■朝のオルトアース
快晴の朝、オルトアース、二次元都市ナゴヤ。
「久しぶり! 前々回の動画出演ありがとう! 一緒に踊るの楽しかったよっ!」
桃子が親し気に声を掛けたのは
「久しぶり! また生配信してるの?」
世良 延寿だ。
「そうだよ!」
桃子は頷き、第3回目の生配信について話した。
すると
「よし、私も協力しちゃう! サブカルチャーで盛り上げるよ!」
延寿は迷う事無く協力を決めた。朝から元気一杯だ。
という事で、延寿を先頭に開店時間が訪れたコスプレショップに飛び込んだ。
「人気の漫画とかアニメとかゲームのコスプレ衣装が沢山だね!」
延寿は楽しそうに周囲をきょろきょろ。配信はもちろんだが、自分も楽しむ事は忘れていない。
「だね! この衣装、可愛いかも! セットのアクセサリーにティアラがあるよ!」
桃子は、装飾品が本格的な可愛い系の衣装に興味を持ち、手に取った。
「モコちゃん、それ、大人気アニメのヒロイン衣装だよ。モコちゃんにも似合うんじゃないかな」
気付いた延寿はひょっこりと覗き込み、衣装の包装に書かれたアニメタイトルを確認してから、衣装替えに誘った。
「そんな事無いよー。こういうのは……」
桃子は、自分が着るよりもキラキラで可愛い延寿の似合いぶりの方を想像していた。何せアイドル大好きで応援する事が一番だから。
「だったら、私も買うから、モコちゃんも一緒にコスプレしちゃおうよ! このアニメはダブルヒロインだから」
延寿は相手が嫌がっていないと見て元気さと愛らしい笑顔でもう一押しと、隣に置かれた色違いの衣装を手に取って見せた。
「一緒にコスプレするのは楽しそうだけど……」
延寿の押しを受け桃子は気の迷いを発生。満更でもないようだ。
「楽しいよ! 一緒だと恥ずかしくないしね!」
延寿は悪戯っ子な表情で言うと
「レジで買ってくるね。ちょっと待ってて!」
桃子から衣装を取り、自分の手にある物と一緒に勘定を終わらせた。
衣装を買ってからが本番だ。
店内に併設されている試着室を利用して二人は着替えた。
「凄く、似合ってるよ!!」
桃子は自分よりも着替えた延寿を真っ先に撮影する。アイドル好きを発揮だ。
「私ばかりじゃなくて、モコちゃんも一緒に映ろうよ! 折角可愛い衣装着てるんだから」
延寿は桃子の隣に並び、彼女の手にある撮影機器の向きを変えて二人を映した。