■ローランドの動物の魅力
快晴の朝、ローランド、リスタの町、郊外。
「久しぶり! ローランドって、話に聞いたよりすっごい興味深い所だね!」
安野 桃子は再会の挨拶もそこそこに眼前の異世界に興奮露わに話す相手は、
「あぁ、一見は百聞にしかずというからな」
ジェノ・サリスだ。
「だねっ! それで隣にいる動物は馬?」
挨拶を終えた桃子が気になるのは、ジェノの隣に佇む馬のような動物だ。
「あぁ、ノーブルエクゥと呼ばれる馬に相当する動物だ。主に貴族が騎乗するために飼育されていて、大戦期に品種改良された生物の子孫で戦闘にも耐えられる」
ジェノは早速、動物の紹介を始めた。
「……そんな高級な動物を飼っているなんて……」
王侯貴族という単語や先の配信で登場した高価な琥珀亭のハニージンジャーの事もあってか、桃子が向けるのは恐れ多いと言うようなもの。
「……そんな事より、ローランドのアバターであれば誰でも騎乗でき、騎乗した状態での戦闘では、ナイトの騎乗戦闘スキルや、異世界の騎乗戦闘に類するスキルを持って居ると効果的に戦える」
桃子の反応に苦笑した後、ノーブルエクゥの説明を続けた。
そして、
「よっ!」
ジェノはノーブルエクゥの背に跨り、
「的の近くにいてくれ」
桃子に言い置いてから高速で駆けた。
「はやっ!! って、ぼーっとしてる場合じゃなかった。的、的」
速さに驚いた桃子がすぐに我に返って急いで的の周辺に移動したのを見計らい、
「はっ!!」
ジェノはノーブルエクゥを高速で走らせつつ、遠当てと呼ばれる技の一種『ディスタントブロウ』で闘気を放ち、的を破壊。
「あんなに遠い所から当てるなんてすごっ!!」
桃子は興奮気味に激しく手を叩いた。
戻って来たジェノは、
「このように騎乗戦闘スキルを装備しながらであれば、高速で突撃しながら剣を振るう事も、魔銃を撃つ事も、様々な戦い方が出来るようになる」
騎乗したままノーブルエクゥの紹介を続ける。
「私の故郷には星獣がいるけれど、ローランドにはローランドの動物がいるんだね。当たり前の事だけど、実際に目にするとわくわくするよっ!!」
桃子はばっちりノーブルエクゥを撮影する。
「これだけでわくわくするのは早い。ローランドにはノーブルエクゥ以外にも動物は存在する。例えば、キャメッチ、ダチョウとラクダが合わさったような鳥もいる。動物好きにもお勧めできる世界だぞ?」
ジェノはたっぷりと動物好きをアピールした。