第十章 →稼げた! テーブルゲーム→
松永 焔子、
騎沙良 詩穂、
戦戯 シャーロットはまた別のテーブルで手札とにらめっこをしていた。
ガスベガスのポーカーは稼ぎやすいとは言っても役が揃わなければ意味がなく、下手をすると一瞬にして財布の中身がすっからかん。
故に3人は悩み悩んでいた。どこで勝負を仕掛けて、どこで大役を引き当てるか。
「この手札だと揃う可能性が高いのは……」
焔子の手札は入れ替えを行うかどうかが勝負の分かれ目となっていた。
元手は100万円あるとは言え、勝負の仕掛けどころを間違うとこの100万円さえも失う。
故に彼女は攻めの姿勢と守りの姿勢を使い分けながら、着実に稼ぎを増やしていた。
「な、悩むなぁ……! これを入れ替えたらあるかもしれないけれどっ……!」
詩穂はたった今来た手札を眺めては、悩みに悩んでいた。
高額還元もあり得るかもしれない手札の並び。1度失敗すると元手の20万を失う可能性があるが、それでも可能性に賭けた。
これで負けたら、手持ちのお金は全部失うが……果たして。
「んん……ここは強気に行ってみようかな?」
シャーロットもまた、強気の姿勢を崩さない。
この先に控えている特別ルーレットのことを考え、一気に稼いで300万円を手に入れる作戦。
ディーラーの様子をうかがいながらも手札を入れ替えつつ、勝負に出てみた。
自分が捨てる手札を決めた後、ディーラーとの手札の入れ替えを行うと……受け取った手札を見て詩穂とシャーロットは小さく声を上げた。
「え!? 嘘……!?」
「……えっ!? えっ、これって……」
2人の顔が自分の手札と役の種類と払い戻し倍率の載ったボードを行き来する。
思わぬ手札が舞い込んだのだろうか、焔子が小さく首を傾げる。
ディーラーの言葉に合わせて全員の手札が公開されると、彼女達が驚いている理由がよくわかった。
――10倍倍率のフルハウスが詩穂に、フォーカードがシャーロットの手に舞い込んでいるのだから。
「これなら、この3人で特別ルーレットに行けそうですわね!」
焔子もまた、元手を少しずつ増やしていったおかげで手元には十分な資金が集まっている。
仲間達から受け取った分も合わせれば、特別ルーレットへの参加権は握られている。
焔子の稼ぎ……少しずつ稼いだおかげで3倍。300万円。
詩穂の稼ぎ……大博打が大当たりで10倍。200万円。
シャーロットの稼ぎ……予想外の大当たりで10倍。200万円。
特異者資金の現時点総額……1026万円。
特別ルーレットへは、焔子、詩穂、シャーロットの3名が招待されていた。