のデータを得てくれた特異者を信じて、愛須はぽちぽちとスロットを打ち続けている。
「……おや?」
ふと、スロットの動きが変わる。
ラッキーチャンスとも呼ばれるパターンに入ったようで、リール回転に若干の変化が現れ始めていたのだ。
これまで見たことのない、大チャンスの予感に愛須は目押しで7を3つ揃え、大当たりを手に入れた。
そこまでは普通によくある光景だったのだが、ここからが愛須の本領発揮だった。
「えっ、またですか!?」
「わっ、ジャックポット!?」
「うわわ、新しい受け皿どこですかー!?」
次々に倍率の高い点数を取っていく愛須。連続して当たってはじゃらじゃらと溢れるコインに驚きを隠せなかったが、何よりジャックポットが当たったことでコイン排出が止まるところを知らないように溢れていた。
彼女のその反応に、周囲の客も驚きを隠せない。なにせジャックポットなんて、この街では殆ど当たらなかったのだから。
運が味方となり、ジャックポットを引き当てたことで愛須の持ち金はなんと100万から500万へと膨れ上がった。
愛須の稼ぎ……ジャックポットを引き当て大成功。5倍の返却のため500万の稼ぎ。