ティラミスといっしょ★
ピクニックバスケットを持った
狩屋 恋歌が、野の花が咲き乱れるお花畑を走っている。
幼生神獣の
ティラミスは、元気に飛翔しながら恋歌を追っていた。
「あそこ、見晴らしが良さそう……。行ってみよう、ティラミス」
なだらかな丘を一気にかけあがると、広大な草原が広がった。
「景色もいいし、ここでお昼にしよっか」
恋歌がピクニックシートを広げる。それからガラス瓶に入れた冷たい水をふたり分うつわに注ぎ、テントで作ってきたサンドイッチやフルーツをお皿に並べた。
「こっちがティラミス用だよ? 上手にできてるでしょ」
そしてふたりは一緒に「いただきます」をして、思い切りサンドイッチにかぶりついた。
「うん。自然の中で食べるといつもより美味しく感じるね」
恋歌とのお出かけが楽しくて、さらにサンドイッチが美味しすぎて、ティラミスがハートのオーラを飛ばしながら鳴き声をあげた。
すると頭上から、ティラミスの鳴き声に応じるかのような小鳥の声が聞こえ、カラフルな小鳥の群れが、ピクニックシートの周りに舞い降りた。
ティラミスは恋歌の前にちょこんと座り、一緒に歌おうと上目遣いでおねだりをする。
「うふふ。わかったよ、ティラミス」
恋歌は快くうなずき、歌い出した。
「♪~」
恋歌と小鳥たち、そしてティラミスの音色が共鳴。楽しく、いきいきと草原に響き渡る。
見渡せば、お日さまの下で湖がキラキラと輝き、そこから吹いてくる風はとても気持ちが良い。
「楽しいね、ティラミス」
思わずフワリ・ハートでも出してしまいそうな気分で、恋歌はティラミスの頭を撫でる。
気づけば、様々な種類の鳥たちや、リスや野うさぎ、野ネズミやシカといった動物たちがあちこちからひょっこり顔を出している。
「みなさん、一泊お世話になります」
恋歌が丁寧にお辞儀する。
動物たちは警戒心をとき、ピクニックシートのそばまで近づいて来た。
もっと歌ってとティラミスがおねだりしてきたので、
「では、雰囲気が違う曲を歌います」
恋歌は安らぎいっぱいの『清澄の唄声』で、ゆったりとした歌を歌った。
あまりの心地よさに、ティラミスがのんびりお昼寝を始めた。いや、ティラミスだけなく――
「まあ!」
他の動物たちも、お日さまを浴びながらすやすや眠っている。
「みんな寝ちゃった」
微笑みながら、恋歌はシートに横になる。
「ふぁ~……私も、ちょっとお昼寝……」
目覚めてからの時間は、より賑やかで楽しいものになるに違いない――