■動物と過ごす時間
快晴の昼、テルス、サクスンのとある牧場の前。
「送ってくれてありがとね。迎えもよろしく!」
舞阪 小梅は、送ってくれた
鷹野 英輝に礼と共に迎えの事を念を押すのも忘れない。
「えぇ、約束の時間は守って下さいね」
生真面目な英輝は、訪れる前に決めた約束を思い出させた後、行った。
「はいはい」
小梅は軽い調子で見送った。
改めて、
「ここがテルスの動物と触れ合う事が出来る牧場とか」
牧場を見上げながら、手に入れた情報を頭の中で確認してから、
「マジ楽しみ♪ 珍しい動物と触れ合いが出来たらいいなぁ」
期待満々の笑みをこぼしながら、牧場に入った。
「ペルドア牧場にようこそ! あたいはリコ。牧場主の両親は出掛けてていないから、何かあったらあたいに声を掛けてね」
15歳の作業服を着た活発な娘がやって来た小梅を迎えた。
「よかったら動物達におやつをあげる体験をしてみない?」
リコは動物触れ合いの定番に誘う。
「やるやる♪」
小梅は即答し、リコから動物達のおやつを幾つか貰ってから、喜々と交流しに行った。
「こんにちはー、小梅だよぉ」
小梅はペガサスの子供に近付き、少しも警戒されぬようにと優しく声を掛けてから、
「おやつをどうぞ♪」
お菓子を差し出した。
ペガサスはじぃと小梅と差し出されたお菓子を見比べ、
「どうぞ♪」
敵意は無いと認めたのか、そろそろとお菓子を食べた。
「にゃふぅ、可愛い☆」
小梅は、小さなペガサスの愛らしい食べっぷりに堪らず、手が伸びもふもふの毛並みに触れる。
「もふもふだぁ」
ペガサスは嫌がる事無くされるがまま。小梅はもふもふを堪能した。
その時、
「ん、不吉な予感が……でもこれは……」
『フューチャーヴィジョン』が小梅に不吉な出来事を予知させるが、なぜだかクスリと笑みを洩らすだけで対策をする様子が無い。
なぜなら、
「ん……あらあら」
かまって欲しいという悪戯で命の危険は無いから。
「ほら、引っ張らないで、遊んであげるから」
小さな子供のグリフォンが、遊んでとばかりに小梅の桃色の長い髪を嘴で引っ張っていたのだ。
小梅の返事を聞いたグリフォンの子供は、ぱっと嘴を離して飛び駆け出した。
「駆けっこ、負けないよ」
察した小梅は、グリフォンの子供を追いかけた。
この後、約束の時間までたっぷりと動物達と交流した。