第六章 →次へ備えて→
また同時刻、港町の別の場所にて
苺炎・クロイツはいい稼ぎ方がないかを調べるため、港町の仕事斡旋所へと足を運んでいた。
というのも、円環現象の原因の1つの可能性が高いブルースフィアを目にするためにはオークション会場へ入る必要がある。
だがそのオークション会場に入るための資金というのが、これまたバカ高いもので。
そのためにカジノでのギャンブルだったり、街中で双方合意の上でのストリートギャンブルなどがあるのだが、クロイツはそれらを良しとしなかった。
「しっかりと確実に稼げて、出来れば300万ぐらい稼げる仕事、ないかなぁ~って」
「300万……ねぇ……」
難しそうな表情を浮かべた斡旋所の職員。
というのもガスベガスで稼ぐなら地道に働くよりはギャンブルが1番手っ取り早く、これまで特別ルーレットに参加した人々は皆ギャンブルで稼いだ人が多い。
そのため300万をアルバイトで稼ぐとなると、日を跨いで続けて仕事をする必要があるのだそうだ。
「うーん、それじゃあ遅すぎるから、やっぱり1日で稼ぎたいなぁ~」
「と、言われてもですねぇ……」
どうにかアルバイトだけで稼げないか、とクロイツは職員に尋ねるが、やはり賭博都市の名を冠する以上はギャンブルは欠かせないと言われてしまう始末。
どうしても稼ぎたいのなら、無理と無茶を重ねるしかないだろうと告げられた。
それならとギャンブル以外で稼ぐ方法を、次のループへ備えて仕入れるクロイツ。
非番のバニーだったり、歓楽街のアルバイターだったり、港町で働く人だったりと人を変えては情報を仕入れていく。
それぞれに1番稼げる仕事は何かを尋ねてみたが、アルバイトの仕事ではどれも変わりなく給料は支払われるのだそうだ。
ただ、個人の能力によって差が出るため支払われる金額には差が出てしまうという。
「う~ん……」
悩み悩んで港町を歩いて行くクロイツ。
そんな彼女に突然、頬に傷のある男が走ってぶつかってしまった。
その拍子に男は棒状の何かを落とし、すぐさま拾い上げた。
「わっ!?」
「っと、すまん!」
謝罪の言葉もそこそこに、男はすぐにその場を立ち去る。
なにやら慌しい様子だったが、クロイツは気にも止めることなく次のループへの準備を続けていた。