第十二章 →特別ルーレット、開催→
「それでは、参加者様の数字が出揃いました」
ディーラーの透き通る声が、会場の中の参加者に、そして見物している特異者達の耳に響く。
それぞれ参加者たちから参加費用300万を受け取ってルーレットが開始され、ルーレットが始まる。
参加者の数字が公開されるのは、ディーラーが球を転がして数字が確定したとき。
それ以外では数字が公開されることはなく、またディーラーの耳に届くことはない。
本来であれば6人全員の数字が当たることは確率的にも難しい。
それでも白髭は全てのループで数字を当てて、見事全額を獲得している。
だが、今はもう、特異者達が仕組みを理解した故に単独の賞金確保は出来ないのだ。
「――384!!」
ディーラーによってルーレットの数字が読み上げられる。
その数字は、特異者達が指定した数字であり、白髭が指定した数字。
「ばっ、馬鹿な……!?」
このルーレットの仕掛けを見破られるなど予想もしていなかったのか、白髭は唖然とした様子で床に座り込んでしまった。
そんな彼に対してシャーロットがそっと勝利祝いのお酒として、怜峰酒-みかづきん-を差し出しておいた。
「おめでとうございます。賞金はこちらの5名様で山分けとなります」
特別ルーレットを勝利したことにより、10億円が白髭、詩穂、ロザンナ、シャーロット、シレーネの5人で山分けとなる。
1人あたり2億円の確保。白髭分を換算しない形だと、特異者全員で8億円もの資金を手に入れたことになる。
故に彼女たちはこの円環現象の原因ともなっている、ブルースフィアのオークションに参加できるのだ。
「これでオークション会場に入れるねっ!」
「あとはブルースフィアを手に入れるだけ!」
「アーシ達が確保できればいいんだけど……」
「出来る出来る! ボク達なら出来る!」
それぞれで励まし合いながら、もらった8億円を丁寧にアタッシュケースに詰め込む。
他の特異者達にも手伝ってもらいながら、オークション会場へと急いだのだった。