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魔獣大量発生地区と隠された秘密

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魔獣大量発生地区と隠された秘密
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第1章『説得と潜入』

 魔素汚染の濃い危険地区にUnknown(綾瀬 智也)は足を踏み入れた。

「私立探偵として地区内にいる人々を探して様子を探ってみますか」

 Unknownは連れてきた『サイコフェレッツ』に『サイコフィード』を食べさせる。
 すると、3匹のフェレットは地面の匂いを嗅ぎながら危険地区を進み、彼も後を追った。
 しばらくして、フェレットの動きが止まり、位置を示すように振り返る。
 Unknownが見ると、みすぼらしい格好をした男性が座っていた。
 Unknownは『カームフォーマル』で相手を安心させる雰囲気を醸しだしながら、その男性に話しかけた。

「いきなりで申し訳ないのですが、自分は私立探偵をやっているものです。いくつか聞きたいことがあるのですが」

 彼は『オークパイプ』を咥え、頭を冴えさせると同時に魔素を介して男性やその周囲の情報を読み取ろうとした。

「何故ここにいるんですか? どこから来たんですか?」
「・・・・・・まえは、とじこめられていた、くらいところ。そしたら、きゅうに、ここにいろって、『しろいひと』が」

 男性の言葉はたどたどしい。まるで子どもと話しているような感覚だった。

「ライカンスロープについて何か知っている事はないですか? 襲われた事がありますか?」
「おそわれたことはない。でも、まえはすぐちかくにたくさんいた」
「食事をとっているようだが、その日銭はどうやって稼いでいるんですか?」

 そう問いかけると男性は首を傾げた。どうやらお金や稼ぐという概念はなさそうだった。

「今はこの人数のようだが前は今よりも人がいたのか?」

 Unknownの質問に男性は首を振る。

「だれかいなくなったら、そのぶんふえるだけ。『しろいひと』がつれてくる」

 ある程度質問をすると彼は自身の思考の奥深くへと潜り込み、今までの情報から一つの可能性を導き出す。

「ここの住民は『しろいひと』にライカンスロープとともに捕まっていた。しかも、知能が下がるか身につかないほど長い間。そして、なんらかの条件で危険地区内に移動させられる、といった感じですかね」

 Unknownはパイプを口から離し、煙代わりにため息を吐き出した。


 危険地区に棲まう人々の元に月猫(織羽・カルス)たちは向かっていた。

「彼らがこんな風になってしまったのは、魔素汚染が原因なのかな? ずっとここにいたら危ないよね・・・・・・なんとか安全な場所へ保護したいな」

 『探偵コートワンピース』を着た彼女は仲間とともに地区内を探索していた。その中にはアジトで見かけたヘンリー・ルイスもいた。マスクをしているにも関わらず、他のエージェントに比べると具合が悪そうだった。
「大丈夫。無理しないでね」
「あ、ありがとう。だ、大丈夫だから」

 ちょっとふらつきながらもヘンリーは進んでいく。彼女はその背中を心配そうに見守っていた。

「織羽殿の避難させる気持ちは尊いのじゃ・・・・・・。誘導やら治療を手伝いつつ、原因をハッキリさせたいところじゃ!」

 月夜鳩(高橋 凛音)は護衛の忌ノ宮 刀華とともに危険地区に向かっていた。
 月夜鳩は『エーテルマスク』と『アンチサイキックスーツ』に身を包み、土地鑑を頼りに進んでいく。

「ライカンスロープが暴れる危険区域ですかぁ・・・・・・。何時もながら凛音様も無茶するですぅ〜」

 『スタンドカラーコート』を翻し、刀華も後からついていった。
 第六感を頼りに進んでいると、視線の先にいる建物に人がいるように感じた。

「向こうの家に人がいそうだよ」
「織羽殿、此方からの方がスムーズに中に入れるぞい〜コッチじゃ!」

 彼女らが歩み寄ると、噂に聞いたとおり痩せ細った人々が身を寄せ合って座っている。

「こんにちは!」

 彼女は怪しまれないように挨拶をした。部外者は珍しいのか、住民は目を見開くが逃げるような素振りはみせない。
 よくその具合の悪そうな顔を見れば、なんとなく先ほどのヘンリーに似ている気がした。
 ひとまず月猫が用意した軽食とお茶を目の前に差し出すと、観察するように見たり匂いを嗅いだりしたあと、食べ始めた。
 その間に月夜鳩は学んだ治療法を頼りに棲みついていた人々の様子を見る。

「うむ・・・・・・取り敢えずは打撲と簡単な栄養失調状態かのぅ〜」

 月夜鳩は刀華から『救急セット』を借り、打撲などの応急処置をした。布きれ同然の服に裸足の状態で擦り傷も多かった。

「出来れば専門医に診て貰った方が良いが、普段飲み付けの薬とか在るかの? 後、普段どんな物、食べとるのかの?」

 問いかけると、店や診療所にあるものを貰っていると伝えた。
 とても美味しそうに味わってくれるが、それまでの動きは成人のそれではなかった。それでも月猫は質問をする。

「こんな危ない場所にどうしているの? ここよりも安全な場所があれば、そちらに来てほしいなぁ」

 言葉に角を立てないように安らぎを与えるような声で問いかけた。しかし、ほころんでいた顔が暗く沈み、首を振る。

「ここからはなれることはできない。ここからはなれたひとはみんなおかしくなった」

 その情景を思い出したのか、布きれを来た女性の手は震えた。すると、月猫は自分の手を重ね、安心させようとする。

「確かに怖いよね。でも、パパやママを思い出すから・・・・・・皆さんが心配なんです」

 その瞳には涙が浮かんでいた。

「どうじゃ? 織羽殿もこういってるんじゃし」
「でも、わたしたちここのたべものやくすりがないと」

 住民が不安げに顔を曇らせていると、うなり声が聞こえてきた。

「凛音様は織羽さんと一緒に行動して下さいな〜」

 刀華が武器を構えながら、声がする方へ近づいていく。そこには苦しそうに胸を押さえる男がいた。
 服装からして危険地区に棲みつく一人であろう。

「おまえ、たしかここからでたんじゃ」

 他の人々も驚く中、男は一層苦しそうにする。

「こちらで治療せねば。早う連れてくるんじゃ」

 月夜鳩に言われ、刀華が肩を貸そうとした瞬間、男は雄叫びを上げた。
 そして、みるみるうちに角と牙が生えた鬼のような姿に変わる。
 刀華はその殺気に瞬間的に反応し、身体を翻すと4発蹴りを入れた。
 すると、元々かなり弱っていたようで、鬼は呆気なく倒れてしまう。
 目覚めないか確認すると、月夜鳩と刀華は応急処置をしつつ様子を見た。

「グール化、ではないみたいね~。鬼のライカンスロープということかなぁ。でも、自分の意志で変身しているようには見えなかったなぁ」
「もしや、ここに棲んでる人々は皆ライカンスロープじゃが、薬で変身せぬよう抑えてるんじゃなかろうか」

 月夜鳩は考えを巡らせながら、仲間が持って帰ってきた水や食料を『リサーチキャリアー』で調査していった。


「この地区の店には、見たことも無い商品があると言う報告があった。調べてみるとしよう」

 ダブルイーグル(ジェノ・サリス)は自身の正体を隠すために、どこにでもいそうな料理人のような見た目になった。
 エージェントたちが各々進んでいく中、一際調子が悪そうに歩いているのはヘンリー・ルイスだった。

「大丈夫か? 無理は禁物だぜ、新人」

 見かねた灰色探偵(ジェイク・ギデス)が声をかける。
 しかし、ヘンリーは心配いらないとばかりに危険地区へと向かっていった。

「期待の新人(?)は、憧れの美人お姉さんにいい所を見せたいって所かね。若いね~、実に青春をしているじゃないか。だったら、ベテラン探偵のこの俺が一肌脱いでやろうかね」

 そう問いかけると相棒の『サイコニャン』が返事をするように、にゃあ、と鳴く。
 こうして、ヘンリーとともに危険地区の中にある店へ入っていった。
 店内は埃っぽく食料を奥にはとても不衛生な場所だった。店主が一人いる中、ダブルイーグルや灰色探偵は物色しはじめる。
 品物としては水やパン、お菓子などすぐに食べられるものが多いが容器が古く見えた。
 店内に並んでいる食料や衣類をよく見れば、作ってからだいぶ経過していることが分かる。
 店主の目を盗み裏を返せば、期限が切れているものばかりだった。
 さらに、片手で飲めそうなゼリー飲料やブロック状のビスケットもあるが、商品名すら書いていない。
 灰色探偵はそれらを手に取り、次々とヘンリーに持たせていった。

「え、おもすぎます。こんなに買うんですか?」

 急に重量が上がり、足元がふらつく。そんなヘンリーに彼が笑った。

「男ならこれぐらい持てなきゃな。ガブちゃんに惚れているんだろ?」

 会計を済ませると灰色探偵は店から離れ、人気のないところへ向かう。
 一方、ダブルイーグルは一通り買いたいものをレジらしき机の上に置き、店主らしき男に話しかける。

「ここには見慣れないものがあると聞いてきた。何か新しいメニューに加えられそうなおすすめの食べ物とかあるか?」

 店主は商品を確認しながら彼を一瞥する。

「そうですかねぇ? 安いのが売りなだけですよ。値段はそうですね・・・・・・」

 提示したのはコイン一枚だった。ダブルイーグルにはいくつか違和感を覚える部分があった。

「さすがに安すぎないか。いくら期限切れとはいえ、その値段では商売がなりたたないだろ。そんなに仕入れ値が安いのか? それに、なぜ値段言うまでに時間がかかった?」
「仕入れ場所やらはちょっとお教えできねぇです。まぁ、安さに免じて勘弁してくだせぇ。まぁ、今回の値段はお客さんだけの大サービスですけどぉ。それよりも今『期限』がどうのって」

 店主に突っ込まれ、ダブルーイグルは咳をした。

「『期限が切れそう』と言いたかったんだ、すまない。それじゃ」

 会計済みの商品を持ち、店を出て行った。ある程度進むと路地裏の方へと曲がる。そして、料理人としての職能で調べ始めた。
 パンやお菓子は期限が切れているものの、特に異常は見られない。しかし、水や謎の食品には薬品に近い成分が出てきた。

「これは詳しく調査してみる必要があるな」

 その頃、灰色探偵はヘンリーが持っていた水や食料を一通り並べていた。

「こっから本番、だな」

 灰色探偵が『サイライター』で煙草に火をつける。脳が刺激され、精神が研ぎ澄まされていった。
 さっそくゼリー状の飲料を手に取り、残留した魔素から情報を読み取る。
 大量の薬品に白衣の人々、暗いところから一気に明るくなり店内に置かれる情景が思い浮かぶ。

「薬のような成分が混じってる可能性があるな。あと、店に置かれるまでのスピードが速い・・・・・・製造している場所が近いということか」

 灰色探偵は考えながらもヘンリーに呼びかけた。

「新人、どんどん次の持ってこい!」
「はい、わかりました」

 ヘンリーはサイコニャンとともに買ったものを灰色探偵に渡していった。


 店側の調査を終え、ヘンリーが危険地区内を歩いていると、同じくらいの年頃が握手を求めてくる。

「俺は牽牛星だ。よろしくな、メナシ」

 牽牛星(星川 潤也)に手を出され、ヘンリーは握手を交わした。
 そして、隣にいた織女星(アリーチェ・ビブリオテカリオ)が自身の胸を叩く。

「あたしは織女星よ。超能力が使えるから、サポートは任せなさい」

 こうして、3人は診療所の方へ向かった。診療所と言っても建物の一室に薬や器具が並べてあるだけの粗末なものだった。
 織女星が近くで待機をする中、牽牛星とヘンリーは学生のふりをして診療所に入っていく。

「この数日、ちょっと風邪っぽくて・・・・・・」

 ゴホゴホと咳き込む牽牛星。それを真似てむせるヘンリー。しかし、目の前の医者は顔をしかめる。

「なら薬局とかで薬買えばいいじゃん。わざわざここまで来たのかよ、めんどくせ」

 ボサボサ頭で汚れた白衣を着た医者が悪態をついた。
 普通の人なら医者を見ただけでも帰りそうだが、牽牛星はそこをなんとかと食い下がる。
 渋々医者は了承し、牽牛星の診察を始めた。しかし、素人の目でも分かるほど、雑に心音を聞いたり目や口の中を見る。

「やっぱり言う通り風邪だろう、薬出しとくから。じゃ、もう一人もとっとと終わらせるぞ」

 そう言って今度はヘンリーを椅子に座らせた。ヘンリーがマスクを外すと、医者は驚いたように彼を診察しはじめる。

「なんで・・・・・・いや、まさかな」

 独り言を言いながら診察し終えると、それぞれ薬を出した。牽牛星たちはお礼を言って診療所から出る。
 そして、織女星と合流すると、貰った薬を取り出した。

「さっそく鑑定しちゃうわよ」

 織女星はもらった薬に触れ、残った魔素から情報を読み取ろうとする。
 見えてくるのは先ほどの医者とは違う白衣の人間と研究所らしき場所、だが微かに血生臭かった。
 一方、その間に牽牛星は学生鞄に偽装した『リサーチキャリアー』で成分を鑑定する。
 牽牛星がもらった薬はただのビタミン剤だったが、ヘンリーがもらった薬には『銀の弾』に近い成分が検出された。

「『銀の弾』に研究所ね・・・・・・でも、普段これを飲んでるのは、ここに棲む人たちでしょ」

 織女星がしばらく考え込んでいると、突然閃いたように目をカッと開く。

「なるほどね・・・・・・わかったわ。つまり、危険地区に棲んでる人たちはみんなライカンスロープなのよ。この薬は暴走を抑えたり魔素汚染による症状を抑えたりする成分が入ってるんじゃないかしら」
「少なくとも簡単に手に入っていいものじゃない」

 牽牛星が急いで診療所に戻ると、医者は裏口の方から出ようとした。
 裏口の先にはマンホールがあり、その蓋が開いている。牽牛星は医者を取り押さえると、ヘンリーに伝える。

「警察を呼んでくれ、メナシ。どうやら、こいつを野放しにするわけにはいかないようだぜ」

 ヘンリーが一度出て警察に連絡している間に『クワイエットガン』を医者につきつける。

「何故こんなものを街に広めてるんだ?」
「広めてるつもりはねぇ。薬は本来ここにいる奴らのための物だ。アンタみたいな奴には関係ない」

 先ほどめんどくさがっていたのとはうって変わり、医者は怯えていた。やがて、警察が到着し謎の医者を連行していった。



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