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それぞれの世界での夏祭り・7

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それぞれの世界での夏祭り・7
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■ドキドキな探検


 雷雨の夜、ザンスカール、イルミンスール魔法学校。

「きっちり形から入ると気持ちが昂るよね!! コスプレ魂を発揮していく所存だよ♪♪」
 アードレア・クルセイドも楽しむ準備は完璧だ。ハロウィン魔女ローブを着込み、胸には翡翠のブローチ、手にはカボチャのランタン。
「魔法学校の夜会だなんて、面白そうだよね!」
 心躍らせるタバサ・エクセリオも、纏うハロウィン魔女ローブの裾を持ち上げた。頭には魔女の花飾り、指には紅玉の指輪と、おめかしも完璧だ。
「でも、実際どんな感じなのか全く想像がつかないね。ワイワイガヤガヤな感じで意外と普通だったりして」
「それはそれで楽しいよね!」
 アードレアとタバサは夜会に思いを巡らせる。
 そして、
「さぁ、二人で校舎内を探検だー♪♪」
 タバサの言葉を合図に、アードレアが持つカボチャのランタンの淡い光を頼りに探検をしながら、夜会の会場へと向かう。

 廊下を歩くタバサとアードレアは、
「天候もなんとビックリの雷雨だし~!! 不思議な運命を感じずにいられないねっ♪」
「天候もだけど、校内も薄暗くてまるでお化け屋敷だよ」
 窓の外から聞こえる激しい雨、薄暗い校内と別の意味で雰囲気盛り沢山。
 ピカっと雷鳴が轟くと同時に真っ白な稲光が駆け、
「うわあっ!! 窓ガラスに謎の超絶美少女が映ってる!!」
 タバサは、窓ガラスが照らされ映し出された姿にびっくり。
「タバサ?」
 突然の大声に驚くアードレアに向かって、
「……よく見たら私だった♪♪」
 タバサは舌をペロリ。いつもの調子だ。
「驚かせないでよ」
 アードレアは、呆れと安堵混じりの調子で言った。
「へへへ、何かドラマのワンシーンみたいだったよね!」
 タバサの明るい笑い声が閑散とした廊下に響く。
「そもそも、森林に囲まれた立地、世界樹の中に作られた学校っていう時点で、絵になるよね。オシャレすぎって感じで!」
 タバサはくるりと、周囲を見回す。薄暗くても内装の見事さは分かる。
「だから、雰囲気があるよね。そんなに驚くタイプじゃないけど、どこもかしこも全く知らない空間で、他の生徒と出会ってしまう可能性だってあるわけだし、ドキドキだよね♪」
 アードレアが手に持つカボチャのランタンで周囲を照らした瞬間、
「こんばんはー!」
 闇からぬっと、16歳の女子学生が姿を現した。
「!?」
 アードレアとタバサは突然の事に少々驚いた。
「驚かせてごめんね! あたし、魔法料理を研究してるリズン・ヤーラ。お詫びにあたしが作った魔法お菓子をどうぞ」
 リズンは謝ってから、抱えている紙袋の蓋を開けて、お菓子を勧めた。
 中には星型のクッキーが沢山入っていた。
 手に取った瞬間、
「わぁあ、光ってる!?」
「本当の星みたい」
 星型のクッキーがキラキラと煌めき、タバサとアードレアの目を驚かせる。
「味もキラキラで、美味しいよ」
 タバサとアードレアの口内は、
「甘かったりスパイシーだったり、味がころころ変わるよ」
「美味しい」
 リズンの言葉通りの味で大賑わいであった。
「今回の夜会にも沢山、お菓子を出してるから食べに来てね」
 リズンはお茶目なウインクを二人に投げてから、夜会へと急いだ。
「行くよ!!」
「必ず!!」
 アードレアとタバサはリズンを見送った後、校内探検に戻った。
 そして、
「こんばんは!」
「お邪魔しちゃっていい? こんぺいとう食べる?」
 アードレアとタバサは、ドアに出会う度に一つ一つノックをし、
「いいよ、入って入って」
「研究、見ていく?」
 相手の許可を貰えたら、部屋にお邪魔をしてお喋りをしたり研究を見せて貰う。
 明らかに危険な匂いがする部屋を避けながら、探検をして回る中。
「いかにも何かありそうなのは図書室だよね!! 普段から静かな空間は、深夜にはどんな世界に変貌しているのかな??」
 辿り着いたのは図書室だ。
「本のお化けがひゅーどろどろって、出たりして!!」
 傍らのタバサが両手で定番のお化けを手振りで表現し、からかう。
 そんなからかいを聞きながら扉を開け室内に入った瞬間、
「……お化けって、確かに出て来そ……って、タバサ?」
 気軽にからかいに答えようとして隣を見ると、いたはずの恋人の姿が消え、アードレアは慌てて周囲をきょろきょろ。
「タバサ、ちょっと、どこに隠れているの?」
 アードレアは声を張り、名前を呼ぶが出て来る様子がない。
 その様子を見る者が一人。
「ふふふ、ビックリしてる、してる」
 タバサだ。『高速飛行』で 高く聳える本棚の上に隠れ急に自分が消えて驚く恋人の姿を高みの見物である。
「どのタイミングで出ようかな……にしても、裏世界に繋がっていそう」
 タバサは悪戯な笑みで、恋人の動向を楽しんでから、背後に広がる闇にわくわくを抱く。
 しばらくして、タバサは姿を現しアードレアを驚かせ、二言三言言われた。
 そして、夜会の会場へ行き、
「この日常と非日常の狭間を越えて未知の世界へ飛び出すよ!」
 アードレアはタバサと一緒に参加した。魔法と美味しいを沢山満喫したという。

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