クリエイティブRPG

駅前広場迷子誘導

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駅前広場迷子誘導
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「……変身!」
 青井 竜一はセイヴァー「覇理圏ブルーウルフ」に扮して現場に駆けつけた。プテラノドンに混ざって、以前も巨大ロボ退治で共闘したデーモンが飛んでいるのを見つける。彼はすぐに加勢を決めた。
「正しいことをしている者を助ける。それがセイヴァーズだからな!」
「――殺ジン鬼、覚醒」
 相棒の星識 リンクもセイヴァー「殺ジン鬼」として登場した。あの、「きひひ!」と言う独特の笑い声を上げる。
「今のボクはシルエットチェイサーだからさ」
 彼女は空中に妖刀蛇神を持った影法師を具現化させた。その操作は竜一の傍で行なう。
「ルーシーさん、お久し振りです~♪ 何かロボロボさん達がいるので避難しないと危ないですよ?」
 ルルティーナ・アウスレーゼは、天翔箒【狐星】に乗りながら顔見知りの少女に声を掛けていた。
「久しぶり! ねえ、それよりドロフェイのことを助けてあげて!」
「わふ?」
 ルルティーナは空を見上げた。デーモンウィングを付けたリンクのシルエットが上がっていく先に、見覚えのあるデーモン。
「やっぱりあれ、ドロフェイさんだったんですね~。また、迷子案内してたんです?」
「ううん。たまたま居合わせて」
「あや、珍しい……!」
 目をぱちくりさせた。
「あら、お嬢様のお知り合いですか?」
 と、声を掛けるのは美紗・フローレンベルク
「私(わたくし)、ルルティーナお嬢様の使用人兼護衛を勤めております、美紗・フローレンベルクと申します」
 カーテシーで恭しく挨拶。
「以後お見知り置きくださいませ♪」
「こちらこそ」
「とと、はいっ! わたしもマーニちゃんっていうデーモンの女の子の友達が居るんです、なのでドロフェイさんの事はお任せくださいっ。ルーシーさんも気をつけてくださいね?」
「ありがとう! よろしくね!」
「ルーシーからも『ドロフェイを助けてあげて』って言われたらな」
 クレッシェンドこと星川 潤也は、戦闘用スーツにショットガン、と言う出で立ちで現場に急行していた。快活で心優しい潤也としては、人さらいロボットも勿論、ドロフェイの手助けもやることリストの上の方に来る。
「潤也! 久しぶりですね。アリーチェも」
 ドロフェイが手を振った。一緒に呼ばれたアリーチェ・ビブリオテカリオは、
「べ、別にあんたのことなんて全然心配してないけど……また迷子になると探しにいくのが面倒だし、しょうがないから助けてあげるわよ」
「よろしくお願いします」
 そうこうしている内に、プテラノドンたちが雄叫びを上げながら突っ込んで来た。
「美紗さん、空飛ぶロボロボさんの飛行予測経路上で撃墜しても安全な位置を教えてくださいっ! わたしは、空から叩きますっ!」
「下手に首を突っ込むのは、危険ですからお止めください……と言ってもお嬢様は聞かないのですよね……承りましたわ、お嬢様!」
 ルルティーナからの指示にが恭しく応じる。言葉こそ丁寧だが、次の瞬間、セカンドスピナーを発進させた。土地勘で周辺の情報を収集、利用して、安全な撃墜ポイントを割り出す。美紗はそれを同じ戦域のセイヴァーたちに共有した。
「……わかりましたっ! 美紗さんは地上に降下した奴をお願いしますっ」
「かしこまりました」
「っと、ドロフェイは戦闘中に迷子にならないように、俺たちから離れるなよ。いいか、絶対に離れるなよ」
 と、フラグの様なことを言いながら潤也がラッシュハザードでバックショットを発砲する。一般人を攫おうとしたロボットの行動を妨害した。
「ドロフェイ、この戦闘が終わったらルーシーの所に連れていってあげるから、ちゃんとあたしたちの傍にいなさいよね」
 ツンデレを発揮するアリーチェ。要するに、ちゃんとドロフェイのことを心配しているわけである。言っていることはフラグっぽいけど。彼女は自分の周りを飛ぶマジカルフュージルに合図して、プテラノドンの密集箇所へブレイブアタックを行使した。二挺の火縄銃は、銃口がアリーチェの視線を辿るように動き、魔力を放つ。拡散範囲はそう広くないものの、密集箇所にぶち込むことで効果が期待できる。プテラノドンは錐揉み回転しながら飛んで行く。その、制御を失った個体を、ドロフェイが魔法弾で撃ち落とした。潤也もクイックショットで散弾を放つ。命中精度は落ちるものの、センサースコープが半追尾にしているのでそこまでのペナルティでもない。
「ドロフェイさん、無事ですかっ! わたしもお手伝いしますっ」
 そこへ、ルルティーナが駆けつけた。
「ありがとう!」
(人を収容したロボロボを撃墜したら危険ですね……なら!)
 ルルティーナはアリーチェが吹き飛ばした数体に狙いを定めた。美紗から届いた、安全な撃墜ポイントであることを確認し、
「これ以上は行かせませんっ……! 纏めて叩き落としますっ!」
 雷霆杖キュラウノスを掲げる。その目に、稲妻の様な鋭い光が宿った。
「ライトニングッ、スピアッッ!」
 雷の槍が数本作り出されると、プテラノドンをまとめて撃ち落とした。
 人を攫おうと低空飛行してくるロボットたち。それらには、地上の美紗がククリナイフを投擲する。ただのナイフではない。停止のブレイブマテリアルが込められた一投だ。突き刺さり、ロボットの動きを止める。
「さ、今のうちにお逃げくださいませ?」
 彼女は、今まさに捕まりそうになっていた一般人に微笑み掛けた。礼を述べて去って行く相手の背中を見送ると、
「──さて、これは破壊しておきませんとね?」
 雷を落として完全破壊に乗り出した。

「リンク、あのあたりで迎撃してくれ」
 竜一は隣で影法師の操作に専念しているリンクに告げると、自分はセンサースコープで半追尾状態にした光弾を撃ち出す。いつの間にか受けていたオヤシロ様の祟りが、戦闘力と不安感を高めるが、青い炎でそれを沈め、冷静さと攻撃力を両立させていた。元よりその射撃は精密だ。光弾は曲線を描きながらプテラノドンへ突っ込んだ。
「わかったよ、リュー兄!」
 リンクは、きひひ、とあの笑いを上げながらシルエットを動かした。ソードアシストユニットで攻撃の補正を受けた影法師は、弾丸に追われて突っ込んで来るプテラノドンを正面から叩き斬る。竜一が指定したのは、美紗情報を元に自分も周囲を確認して選んだポイントだ。神話のブレイブソースで更に力を発揮している妖刀は、吸い込まれるようにロボットに斬り込んだ。
 そこへ一体、やや大きめの個体がやって来た。飛びながら次々と斬り伏せるリンクの影を邪魔に思ったのだろう。シルエットで攻撃を受け流したリンクは、それがやや強めであることを悟る。
「ちょっと面倒なのがいるねー」
 地上のリンクは目を細める。
「ここから先は、ボクの殺神儀式だよ! きひひ! ――殺ジン死眼・壊」
 一閃。シルエットがすれ違いざまに敵機を切り裂く。互いに何事もなくそのまま数メートル飛んだが、唐突にプテラノドンの方が真っ二つになって墜落した。

 敵を粗方倒してしまう頃には、ティラノサウルスも撃破が済んでいた。ドロフェイが降り立つと、竜一が彼に歩み寄る。
「おつかれさまだ」
「助けてくださってありがとうございました」
 ドロフェイは微笑む。ブルーウルフは肯いた。
「セイヴァーズは、正しい行いと思えば力を貸す。それだけのことだよ」
「それじゃ、ドロフェイ、ルーシーの所に行こうぜ」
 潤也が声を掛けた。アリーチェも一緒だ。
「ええ。お願いします。多分僕が一人で探すと絶対に迷うので」
「ああ。ちゃんと付いて来いよ。絶対に離れるなよ」
「そうよ。絶対に離れるんじゃないわよ」
「はい、絶対に離れません」
 フラグ発言三コンボ。三人はルーシーを探しにその場を離れた。
「……大丈夫かな」
 竜一はそれを見送って、ぼそりと呟くのだった。
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