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【怪異狩りの(グリームハンター)アリス】心臓の城攻略戦

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【怪異狩りの(グリームハンター)アリス】心臓の城攻略戦
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■庭園突入戦・兵士と芋虫と脱出経路


街を蹂躙した白亜の城

その城に住まうは新鮮な“ハート”を求める女王様

暴君の独裁、凶政の限りを尽くします

すぐそこに近づく、反乱の民のことも知らずに――



◆◆◆


 ――心臓の城、迷路庭園出入口。
 パルクァの街を蹂躙しその領土を奪った白亜の城。その城を攻略し、パルクァを奪還するため、対策本部にて編成された突入班……先発チームの姿がそこにあった。
 契約者や特異者で編成されている先発チームが突入の準備を進める中、最初の怪異事件以降メキメキと力を伸ばしているアリス・テニエルとエシラ・リーディルのコンビが、眼前に広がる庭園と巨大な城を見つめている。

「ここまでは特に問題なく来れたけど……ここからが本題よね」
「ですね……」

 アリスたちの視線はそのまま、今回同行してくれることとなった先発チームメンバーの方へと向けられる。その中には、最初の怪異事件の時や、この攻略戦に至るまでに戦ってきたいくつかの小さな怪異事件で顔を合わせた契約者や特異者も見受けられた。

「パルクァの住民を助けるためには、ここの突破は必須ですね」
「ええ。さらに言うなら、早急な突破も求められますわ」

 アリスたちと行くメンバーの一組、影野 陽太エリシア・ボックが二人の言葉に呼応する。二人もアリスたちと同様にパルクァの街の住民を救うべく、その心をしっかりと定めていた。

「被害を少しでも抑えないとな……俺とリアでバックアップするから、テニエルたちは心配せずに進んでくれ!」
「信頼に応えるためにも、あたしたちもしっかりサポートしていくわね」

 少し後方で【ストーキング】や【隠れ身】で気配を薄めていきながら、アリスたちへ声をかける火屋守 壱星エミーリア・ハイセルター。と……壱星はアリスが腰に下げた細身の鞘へ納めている細剣――の形をした光条兵器へ視線を向けていた。

「……私の武器がどうかしたの?」
「ああいや、ちょっとな。――テニエルは光条兵器使えるのか……羨ましい」

 アリスの武器であり、パートナーである剣の花嫁・エシラから託された光条兵器《マスターキー》。それに対し羨望の眼差しを向けている壱星であったが、その様子を見てかエミーリアがため息をつく。

「ちょっとねぇ……確かにあたしは剣の花嫁だけど、あたしが意地悪してるような言い方やめてよね!?」

 契約者とパートナーとの関係も色々あるんだから、と付け加えながらエミーリアはそっぽを向いてしまう。その様子を見ていたエシラは、壱星へと声をかける。

「壱星さん、きっといつか――託される日が来ると思います。そのためにも、今回は頑張りましょう」

 その言葉に、力強く頷いて返答する壱星。他にも共に向かうメンバーもそれぞれ気合いを入れ直し、いよいよ心臓の城へ向かうべく――出発の号令を待つ。

「――行くわよ、みんなッ!」

 アリスが高らかに上げる、先発チーム出発の号令。それに合わせ、メンバー全員から「おおぉーー!!」と声が上がっていくのであった。
 そしてその声を皮切りに――心臓の城を攻略するべく、突入が開始された!!


◆◆◆


 ――警戒を怠ることなく、迷路庭園の中を進んでいく一行。上空には城の尖塔を陣取っているハート型のオブジェが放つ赤く紅い光の内側すれすれに、《空賊王のブーツ》にて空を翔ける松永 焔子もいる。迷路庭園の垣根の上限ギリギリを飛行する彼女はアリスたちの進軍スピードに合わせて移動しているようで、出番が来た時のために今は力を温存している。
 そして何人かの契約者は別ルートでの安全確保と脱出経路確保のために別行動中のようだ。

「偵察、お願いします……!」

 迷路を進むに合わせ、陽太は自らの使魔である《マシンレイヴン×3》を使役し、先への偵察を行わせる。陽太らしい堅実な方法によって、一行はしばらく接敵なく迷路を踏破していく。
 そして今回の作戦、その陽太の提案により「彼女らの力がカギかもしれないため、アリスとエシラの力をなるべく温存して、強敵のみ相手してもらう」ことになっている。アリスも「最初から全力出せないのは性に合わないけど……わかった、道中はみんなに任せるわね」と了承していた。
 移動するさなか、後方で気配を抑えながらアリスたちの本隊に付いていく壱星、エミーリアもそれぞれやるべきことをこなしている。
 特にエミーリアは《機晶の金糸雀》を用いての索敵や通路確認を行っていた。これは陽太のマシンレイヴンたちと役割が似ているようであるが……《機晶の金糸雀》による索敵には別の目的があるのだ。

「こっちの方は安全……っと」

 《機晶の金糸雀》で得た索敵データを手早く《HCウォッチ》へ入力するエミーリア。入力された索敵データはそのまま、周囲のマッピングデータへと連動するようになり、様々な経路をより明確にわかりやすくなっている。
 ――そしてこのデータは、城の中にいる捕まった契約者の扱う通信道具へと共有できる。契約者たちが使える独自の特質から発展した6G通信技術により、内外問わずに通信を切らさずにいられる。幸い、捕まったと思しき契約者が類似タイプの通信道具を所持していたため、情報共有は問題なく行われているようだ。
 これにより、城脱出後の安全な避難経路を城内部の者たちへ伝えることができる。後方サポートに徹してはいるが、一番重要な作業であることには違いない。
 ……石橋をあらゆる手で叩きながら進む要領で、じわじわと迷路を進んでいく契約者・特異者たち一行。何度目かになる陽太の先行偵察が行われた時、先ほどまでと違う結果がもたらされた。

「どうやら、この先にトランプの兵隊がいるみたいです。何やら作業をしているみたいですが……」

 話を聞く限り、トランプの兵隊は単独で何かやっているらしい。ひとまず様子を見るべく、壱星が任せろとばかりにそっと先行。【ストーキング】で気配を薄めながら、兵隊が視認できる位置までそろそろと移動すると、【インサイト】で対象をしっかりと見定めていく……!

「えぇと……なんだぁ? 白い薔薇へ赤いペンキ――ペンキかあれ? それを塗ったくって赤くしてるみたいだが……」

 壱星の言葉通り、トランプの兵隊は一心不乱に白い薔薇に対して、バケツに入った赤いペンキらしき塗料を乱暴に塗りたくり、偽りの赤い薔薇へと作り変えていた。気配を薄めているためでもあるが、壱星に気づく様子は微塵もないようであった。
 合図を受け、同様に【隠れ身】で気配を薄めていたエミーリアが素早く単体のトランプ兵へ近づき、身に纏った《聖華煌星》の効力を受けて輝きを増す自身の【光条兵器】、《プラチナムブライド》による一撃で不意打ちを喰らわせていく!
 ……気配を薄めていたことと相手が一心不乱にバラへ集中していたことにより完全に不意を突いた形になり、トランプ兵は静かに消滅する。――この消え方は、最初の怪異事件を引き起こしていた怪異が倒された時と同じであった。

「――怪異はどんな奴でもこういう消え方をするの。不気味ったらないわ本当……」

 トランプ兵を片付けたことを受け、そう言葉にするアリスとエシラ、契約者たちが壱星たちの元へやってくる。と……トランプ兵が倒されたために、兵隊が手に持っていた赤い塗料入りのバケツが地面にへと落ちる。芝生覆う大地へぶちまけられたその塗料は――かなりの異臭を放っていた!

「うぷっ……これは……血液!?」

 エシラが顔をしかめながら、赤いペンキの正体を口にする。……ペンキのように塗りたくっていたそれは、どこから調達してきたかも不明な大量の血液。同時に、城からは悲鳴が絶えず聞こえてくることから、アリスや契約者たちはすぐにこの血液の調達元を察してしまう。
 しかしそれならば、城から持ち出したからにはそれなりに時間が経っていそうなものだが……血液は今まさに取られたかのように真赤く、そして生臭い異臭を放っている。
 ――アリスの提案で周囲に人がいないか索敵してもらったが、周囲には逃げてきた人の気配はなし。そうなればやはりこの血液の出所は……。そう思いながら、アリスは白亜の城へ視線を向けていく。

「――急ぎましょう。一秒でも早く……!」

 アリスの瞳に決意が再び灯る。契約者たちも同じ思いであり、すぐにこの場を後にして迷路の先へと歩を進めるのであった。


◆◆◆


 少しでも早く、捕らわれた住民たちを助け出す。
 その想いがアリスたちの歩みを少しずつ速めていく。
 しかし警戒は怠らず。焦りで被害を出すわけにはいかない。特に怪異相手ならば先ほどの血液のような結末を迎えてしまうのかもしれないのだから。
 急ぎ、だが確実に。先行偵察を行いながら城へ向けて進軍を進めていると……迷路の中ほどまで来ただろうか、先発チームは十字路へと足を踏み入れていった。
 すでに陽太の《マシンレイヴン×3》による先行偵察によって、十字路それぞれの道の先から、巡回中であろう数体のトランプの兵隊が、アリスたちのいる通路から見て正面と右側から1群れずつ。左側からは大きめの芋虫の怪異がズリズリと這うように近づいてきていることが判明している。
 さらに垣根スレスレを飛行する焔子によれば、正面ルートの少し先は右に曲がるようになっているが、垣根を越えて正面を突き進むと心臓の城への最短ルートになるとのこと。
 そこまでの情報を得た先発チームは、すぐに作戦を立案していく。敵を倒し、疾く早く巨悪の城へ至るために。

「――うん、それならいけそうかも。元々はエリシアと打ち合わせてはいたんですけど、城への道も開けるその案もあれば…!」
「あぁ、サポートは俺たちに任せてくれ。道を切り開くのは任せたッ!」
「こちらも異存はありませんわ。一石二鳥…いえ、三鳥にしてみせますわ」
「……それじゃ再確認。あたしと壱星が右側のトランプ兵たちを抑えつつ、芋虫を直線コースに誘き出す。あなたたちの方は正面のトランプ兵を抑えて、芋虫を使って脱出経路になるであろう道を造り上げる。アリスたちは力の温存をお願いするわ」

 先発チームそれぞれの言葉にうなずき合い、準備を進め始める。アリスも参加したそうにしていたが、エシラが「今は我慢の時です」と説得してくれたおかげで、事なきを得たようだ。
 ほどなく、契約者たちは十字路の中央手前まで移動。すぐに作戦が開始された。
 まず動いたのは壱星とエミーリア。エミーリアが先行して右側通路を巡回している数体のトランプの兵隊へ攻撃を仕掛けていく。接敵に合わせて【ブリザード】を放ち、動きを鈍らせる。そのまま、後続で配置に付いた壱星が《ショットアシストユニット》を駆使した《禍心のカーマイン》による的確な銃撃で【弾幕援護】を繰り広げていく!
 壱星の援護を受けつつ、エミーリアは【光条兵器】で最低限、かつ的確にトランプの兵隊を潰していく。数がもう少しでなくなろうとしていたその時、陽太とエリシアの二人も正面通路にいるトランプ兵隊群を足止めするべく配置に付いた。
 十字路真ん中、やや出入り部分に陽太が、そのすぐ隣にエリシアが陣取る。左側から這ってくる芋虫が交差点の戦闘に気づくと、ゆっくりと身体をモソモソ動かし、近づき始めてくる!

「まずは足止め――こっちですッ!」

 芋虫がこちらが来るまで、まだ距離がある。陽太がまずやるべきは正面の兵隊への足止め。迷うことなく、まっすぐの視線で正面を捉えると、友人より贈られし一丁・《星輝銃》を構え――【陽動射撃】で兵隊たちの行動範囲を抑制していく。兵隊群は思うように動きが取れないまま、【弾幕援護】の牽制をさらに受けて行動を封じられていた。
 このまま同士討ちをさせる下ごしらえが整おうとしたその時、芋虫が交差地点付近まで這いずり切っていた。重たい上半身を持ち上げると、芋虫の口――咀嚼口が怪しく蠢くと、そこから糸を吐き出してきた!

「危ないッ!!」

 すぐさまエリシアが《ポリカーボネートシールド》を構え、陽太をかばうようにして芋虫の前に出て、吐き出された糸を防いでいく。ジュッ……と、《ポリカーボネートシールド》がわずかに溶ける音が聞こえるのも構わず、エリシアは溶解糸を防ぎ捌いている。
 陽太もすぐに【弾幕援護】で芋虫へ牽制を仕掛け、糸吐きの動きを制していく。糸はその攻撃によって止まった――が、芋虫はすぐにモソモソと丸まり……陽太たちへ突進の狙いを定め始めた!
 その動きを見て、すぐに正面通路の反対通路へ退避する陽太とエリシア。丸まり切った白芋虫はその巨体を生かし、そのまま勢いよく転がり始めた!
 ――だがここで契約者たちの計算違いが起こる。……突進のスピードが想像より速く、このままでは狙った直線へ芋虫を誘導できない!

「うおおおおおおおッ!!!」
「はあああああああッ!!!」

 そんな計算違いも、契約者たちにしてみれば修正“可能”なこと。否、修正“させてみせる”のだ。
 右側通路のトランプの兵隊たちをあらかた片付け終えた壱星とエミーリアが、陽太たちのサポートをするべく勢いよく左側通路から右側通路へ突進をしてくる丸まった芋虫へ、《ショットアシストユニット》使用の【弾幕援護】と《プラチナムブライド》が纏う金属粒子が集まってできる盾で抑え込みを敢行する!!
 盾に多大な負荷が掛かるが、【弾幕援護】によってその負荷も少しは軽減される……が、あまり長くは持ちそうにない……!

「――エリシアッ!」
「これで――いってくださいませッ!!!」

 このチャンスを逃すわけにはいかない。
 突進の動きが鈍った芋虫へ、エリシアが自らの得物である《古浪》を峰打ちにて【一刀両断】を繰り出す!
 フルスイングによる真横薙ぎの一閃によって芋虫を正面堂々勢いよく撃ち込まれ、さながら一筋の剛球となり……正面通路で動きを抑制され続けていたトランプの兵隊群全てを轢き潰し、轟音を立てて垣根に激突! その勢い止まることなく、いくつもの壁や垣根を巻き込んで……芋虫が息絶えたのは、城門前の大広間に到達したところであった。

(あれで足りなければ【正義の鉄槌】も追加で叩きこもうと思いましたが――まだ余力はありそうですわね)

 大仕事を終え、成功の喜びを分かち合っていく契約者たち。実働隊であった4人はだいぶ疲労は残るものの、余力は多少残っているようだ。

「アリスさん、ここからまっすぐ行けば心臓の城です。――行きましょう!」
「ええ、もちろん! みんなのおかげでまっすぐ進める。私たちも負けてられないわよ!」
「はい、アリス。私も共にいきましょう……もちろん、仲間の皆さんも!」

 城までの経路は繋がれた。だがまだ目的は果たしていない……。
 アリスたちはほどなく襲ってくる次の脅威に備え、気合いを入れ直しながら――拓かれたまっすぐの道を進むのであった。

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