クリエイティブRPG

奇妙なバルバロイ

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奇妙なバルバロイ
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「……………」
 ルキナ・クレマティスは戦域を調整した同行者のガレオンに乗りながら、様子のおかしいバルバロイを見ていた。蠅が前足を顔の前で擦り合わせているのに似たような動きをしているが、なんかそれが顔の真ん前じゃなくてどっちかに寄っているのだ。キャッピキャピしてる。
(まぁ色々とツッコミたい所ではあるが、敢えてここは無視しようか)
 さっさと倒して、さっさと帰って、さっさと忘れてしまおう。
 感情の起伏に乏しく、淡々としている彼女だが、何も感じてないわけではない。そう、このわけわからんバルバロイにも。

 川上 一夫もまた、奇妙なバルバロイに興味を覚えていた一人だった。討伐に駆り出された人間としては、インファントの早期撃破で残りのバルバロイを烏合の衆にしてしまいたい。その一方で、自分の持ち歌の「雪解け慕情」をぶつけてみたい、と言う思いもあった。雪解け水の輪を作り出す星詩だが、この水にはどうもリラックス効果があるらしい。これがこのよくわからんバルバロイの口に入ったらどうなるか。余計あざとくなるのか。是非試したい。

 と、言うことで、二人の歌姫はそれぞれ別のモチベーションで戦場に立っていた。そして、また別のモチベーションで参戦している外法の者がそこにいた。両手にバスターメイスを持った諏訪部 楓だ。
「なんですか! あの……なんか変なバルバロイ! 急に世界観が変わったという事は……これはやりたいことをやっていいという事ですね!」
 天からの太鼓判を感じ取って、楓は鼻息荒くバルバロイたちに迫った。今回は攻撃手段を全て大好きなスキルのメガスマッシュ系にしてきた彼女。
「へへへっ……痛くしないから! 私にメガスマッシュを撃たせてください!」
 「メガ」と「スマッシュ」が付く名前の攻撃が痛くないわけないと思う。
 インファントはどう見ても武器でしかないメイスを両手に持った彼女に警戒心を覚えたようだ。楓の言葉を理解したわけではないだろうが、「危険」の概念は共通なのかもしれない。どうしよう。なんか武器を持って鼻息が荒い……。
 思う存分メガスマッシュが撃てる! そんな夢みたいな状況に起因するメガスマハイの様相を呈しながら、楓は猛烈な勢いでインファントに迫った。びくっと肩を震わせ、怪音波を放つインファント。しかし、ハイになった楓にそんなものは大して効かなかった。いや、効いているのかもしれないけど楓は自覚していなかった。
「へへへ……メガスマッシュ……へへっ……」
 インファントは逃げ出した。加速機構を装備し、オーバードライブを起動して追い掛ける楓。その距離はすぐに縮まり……。

 外法で追い回されているインファントを横目に見ながら、ルキナは歌姫の呼吸法で息を整え、「気紛れな風の狂奏曲」を歌った。味方にとっての追い風、敵にとっての向かい風、そして不規則な調子はバルバロイの動きを鈍らせた。それを歌うマイクにはピンクのハート型結晶があしらわれている。
 風にチハヤ・モンタントが翻った。巫女装束と呼吸法で高められた詩が、ジオマンサーの星音で広がって行く。
「見敵必殺、悪即斬!  皆さん、やっちゃってください!」
 徹底的に、容赦なく、全力で、よく分からないこのバルバロイたちを殲滅して欲しい。彼女の切実な思いが歌に乗って広がって行った。

 一夫の方もまた、星詩「雪解け慕情」を高らかに歌う。家族と上手く行っておらず、自分のせいなのだろうと思っているけど、それでも雪解けを待つ男の哀愁が漂う一曲だ……。
 雪解けの水が流れ出るように、水の輪ができあがった。それをインファントにぶつける。頭から水をかぶるインファント。水もしたたるなんとやら、とでも言いたげに前髪をかき上げようとしているが、いかんせん水の量が多くて大変なことになっている。その水も一部口に入ったことだろう。さて、どうなるか。
 インファントは髪の毛を絞ると、前髪をかき上げてポーズを決めた。何だろう、気怠げな雰囲気はあるが、曲調の哀愁さとまるで合っていない……。
「……気持ち悪いですね」
 一夫は容赦なく水輪を投げつけて追撃した。
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