開幕 →ブルースフィア、登場→
――ブルースフィア。
それはダイヤモンドにも、サファイアにも似た美しさを誇る超大粒の宝石。
様々な来歴を持つこの宝石には、いくつもの噂話があるが……今大事なのは、そんなことではない。
特異者達の目の前に、光り輝くブルースフィアが展示されている。
今回オークショナーに導かれ、詩穂とロザンナがオークション会場に入り、他の特異者達は外で何か怒らないかを見張ることとなった。
彼女は資金を特異者達から会場内の運営者達に預けてもらいつつ、会場入りを果たした。
複数人の競争相手と、それを見に来た人々があふれている。
本来であればこの形式が正しいのだ。……本来であれば。
(そう……前々回は爆発後に、この人々がいなかったって話なのよね)
前々回、現象の原因がオークション会場にあると当たりをつけた特異者が押し入ったところ、人々が消えているという状態が発生していた。
本来であれば今、詩穂とロザンナの目の前で繰り広げられている状態が正しいはず……なのに、前々回では人が消える結末を迎えている。
(爆発の後、何が起こったのか……それを確認する必要がありそう)
(他の人は特に何もしていないように思うけど……)
「それでは、ブルースフィアのオークションを開催――」
開催します、というオークショナーの言葉が続けられようとしたその時。
外から爆発音が数発、大きく鳴り響いては会場内を揺らす。
この爆発音を合図に詩穂とロザンナは周囲をチェックし、円環現象の原因となるものを探す。
「来た! 詩穂ちゃん!」
「始まった! ロザンナちゃん、周りを――」
――周りを確認すると、いつの間にか2人を光が貫いている。
――詩穂とロザンナの視界は真っ白な光に閉ざされ、この世界からはじき出されてしまった。