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「なぬ!駅前で恐竜型メカが暴れとるじゃと? よしよし、これはいい研究材料が手に入りそうじゃな。早速出動じゃ!」
Dr.バベルこと
ゲルハルト・ライガーはその知らせを聞くと、うきうきしながらアーマードビークルで現場に急行した。
「おお、本当に恐竜型メカじゃ!」
「市民の皆様のー憩いの場ー駅前広場を壊すなんてー言語道断ーだめだめなのですよー」
同じく、ティラノサウルス側に回った
取間 小鈴は、そんな前口上を唱えながら大きなカブトムシ型の影法師を作り出した。
「ティラノサウルスの現在位置はあそこか……なんとか足止めせねばな」
ゲルハルトは考えた。カディヤックヒルに土地勘のある彼は、あることを思い出す。先日、この近くに道路が陥没したところがなかっただろうか?
「おお! あそこに誘き寄せるのが良いかもしれんな!」
と言うことで、彼は小鈴の歌を聴きながら、リニアキャノンを収束モードにして撃ち放った。ロボットは当然気付き、彼に向かって雄叫びを上げながら向かって来る。
「ふははははは! さあ! 追いついてみるが良い!」
彼は高笑いしながら、アニメ「ザ・デリヴァラー」ばりの運転技術で壊れたりした道をスイスイと走る。やがて、彼は倒木に行き当たった。
「おっと」
ジャンプして難なく回避。次の瞬間、
「恐竜さんと言えばーまさに全身これ筋肉ー。この歌でー筋トレの素晴らしさを思い出してくださいーなのですー。それではお聴きくださいー《ふわふわ☆ナイスバルク》」
浮遊感を覚える様な歌声がそこら中に広がった。プテラノドンたちは制御を誤ってあらぬ方向に飛んで行くし、ティラノサウルスも倒木を踏み越えるタイミングを見失った。足を木に引っ掛け……盛大に転ぶ。ゲルハルトは当然、華麗に離脱して下敷きを免れる。彼は倒れた恐竜に向き直ると、再びリニアキャノンを向けた。バベルズ・ストップによる電磁波を撃ち込み、停止させる。
「よし、いまがチャンスじゃ!」
その合図を受けて、小鈴はマジカルフュージルを回転させ、足関節部分に狙いを付けた。立て続けに銃声が轟く。ピンポイントに着弾。ゲルハルトも砲撃を加え、ティラノサウルスの行動不能を図るのだった。