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ドキドキ♪エンジョイ☆イースター!!

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ドキドキ♪エンジョイ☆イースター!!
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――2――

 料理に勤しんでいるアイドルの姿は他にもあった。
 剣堂 愛菜はたくさん食べたいと参加したのだが、サヤカ・ムーンアイルは自分がいなければ産業廃棄物のような料理を作ってしまう愛菜をサポートするのが主な目的だ。
 どうやら愛菜はお祭りの日にはたくさん食べても良いもの、と認識しているらしい。
 そこで今日はたくさん食べようと意気込んで参加し、イースターにちなんで卵を使うオムライスを作ろうと考えているようだ。
 が、しかし愛菜は何やら大量の卵を用意し始めており、とても不安を感じさせる。
「あたしは大食いだから3人前分作るかな」
 普段は筆談に頼ることが多い愛菜だが、今はリデザイアのアバターでVボイスキュートも使っており、可愛い声を出し普通に話せていた。
 それはいいのだが、3人前と言いながらも割ろうとして持ってきた卵は20個ほどある。
 しかも最初の1個はすでに割られて中身がボウルの中に入っていた。
 これを見て慌てたのがサヤカである。
「師匠、卵多すぎです。何人前作る気ですか!?」
 さらに割ろうとして愛菜が手に持っていた卵を急いで横から奪い、割られた卵に殻が入っていないかさりげなくチェックしながら愛菜を卵から遠ざける。
「え? 多い?」
 愛菜は首を傾げながらも料理に関してはサヤカの言うことに従った方が良いだろうと、オムライスのオム部分である卵はサヤカに任せ、ライス部分を担当することになった。
 炒めている間、焦がしていないだろうかとサヤカが何度か心配そうに様子を見ていたが、愛菜が気付いていたかは分からない。
 何とか無事にオムライスが完成し、愛菜がイースターらしくケチャップでウサギを描こうとすると、ケチャップが見当たらない。
「あれ? ケチャップは?」
「ないですよ? オムライスはデミグラスソースです。いくら師匠相手でもこれだけは譲れません。ケチャップは邪道です。とりあえず食べればデミグラスソースの偉大さが分かります!」
 ケチャップがないと聞き不満げな表情を浮かべた愛菜だったが、サヤカのテンション爆上がり状態での怒涛のデミグラスソース推しにたじろぎ、そんなに言うならと食べてみることにした。
「これで美味しくなかったら怒るからね?」
 そう言いつつ食べてみた愛菜だが、その後怒らなかったところを見ると、デミグラスソースも美味しかったようだ。
 オムライスはケチャップか、デミグラスソースか、という一部こだわりの強い人類にとっては究極の2択問題だったが、今回はとりあえず大きな争いにはならずに済んだようである。

 そんな2人の近くにキッチンカーを持ち込んで料理に励んでいたカガミ・クアールと一緒にいるのはカガミ・クアール…2人は同じ名前ではあるが、一方はキリッとしながらその実残念執事、もう一方はゆるふわぽんこつ使用人といったイメージで、外見だけを見るなら両極端とも言える。
 2人に名前以外の共通点があるとしたら、残念なところと胸が大きいセクシー系というところだろう。
 キッチンカーの内外には調理や提供の様子を配信できるよう、何台かのカメラが設置されていた。
 今回、主に調理を担当するのは執事カガミで、提供するのはゆるふわカガミである。
 調理中の執事カガミの頭に留まりたそうにしているのは白文鳥のロブ。
 今日は調理で火を使うので止まり木を置いてあるのだが、いつものように執事カガミの頭が良いと言いたげに見ていた。
 それに気付いて苦笑しつつ、調理中で手は離せないもののご機嫌は取ってやる。
「ロブ? 気分が乗ったら歌ってくれても良いんですよ?」
 執事カガミに声をかけられ、気が乗ったらしいロブが涼やかな鳴き声で歌う。
 クレープ生地を焼いていた執事カガミは、歌に合わせてクレープをひっくり返す時に自分も華麗なターンを決めようとし、クレープ生地を落としてしまった。
 今のをあまり多くの人が配信で観ていなかったこと祈りながら、キッチンカーの床に落ちたクレープ生地を片付ける執事カガミだった。
 お腹が空かないとあまり人は食べ物を買いに行かないもので、お祭りが始まってすぐはそこまで人の来なかったキッチンカーだが、次第に人が来るようになり、暇そうにしていたゆるふわカガミも少しずつ忙しくなってきた。
 サンドイッチを提供し、具材はオーソドックスなたまごサラダ、レタス、ハムやソーセージで幅広い層の人が食べやすい上、ロールパンやピタパン、クレープから包むものが選べるとあってなかなかの人気ぶりである。
 ついでにゆるふわカガミの接客は何かと距離が近く、服装も大きくスリットの入ったスカートや下着の透けそうなブラウスと大胆なところにうさ耳や尻尾までつけ、Vボイスによって究極の癒し効果まであると男性客メインに口コミで広まっていた。
 普段なら、そんなゆるふわカガミの肩周りにハムスターのムースがいるのだが、今日は動き回ってウサギのようにぴょんぴょん跳ねることもあって頻繁に落ちそうになるため、胸の谷間に潜り込んでいた。
 それでも揺れる度に不安がるのをあやしていたが、ふとしたはずみに大きく揺れて怖がり、ムースが暴れたせいではちきれそうなブラウスから胸が見えそうになるのをカメラがとらえた。
「ぴょんぴょんうさぎさんですよ~」
 と、さらにぴょんぴょん跳ねていたところ着地のバランスを崩して転んでしまい、あられもない姿になったが執事カガミがすかさず隠し、ことなきをえた。


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