クリエイティブRPG

カルディネア

迷子を捜せ!

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迷子を捜せ!
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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カルディネアの中心部、リュクセール王国、交易都市セロナブル。
この地で新しい依頼が発生しようとしていた。

「お願いです、手伝っていただけませんか……?」

少女を心配し、涙をこぼす母親。
迷子の少女は幼く、どこを探しても見当たらないらしい。
歩き回っていたのだろう、靴は汚れ、疲労が顔に浮かんでいる。
娘を思い、焦り、正常な判断もできていないと見える。
何でもします、という必死な声がその場に木霊している。

その様子に幾人かの冒険者が集まってきた。
悲痛な様子に心打たれてか、自己犠牲か、私欲の為か、それは計り知れない。

「落ち着いて、お母さん。
 とりあえず、そこの喫茶店にでも入りましょうか?」

剣持 真琴がそっと母親を促す。
それに数人が同意し、母親もゆっくりと喫茶店へ向かう。
歩いている間に母親も落ち着いてきた。
店に入るころには、焦りも薄れ、しかし不安が顔に出た。

「そちらのお席に座りましょうか?」

窓際の、外がよく見える席で事情を聞かれる。
この席にしたのは少女が見つかった時、すぐ確認できるという配慮だろう。
それに気づいた母親は、ここへ促してくれた冒険者達を見た。
そして、現在の状況と娘のことを話し出す。

彼女が自身の娘とはぐれ、探していたこと。
娘は金のセミロングで、お気に入りの白いワンピースを着ているとのこと。
5歳程度でやっと一人で歩き回るようになったとのこと。
花が好きなので、もしかしたら花屋に勝手に行ってしまったのかもしれないこと。
でも近くの花屋にはおらず、探し回っていたこと。

「失礼、何故この街にいらしたんですか?」

口火を切ったのはレオン・ダストルガ
突然の質問に、母親は驚く。
何故そんなことを聞かれるのか、そんな疑問が顔に出ている。

「女の子の顔とか名前とかも知りたいな、貴方の名前も」
「どこかに行く約束とかしてない?」
「それか、家に帰っちゃったってことはない?」

続けて質問を投げるのは兎多園 詩籠サーエルン・セルンアウスラーダ・セルンだ。
矢継ぎ早に投げられる質問に困惑しながら、母親は答えていく。
少女の名前はロザリー、自身はアルテミシア。
空を映したような青い大きな瞳が特徴で、親馬鹿かもしれないが可愛い顔立ちだということ。
今日は娘の誕生祝いに、プレゼントを買いに来たこと。
プレゼント自体は娘が選ぶことになっており、行く店は決まっていないとのこと。
交易都市から自宅までは遠く、特別な時にしか来ないので家に帰るのは不可能であるということ。
動物が好きなので、もしかしたら犬猫を追いかけてしまったのかもしれないということ。

他にも聞きたいことはあるだろうが、必要以上を聞くのは無理だろう。
必要以上の情報は疑心に繋がる。
この程度か、と全員が質問を止めた。

「犬猫を追いかけていたら、厄介だね……」

兎多園の言葉に、全員が頷いた。
路地裏まで追いかけて行ったら危険だろう。
人の多い交易街でも、荒くれものがいないとは限らない。
そうでなくとも裏路地は汚く、障害物も多い上、迷いやすい。
少女を捜すとしても難しいだろう。

母親にここで待機するよう言い含め、5名は外へ。
自身も探すつもりでいただろう母親は立ち上がろうとしたが、皆が制した。
任せてほしい、という心強い言葉と共に。
母親はお願いします、と頭を下げた。

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