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“なんにもしない”をしに行こう

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“なんにもしない”をしに行こう
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真白といっしょに

 夏輝・リドホルムと星獣(トランペットイヌ)の真白は、到着して1分もしないうちに散策を開始していた。

 テントの背後は整備された緑地になっており、そこを抜けると、草や野の花で形成された草原が広がった。
「安全そうだな。真白、好きにしていいぞ」
 夏輝の言葉を受け、真白は一目散で走り出した。
 湖から吹く心地よい風が、彼女――真白の真っ白い毛並みを撫でる。
 周囲の草や野の花は日の光を浴び、鮮やかで力強い美しさを見せている。
 任務や制約から解放され、思いのまま自由に走り回る真白の姿を見ている夏輝からは、自然に笑みがこぼれる。
「真白!」
 夏輝が式神の“折り鳥”を投げると、紙の鳥は生きているかのようにすいすいと間白の周りを飛び回った。
「捕まえられるか?」
 ひらひら舞う紙の鳥を、飛んだり跳ねたりときに転んだりしながら真白が追いかけ、やがてパシッと前足で捕まえると、夏輝に届けに来た。
「すごいぞ、さすが真白だ」
 存分によしよし撫でてやると、真白はトランペットのファンファーレを奏でて喜んだ。
 
 そうして草原で存分に遊んだ後――
 
「さて。そろそろお昼だ。戻ろう」
 テントに戻ると夏輝は、クーラーボックスに用意されていた野菜や肉を存分に使った贅沢なサンドイッチを作り、ウッドデッキのテーブルセットにセッティング。
 真白には“境屋お手製アニマルフード”を盛り付けた皿を置き、ふたりのランチタイムが始まった。

「外で食べると美味いなぁ。んん? どうかしたか、真白」
 真白はじぃっと夏輝のサンドイッチを眺めている。堺屋のアニマルフードは十分な奮発なのだが……。
「ちょっと待ってろ。今日は時間がたっぷりあるからな」
 夏輝は頬を緩め、真白のからだを気遣った食材を見繕って皿に盛り付けた。
「♪~」
 真白はご機嫌で夏輝チョイスの食材を食べ、とても楽しい昼食になった。

「さて。昼食も終わったし、なにをしよう」
 のんびり伸びをする夏輝のもとに真白が駆け寄り、彼の”星の結晶”にすり寄った。
「なるほど……。それではお言葉に甘えて」
 
 星の結晶のちからで、真白は星色の狼へと変化。
 さらに周囲に美しい流星群を散らしながら翼を生やし、夏輝を乗せて飛翔した。
「楽しい午後になりそうだ。真白に感謝だな」
 夏輝が真白のふわふわな毛をよしよしする。

「今だけではない。いつもありがとう、真白」
 この世界を共に駆け抜けてきたパートナーを、夏輝はこころをこめて撫でる。

「~♪」
 楽しそうにウタを奏で始めた真白が、勢い良く上昇した。
「うわっ! 真白、ちょっと張り切り過ぎじゃないか?」
 そう言いつつも、夏輝の顔は笑っている。

 ふたりの伸び伸びとした楽しい時間は、まだまだ始まったばかりだ。
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