■昼のオルトアース・1
快晴の昼時、オルトアース、食神都市オーサカ。
「あっ、久しぶり!! 前々回の生配信に協力してくれてありがとう! 朝、妹ちゃんに会ったよ!!」
声を掛けられ振り返った桃子は、相手の顔を見るなり嬉しさに声を弾ませた。
その相手は、
「あぁ、第3回目の生配信をしていると聞いて、俺も協力出来たらと」
星川 潤也だ。本日の事は延寿から聞いている。
「ありがとう!!」
桃子が礼を言った所で、
「ところで、モコ、お腹空いていないか?」
潤也が何やら思惑でもあるのか訊ねた。
「うん、色々動き回ったから、空いてるよ! そろそろお昼だし!」
桃子は答えて、唸る腹部に触れた。
「今からクッキングライブをするんだ。よかったらモコも楽しんでいってくれないか?」
潤也はにっと笑みを浮かべ、誘った。
当然、桃子の返事は決まっている。
「もちろん! ご馳走になっちゃうよ!」
この一択のみ。
場所をクッキングライブステージに移し、生配信を続けた。
「場所を移した所で、今からオーサカ名物を作る!」
クッキングライブステージに立つ潤也。
「名物と言えば……」
桃子は動画配信用端末機を向け、潤也に言葉の続きをお願いする。
「粉もんだ!」
察した潤也は乗って、声大きめに言ってから
「いざ、調理開始だ!」
【スタイル】御饌司の潤也は包丁を手に調理開始。
「まずは食材を切る」
潤也は、音楽のようにリズムを刻みながら野菜や海鮮食材を切っていく。
「わぁあ、速いし切り口も全部揃って、量も凄い!!」
桃子は潤也の手際の良さに見惚れてしまう。全ての料理分もあってか、切った食材の量は凄まじい。
「お好み焼き、たこ焼き、焼きそばに……どんどん焼くぞ!」
潤也は、『伝心の刃』を使って、美味しく食べて欲しいという思いを込めながら次々と焼いていく。
しばらくして、
「まずはお好み焼きだ」
潤也は一番に出来上がったお好み焼きを皿に盛り、
「うわぁぁ、芸術的だよ!」
『盛り付けテクニック』も活かし、マヨネーズとお好みソースを遠距離からテクニカルにかけて、桃子の目を楽しませた。
「豚肉のカリカリと生地のもちもち最高! エビとかいかも入って贅沢!」
もちろん味も申し分ない。
「いい食べっぷりだ。たこ焼きが出来たぞ。そろそろ、焼きそばも(食べた人が笑顔になってくれたら、作るほうも嬉しいもんだな)」
潤也は、桃子の食べっぷりと笑顔に料理人として満足すると共に料理をする手にますますの力強さが加わり、視聴者達にオーサカの食を伝えていった。