■大胆な夏
快晴のビーストリア、海岸。
「どうだ、なかなかの眺めだろ。一番の穴場らしい」
死 雲人は無人の砂浜と広大な海を前にして、背後の華やかに声を掛けた。
「キャンプと聞いたので、てっきり森だと思っていましたが、海もいいですね」
「森だと思ってたから、あたし達、水着持ってきて無いよ。思い出を撮るためのカメラはあるから撮影は任せて」
ミランダ・カースとラライ・フォールは、想定外の場所に驚きながらも、素直に海を喜んでいた。
「水着は俺が用意したから問題ない」
雲人は不敵な笑みと一緒に、可愛らしい紙袋を差し出した。
「用意がいいね! よし、着替えて来るよ」
ラライは紙袋を受け取り、急展開に戸惑うミランダを連れて着替えに行った。
雲人も水着に着替え一番に砂浜に戻った。
しばらくして、
「この水着、低身長の貧乳じゃ似合わなくない?」
ラライが雲人が用意した色気溢れる大胆な水着を披露するが、絶壁胸に肩を竦めた。
「いや、流石だ」
彼女との初対面時の発言通りの雲人。
「ありがとう。で、胸があってこそという事で、ほらほら、ミランダ」
察しているラライは、後ろに隠れるミランダを強引に雲人の前に引っ張り出した。
ミランダの姿を見た雲人の第一声は、
「おお、似合ってる」
当然褒め言葉であり、視線が一番にいくのは胸である。誰もいないため見放題だ。
「…………見過ぎです」
視線に気付いたミランダは、消え入りそうな声で一言。控えめな彼女には、高難度の水着だ。
「それ程、ミランダが魅力的という事さ」
雲人は不敵な笑みで返し、
「…………意地悪です」
ミランダは顔を真っ赤に口を尖らせる。
「意地悪でいいさ。顔真っ赤にする可愛いミランダが見られるならな」
ミランダのどんな表情も楽しむ雲人は、
「そもそも演劇とかライブの役者達は、露出度高い服装をする事もあるだろうに恥ずかしがる事もないだろう」
からかい始める。
「……確かにそうですけど……今は違いますし……」
赤面のミランダは、返答に窮する。
「どう違うんだ? 演劇で俺とのキス、大観衆で見せた癖にー?」
赤面な彼女をもっと見たい雲人は、さらに意地悪を重ねる。
ラライのシャッターを切る音もあり、
「…………もぅ」
ミランダは堪らず口を尖らせ、顔を背けた。
「悪かった悪かった。折角海に来たんだ。泳ごうか」
気が済んだのか雲人は、ミランダの手を掴み海へ。
その姿は、ラライによって写真に収められた。