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【祓魔師/未廻組】祓魔師のカリキュラム6

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【祓魔師/未廻組】祓魔師のカリキュラム6
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 エリザベート・ワルプルギスは祓魔師の授業の一環として生徒たち自身に魔道具を改良する素材集めをしてもらうため、イルミンスールの森に生息するマンドラゴラという魔法草から収集を行ってもらうことにした。
 彼らに素材の採取を行ってもらうため、イルミンスールの森へ訪れた未廻組の者たちが事前に下調べをしていると、凍り付くような目つきをした妖精に遭遇したのだ。
 密漁者から魔法草が生息する場所を、アウラネルクという妖精に守ってもらっていることをエリザベートから聞いていたのだが…。
 その話と異なる様子で、未廻組のウィード・フォン・ライヒスマリーネとアンフェ・メレッツィーの姿を目視するなり突然、襲いかかってきたのだった。
 魔法学校に戻った二人の話を聞いたラスコット・アリベルトは、その悪意に満ちた面持ちへ様変わりしてしまった妖精が、ステンノーという魔性の意思に憑依されてしまっているのだろうと見立てた。
 それにより教師たちは生徒たちに、好戦的なステンノーからアウラネルクを解放する課題を追加した。
 彼らは互いに連携し合い、邪悪な意思から妖精を救い、魔性に物のように扱われ傷ついた彼女の身体の治療を済ませ、魔法学校へ帰還したのだった。
 だが、幾らも時が経たないうちにステンノーは新たな獲物を見つけると、その者の意思に憑依し意のままに操り始めた。
「はい、エリザベート先生に質問!レヴィアっていうのはどういう人なの?」
 小鳥遊 美羽はエリザベートから受け取ったエレメンタルケイジを首から下げると、今回の救助対象の印象について聞く。
「―……先生?」
 もしかしたら聞こえなかったのだろうかと思い、幼い校長の傍に近づき再び声をかけた。
「あっ。えっと、以前アウラネルクさんから聞いた話ですと~。普段は物静かな雰囲気なのですがぁ~。たまに海辺で聞こえる人々の賑やかな声とかを聴くのが好きみたいですぅ~♪」
 何やら考えごとをしていたのか美羽の声は聞こえていたらしいが、返答が遅れてしまった。
「楽しいことが大好きってこと?なら、お祭りとかも好きなのかもしれないね!」
 普段から人々の楽しげな声を聞いているのだとすれば、レヴィアは賑やかしいことも好むのだろうか。
「ラスコット先生。邪悪な魔性と戦うときは、どんな心構えをしたらいいでしょうか?」
 ベアトリーチェ・アイブリンガーの方はラスコットからハイリヒ・バイベルを受け取り、ステンノーのような相手と対峙する際の思考をどのように制御すればよいのか教えを乞う。
「どのような要求をされ、何を問われようが耳を貸さないことだ。心を囚われる切欠になりかねないからな」
「言葉に惑わされないように…ですね」
 講師のその声に対しベアトリーチェは、意思に支配される切欠を口にしていたアウラネルクの表情を思い浮かべた。
 イルミンスールの森でマンドラゴラを守っていた妖精が、過去に遭遇したであろう密漁者に悪意ある言葉を投げかけられたこともあったのだろう。
 おそらく“人を信じれば痛い目を見る”というステンノーからの、この言葉が切欠で思考の全てを支配されてしまったに違いない。
 魔法学校の校舎を出てパラミタ内海へ向かいながらも、そのことについてばかり考え込んでいた。
「ねぇ、ベア~?ベアトリーチェってばっ」
「は、はい!な…なんでしょうか、美羽さん」
 ベアトリーチェは美羽に腰をポンッと軽く叩かれ、ようやく彼女の呼び声が耳に入った。
「あんまり考えすぎるのも隙をつくっちゃうかもしれないよ?」
「そ、そうですね」
「まったくもう。エリザベート校長も、なんだかぼんやりしていたし」
「そういえばそうでしたね」
 美羽の質問に返事が遅れてしまったというより、普段のエリザベートとは少し違い元気がない印象だった。
「ショックだったんじゃないかしら。つい最近、魔性に妖精さんの意思を奪われてしまったのに。こんなにも早く、その彼女と親しい相手が狙われてしまったんだもの」
 突然、エリザベートの友人であるアウラネルクが操られ、さらには相手の親しい者の意思まで乗っ取られてしまったのだ。
 普段は校長として気丈に振舞っているものの立て続けに狙われしまうと、さすがに何とも思わないわけがないのでは、とフレデリカ・レヴィが言う。
「けどエリザベート校長は、レヴィアのことは妖精さんから聞いただけで会ったことがないのよね」
「まさか、アウラネルクさんの意思に憑依した時に、彼女の記憶から…?」
「えぇ、十分ありえることよ」
 ベアトリーチェの考えにフレデリカは、記憶の中まで探ることで次なる標的を見つけたのだと推測した。
「それってエリザベート校長の心を傷つけるため?精神が弱まると、魔道具の力を使う影響がでちゃうし」
「いえ、美羽さん。それよりも、憑依されてしまいやすくなってしまうんだと思います」
 美羽の言葉に対しベアトリーチェはかぶりを振り、ハイリヒ・バイベルを両手でぎゅっと抱きかかえた。
 精神が弱まり魔道具を扱いにくくなってしまうことより、心の隙を突かれるほうが危うい。
「ただ、ステンノーさんの目的は戦いたいことが主のようですから。それに、エリザベート校長の傍にはラスコット先生がいますし」
 校長を器としたとしても好戦的な魔性が戦う相手は講師だけでなく、ベアトリーチェたちにまで速やかに連絡がいき取り囲まれ祓われるだろう。
 そのような滑稽な結末は有り得ない。
 だとすれば何か別の目的があるのだろうと想定するべき。
「あの方は戦いを楽しむだけではなく、確かにエリザベート校長の心に隙を作る目的もあるとは思えますが…」
「もしかすると他の誰かのため?」
「その可能性のほうが高いわ。これからはもっと気を引き締めないといけないわね。それに、こっちがだめならあっちを、みたいなこともありえるんだから」
 フレデリカはベアトリーチェと美羽の顔を順繰りに見て頷いた。
 相手は人が考える常識が通じないことを理解し、自身たちも器の対象にされないために身構えておく必要がありそうだ。
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