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<スカイドレイク外伝>元・大カーンの多忙な外遊録

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<スカイドレイク外伝>元・大カーンの多忙な外遊録
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~ ただいま ~

 久々にニュートラファルガー空港に降り立ったその時から、バルター・アイゼンベルトの眼差しは常にひとつの場所へと向けられていた。
 空港に停泊したばかりの飛空船を手早く台車に乗せて、あれよという間に持ってゆく手際。慌ただしい怒号があちこちで響き、手早く飛空船を分解整備する。
 その中で一際厳しい声を上げていたドワーフじみた小柄な髭親父が――ふと、こちらに視線を遣った。そしてその瞳を大きく見開いて、驚いたように、懐かしむようにこちらに手を振っている。
「どうした! ……見た目はさほど変わらんが、随分と立派になった様子だな」
 ギブスン親方が熱くなった目頭を拭うと、顔に黒ずんだ油汚れが付着した。だが、親方は構わない。彼が広げる両腕の中に入って、自らも同じ汚れを塗りつけられることを、バルターのほうも構わない。

 思えば長い旅をすることになった。
 ワハート・ジャディーダではジンの魔道具技師の真似事をして。その結果、紆余曲折あって伝説の存在のジンの王イフリートと出会い。
 あの時失くした手帳には、もっとたくさんのことが書かれていたはずだ。だが、そんなものがなくたって、バルターの心にはその全てが刻みこまれている……そしてそれらの原点が、今、彼の前にいる親方だ。

「どうです、ワハート・ジャディーダ産のナツメヤシ酒でも。ああ――あの国は菓子も盛んなようだった。親方さえよければそちらのほうも」
「ははぁ、そいつはちょうどいい。ちょうどウチのやんちゃ坊主が、こさえたガキと一緒に戻ってきたとこだ……地上教団の技術に、揚力飛行機に。あの野郎、すっかり新しい技術を俺に教える立場になったつもりでいやがる!
 ま、つもる話はこいつを整備し終わってからだな。手伝いな、元・若造! 今のお前の腕を俺に見せてみろ――」



 世界はこれから変わってゆくし、変わらざるを得ないものだってある。
 それでも決して変わらないことは――この雲の上の世界にも、人生を謳歌する者たちがいるということである。
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担当マスターより

▼担当マスター:るう

マスターコメント

 以上が、<スカイドレイクII>シリーズの後日談にして<スカイドレイクIII>シリーズの前日譚となる物語でした。時系列的には次シリーズのシナリオガイドと一部同時進行くらいの出来事となります。
 今日見てきたとおり、大戦を終えた後もスカイドレイク世界には多くの問題が残されてはいます。しかし、人々はそれらを解決すべく、これからも歩みを続けることでしょう……。

 スカイドレイク第三シーズン第一話『<スカイドレイクIII>反目の双子島』シナリオガイドは、近日中に公開予定です。