■昼のオルトアース・2
快晴の昼、オルトアース、星獣都市ハコダテ。
「久しぶり!! 前回の生配信に出演してくれてありがとー! 妖精のパイは最高だねっ! 桜稜郭でしてた花見ライブ最高だったよ!」
桃子が再会の挨拶とライブの感動を熱量たっぷりに語った相手は、
「ももこちゃんじゃんっ♪ 久しぶりっ! また配信やるんだ☆」
「相変わらずだな」
シャーロット・フルールと
アレクス・エメロードだ。
桃子が本日の生配信について話すと、
「星獣都市ハコダテをばっちり紹介するよ! 前回は食神都市オーサカの紹介をしたからね」
シャーロットは快諾し、
「ここでは星の結晶っていう不思議な宝石から星獣ちゃんって子が生まれてパートナーになってくれるんだよ。ボクとアレクちゃんの子はこんな感じ」
早速紹介を始める。
「あいよ。シュヴィ出て来い」
「出ておいで、フーちゃん」
アレクスは黒い毛並みを持つ犬の姿をした≪星獣≫シュヴィ【≪星獣≫トランペットイヌ】を、シャーロットは白い小鳩姿の≪星獣≫フーちゃん【≪星獣≫フルートバード】を召喚した。
続けて『星の結晶』を掛け合わせ、
「星獣ちゃんは進化するっ♪」
「シュヴィも進化だ」
シャーロットはフルートバードのフーちゃんを≪星獣≫ピッコロフェニックスに、トランペットイヌのシュヴィを≪星獣≫シュテルンヴォルフに進化させた。
「わぁあ、可愛い!!」
星獣達の可愛さと美しさに桃子が夢中になる中。
「こいつらライブが好きなんだ。あと、めっちゃ頭いいんだぜ。完全に人語を理解してるしな」
アレクスの言葉を合図に、
「おいでませ、妖精郷♪」
シャーロットは得意技『ツリーオブライフ』で幻想世界を現出させた。
「待ってました!」
何度も体験し、すっかり桃子にとっては馴染みの風景。
「忘れられないひとときをアナタに☆」
シャーロットはウィンクを投げてから、周囲を浮遊する花の形をしたスピーカー&スポットライトのブロッサムオブシャインを引き連れ、妖精世界へ。
「♪♪」
【スタイル】ミーティアシンガーのシャーロットは纏う愛らしいドレス、『妖精姫の邁進』の羽飾りを羽ばたかせ光の粒をキラキラと舞い散らせながらフーちゃんと『#うちで歌おう』のほっこりアットホームな曲でデュエットをしながら森を跳び回る。
「今回もすごいパフォーマンスだよぉ」
桃子はライブに釘付けだ。
ここで、
「昼なのに夜になってる! 今回も凝った舞台だよぉ!!」
アレクスが肩から下げる鍵盤楽器極光のクラヴィコードの演奏で空中に光の筋を灯らせ、シュヴィの『≪星獣≫やさしい子守唄』の美しいメロディに同調し昼から満天の星空になったかのような明るい天幕のような極光に包まれた。
「なんかふわふわってして……って、浮いてる!?」
シュヴィのウタに夢見心地になっていた桃子は、足元が地面から離れ浮遊している事に気付いて驚いた。
「♪♪(折角のライブなんだから、ももこちゃんも翼を生やして巻き込んじゃわなきゃね☆)」
『翼を託す者』でシャーロットは悪戯っ子な笑顔を煌めかせ、背中の3対の白い翼の幻影で縦横無尽に飛行する。
「ももこも一緒に歌ってみるか? ついでに乗せてやるぜ」
シュヴィを引き連れたアレクスが桃子に声を掛けた。
「いいの!?」
桃子は嬉しそうに声を弾ませ、
「もちろんだ、シュヴィ」
アレクスに促されるままシュヴィの背に乗った。
そして、
「よっしゃ、シュヴィ、森を駆けな……美しい音が広がる幻想的な星空の森を」
【スタイル】セレスティアルのアレクスの言葉と力を受け、桃子を乗せたシュヴィは、星屑の風に包まれながら妖精姫が踊り回る森を駆け巡る。
「キラキラで、天の川みたい」
桃子は後ろをしきりに振り返り目をキラキラ。『≪星獣≫ノチウダッシュ』を発揮させるシュヴィの後ろには残像が長く尾を引き、星が輝き連なり天の川のよう。
「♪♪」
シャーロットは桃子に近付き、愛らしい笑顔を向けて口ずさむ。
「……♪♪」
桃子は慣れないながらも楽しそうにシャーロットにならって歌う。
「大分、盛り上がって来たな。ここで」
場の様子を見たアレクスの纏う『ルミナスパレード』の力が発揮され、幻のマーチングバンドが現れ、妖精と星の獣達のじゃれあいを彩るように楽器を奏でる。
「♪♪(アレクちゃん、ありがと☆)」
シャーロットは歌いながら、ばちんとアレクスにお礼のウィンクを投げた。
「……ったく、シャロは」
可愛らしいお礼にアレクスは、抱く恋心故に照れた。
程なくして、ライブは無事に終わるが、
「はぁぁあ、まだどきどきしてるよぉ」
桃子の興奮は冷めず胸のドキドキが止まらない。
「にゃふふ、すごい子達っしょ」
シャーロットはにこにこと自慢げに言った。
「うん、賢くて、ウタも上手ですごいよ」
興奮のまま桃子はシャーロット達が連れる星獣達を見た。
「ももこちゃんもここでパートナーちゃんできるかも!」
シャーロットはフーちゃんを撫でながら言った。
「ありがとー」
桃子は嬉しそうに返した。