クリエイティブRPG

ヒロイックソングス!

アイドル大図鑑第3回目の生配信

リアクション公開中!

 97

アイドル大図鑑第3回目の生配信
リアクション
First Prev  4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14  Next Last

■夜の華乱葦原


 快晴の夜、華乱葦原の桜稜郭の出入口。

「久しぶり! 前回の生配信に協力してくれてありがとう!! あと、交流会以来だねっ!! また一緒にライブを見たいなぁ!」
 桃子が親し気に声を掛けた相手は、
「お久しぶりです。モコさんもお元気そうで何よりです」
「モコさんのアイドル図鑑の配信、フェスタの寮の自室で視聴していて、毎回、楽しみにしていました!」
 『気品』を纏う邑垣 舞花と『令嬢の嗜み』を心得る空花 凛菜だ。二人は揃って丁寧な再会の挨拶をした。
 桃子から今回の生配信の話を聞くと、
「そういえば、モコさんと華乱葦原でお話しするのは初めてですね。舞花お姉様も」
 凛菜は、ふと思い出し舞花と桃子を見た。
「はい、初めてです。モコさんと一緒に凜菜さんのご紹介を楽しめたら、と思います」
 舞花は笑みながら、二人の顔を見返した。改めて訊ねるまでもなく、生配信に協力する心積もりだ。
「では、張り切って桜稜郭をご紹介したいと思います!」
「妖怪、半妖、人間が住む賑やかな世界へようこそっ!!」
 早速、凛菜と桃子は、案内を始めた。

「とても活気がありますね」
 街に入った途端、舞花は飛び込んでくる賑やかさに笑みをこぼした。
「舞花お姉様には、楽しんで貰いますね(飛び入り歓迎の座に参加出来ればいいのですが……)」
 凛菜は桃子と一緒に舞花に様々な区を案内して行った。
 案内の最中。
「じゃじゃーん、ここは色町って言って、無法者がいたりちょっぴり危ないけど、『神楽座』という有名で大きな座があるんだよ!」
 色町に入った。
「……凄いですね」
 桃子の説明を聞いた舞花は、一言。眼前には酔っ払いの喧嘩やら綺麗所の客引きなど、三種族入り乱れているため一層騒がしい。
「……舞花お姉様、モコさん、あの座を覗いてみましょう(丁度、飛び入り歓迎とあります)」
 凛菜は目の端に条件を満たす座を発見し、誘った。
「……飛び入り歓迎とありますね」
「小さい座だけど、凄く賑やかそう」
 舞花と桃子も好奇心を胸に続いた。飛び入り歓迎の札を掲げた小さな座へ。

 中に入った三人を迎えたのは、
「我が座『三陽華(さんようか)』にようこそ! 三種族三様の輝きと華やかな舞芸をご覧あれ! 飛び入りも歓迎!」
 座の関係者である人間女性の司会と観客達の歓声と拍手。
「飛び入りをして来ますね」
 凛菜が言い置いて、舞台に行こうとすると、
「飛び入りって、舞台に!?」
 桃子は驚いた。何せ、凛菜がライブに立つ姿は見た事が無かったから。
「はい、心配はいりません。花形舞芸者の証を所持する身ですから」
 凛菜はちらりと花形舞芸者の証を桃子に見せてから、舞台へ行った。
「観客席で応援していますね」
 舞花は笑顔で見送った後、
「モコさん、一緒に凛菜さんの舞芸を鑑賞して応援しましょう」
 桃子に声を掛けた。
「うん、応援しよう! どんなライブなのか気になるし!!」
 驚きが落ち着いた桃子を支配したのは、凛菜のライブへの興味だ。

 舞台に立った凛菜は観客達に一礼してから、
「♪♪(さあ、舞いますよ。何事もチャレンジです)」
 【スタイル】巫の凛菜は、舞踊を司る神に捧げる舞『天女の舞』を美しくしなやかに舞う。
「♪♪」
 位の高い巫のみが到達できる境地がいかなるものかを観客達に存分に見せつける。
「うわぁ、踊ってる!」
 桃子は実際に凛菜が踊る姿に驚き、見入った。
「ふふ、そうですね」
 舞花は、桃子の驚きぶりに笑みを洩らしながら舞台を見る。
 舞台はまだまだ続く。
「♪♪」
 凛菜は柄頭には色とりどりの飾り紐が下がっている寵剣イザナミを振り、笛のような音を鳴らしながら『天津奏で舞い』を踊る。
「♪♪(静から動に……最後は活発な演舞を)」
 煌めく中空の刀身から発せられた音は光となり、凛菜の周囲に広がり場を明るく照らし、
「この飛び入りさん、すげぇな」
「人間さんもなかなかやるですね」
 観客達を感服させる。
「♪♪」
 凛菜は金色に輝く華やかな天下泰平の帝衣の裾を翻し、寵剣イザナミによる大振りの攻撃を絶え間なく踊るように繰り出す『剣戟乱舞』に移行する。
「♪♪(私の演舞、それと周りの雰囲気から、桜稜郭の賑やかで活発な熱気を感じていただけたら嬉しいのですが)」
 衣から発現する蛍火のような金の光を従え、振るう寵剣イザナミの軌跡が光の反射で美しい。
「この華乱葦原はとても活気があって素敵な場所ですね」
 舞花は、凛菜が舞に込めた思いをしっかりと受け取っていた。
「そう言ってくれると嬉しいよ!」
 舞花の反応に対して桃子は、『ヒロイックソングス!』を故郷とする者として、大層喜んだ。
 無事に演舞は終わり、拍手に包まれる中凛菜は舞台を降りた。

 戻って来た凛菜を迎えたのは、
「踊り、すごかったよ!! 悪い物が払われちゃうほど神々しくて見惚れちゃったよ!」
 演舞の興奮が冷めぬ調子で感想を捲し立てる桃子。
「凛菜さん、モコさん、今日は本当にありがとうございます」
 舞花は、案内をしてくれた凛菜と機会を作ってくれた桃子に改めて感謝を伝えた。

First Prev  4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14  Next Last