■筋肉踊る夏
快晴のアーモリー、とある姫令部。
「はぁああ、天山の脅迫を受けて参加してみれば……何でこうなった」
万年 忠道は深い溜息。職務に心を砕いていた所に、参加を決めるまでスクワットをやめないという謎の脅迫に根負けしてここにいるのだ。
「まあ、他所属の戦姫と教導官が来ると言っていたが……」
乗り気ではない忠道の眼前では、
「しゃぁぁあ」
「負けねぇぞ」
「教導官だって、鍛えてるんだから」
戦姫や教導官が鍛えぬいた肉体を競い合っていた。
「……『魁!! 漢姫~夏勝の宴』だったっけ、アイツら正気か……」
忠道は祭りとの温度差は胸中にとどめ、社交的な笑顔と態度で見て回り始めた。
「相撲か?」
飛姫ジェットツッパリと超重量鉄壁車姫の戦いを覗き、
「凄いですわね」
声を掛けて来た女性教導官に対して、
「あぁ、凄い奮闘ぶりだ」
忠道は笑顔で対応したりと交流を行った。
「教導官! みてて下さい俺の生き様!!」
陸/一式砲戦車が、
「ん、カラオケバトル? 他のワールドの影響か? 採点は技能と漢魂?」
バトルの内容やら採点やら色々疑問に思う忠道の前で、
「陸姫ぇぇええ魂しぃぃいい!!!」
雄たけびの如く魂を込めて歌う。
「魂が震えるぞぉぉ」
「うぉおお」
「次はあたしだーー」
歌声に魂が震え叫ぶ参加者達。それこれが採点の漢魂の枠だ。
「よく来た! ゴリゴリに筋肉をつけるだけが全てじゃないのさ……見るがいいさ! この美筋をね!!」
ボディビル大会を覗くと、セクシーポーズで他を圧倒する
航/補給艦“速吸”に迎えられた。
「どう見ても、これ酒じゃないよな。そもそもお前ら、食品って嗜好品じゃなかったか」
忠道は焼き肉大食い大会を覗き、酔った様子の
空/一式陸上攻撃機の手にある飲み物を確認するなりツッコミを入れた。
すると、
「ギャハハハハ! てめぇ空気だ空気、空気で酔え! そして食え」
無茶な事を言われた上に口に肉を押し込まれた。
「……案外、美味いな」
口に入れられた肉を食べた忠道は、思わず感想をぽろり。
「何か勢いだけの祭りにバカらしくなったな。混じってみるか」
忠道は相性とか立場とか全く考えず、騒ぎまくる周囲に身を任せる事にした。
という事で、忠道が最初に参加したのは、
「さあ、共に行きましょう、教導官うおおおおお祭りだあああ!!」
フライング気味に走り出す
空/“天山”が見られるレース。炭酸を飲み干した後、陸・空・海それぞれ絶叫しながらゲップが出るまで一直線に進む炭酸智筋一気飲み絶叫走であった。