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平和だった姫令部と不良武姫集団

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平和だった姫令部と不良武姫集団
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第1章『警告』

 ほんの少し前までは穏やかだったはずの海はすっかり荒れている。
 その海を抗うように敵の艦姫たちが進み、その上を飛姫が轟音を立て飛んでいた。

「武姫たちもこんな風になることがあるのね」

 敵の暴れぶりにキャリーや入り江の姫令部の武姫たちは教導官の必要性を実感した。
 その後ろから彼女らの教導官であるコウタも出撃する。

「暴走している武姫たちだからといって油断はするな。こっちは久しぶりの戦闘になるからな」

「それはコウタもでしょ。さっきまでゲームしてたんだから」

 キャリーに図星を刺され、言い返せずにいると万年 忠道がコウタたちのいるところへ到着した。

「急な襲撃のようだな。しかし他の勢力も襲撃にあっているようだし武姫の暴走、誰かの暗躍あたりだろうな」

「その可能性はある。でも、協定は結んでいるし事情もはっきりとしていないから、あまり手荒なことは控えて欲しいのだが」

 コウタが忠道を一瞥する。

「確かに相手側の損失も抑えたいところだが、無理だ」

 直球で来た否定にコウタの眉が困ったように下がった。その顔を見て忠道はからっと笑う。

「まぁ、原因究明・他勢力への証明材料としてほしいからな。戦意を削ぎ投降、もしくは戦闘不能にして捕縛できるくらいにするさ」

 率いる武姫たちの『激しさ』を知るコウタの顔が心配で曇る中、忠道は作戦を開始した。

「まずは、先に手違いや誤解がないか確認の為警告しておきましょう。万が一でも非があったらマズいですから」

 そう言うと、空/He100が敵の武姫たちの前へ向かうと、外部スピーカー越しに話し始めた。

「こちら入り江の姫令部、演習や合同訓練の予定は入っていません。重大な協定違反、及び迎撃対象になります。速やかに撤退、又は説明を求めます」

 He100が警告するが撤退する様子はなく、むしろ次々と攻撃を開始する。
 入り江の姫令部の武姫たちが防御態勢に入っている中、忠道は頭を掻いた。

「やっぱりこうなるか。仕方ない、いくぞ」

 彼の指示と共に空/“天山”たちも横一列に展開しながら接近する。
 敵の艦姫たちが海上から砲弾を飛ばしてくると、今度は高度を維持したまま自身の身体を回転させながら回避を試みた。
 さらに、衝撃があった瞬間に『【空】スカイガードⅣ』が反応し、機体の周囲に空気の層を生み出す。

「よし、今度はこっちの番だ。全員、爆装用意!」

 忠道の指示に飛姫たちはそれぞれが持っている爆装を準備した。
 そして、合図とともにエクリプス級防護巡洋艦やチャパエフ級軽巡洋艦に目がけて爆装を落としていく。
 爆弾は艦姫に命中し片っ端からダメージを与えていき、動揺を誘った。

「今のうちに今度は高速徹甲弾だ!」

 忠道が言うと、飛姫たちは『【空】高速徹甲弾』を射出する。
 軽量化された砲弾は敵の装甲を貫いていき、さらに動きが鈍っていった。そんな武姫たちにHe100が再び警告する。

「最終通告です。武装を捨て投降されますか?」

 外部スピーカーと通して響く声。しかし、返ってきたのは一発の砲弾だった。He100は首を傾け軽く躱すと、顔をしかめる。

「最後の情けが分からないほど愚かなら、空と海の青に蔑まれ沈んでいけ」

 その言葉と共に忠道の飛姫たちの猛攻が始まった。

「あはははははははははっ! ようやくいつも通りに戦えるわ」

 空/九六式艦戦は狂ったように笑うと、敵の艦姫たちの元へ飛んでいく。
 その間に霊力を集中させると、翼は巨大な刃となった。勢いはそのままに水面スレスレを飛びながら敵を切り刻んでいく。
 敵が回避行動に専念し始めた中、もう1姫の空/九六式艦戦が機銃を向けた。

「斬り刻まれるのもいいけど、蜂の巣にされながら踊ってみない?」

 質問と同時に機銃を撃ち込んでいく。ついに攻撃する余裕はなくなり、敵はただひたすらに逃げ回った。

「安心して、機銃の弾は沢山あるのよ」

「さあ、次は何処を斬り刻まれたいのかしら?」

 九六式艦戦が逃げ惑う武姫たちを笑っていると、天山は自らの雷装を用意する。

「私としては魚雷もお勧めしますよ? やはり馴染みのある物の威力を知るいい機会じゃないですか!」

 彼が微笑んだ瞬間、魚雷が艦姫たちに突っ込んでいき爆発した。
 敵の艦姫たちは吹っ飛んでいくものの、忠道の飛姫たちは物足りないとばかりに武器を構える。

「楽に終われると思わない事ね」


 *     *     * 



 一方その頃、入り江の姫令部に敵の艦姫が増えていく様子をエスメラルダ・エステバンが見つめていた。
 その後ろにセイ(航/潜水艦“伊58”)とネイ(海/重巡“利根”)が控えている。

「あの子達は本当に戦うことを望んでいるのでしょうか? 血の気の多い武姫の中には力を持て余しており、それを乱暴な行動で発散しているように、わたくしには見えますわ」

 エスメラルダが口を開くと、後ろを振り返った。

「セイやネイももしかして退屈して暴れたい、と思っておりました?」

 彼女の問いかけにネイが唸る。

「うーん、わしはよく戦いたいとは思っているぞ!」

「ちょっと、そこは否定するところじゃないの?」

 ネイの言葉にセイがツッコミを入れた。それでもネイは話を続ける。

「でも、誰かが困るようなことはしない、と誓っているからな。そこら辺の分別はついているぞ!」

「大切な人を困らせたくないというのは、あたしも同じ気持ちよ」

 武姫たちが不満を抱えていないことが分かると、エスメラルダは安堵の息をついた。

「それなら安心しましたわ。あの子たちも止めないといけませんね」

 彼女たちは敵の艦姫の元へ向かっていった。まずはセイが魚雷を放つと、艦姫の周囲に水柱が立つ。
 敵が驚いている間にネイが砲撃を開始した。それは標的のアイアン・デューク級戦艦に命中する。

「皆様、攻撃をやめてくださいませ! こんなことをしなくてもスポーツで発散できますし、わたくしたちが相談に乗ることもできますから!」

 エスメラルダが説得しようとするが、敵は聞く耳をもたず攻撃をした。そこにネイとセイは教導官の前に立ち塞がり対抗する。

「やはり聞いてはくれないのね」

 セイが敵に呆れていると、エスメラルダが頬を膨らませた。

「もう! いい加減にしなさい! お仕置きです!」

 リミッターを解除すると、霊兵装の形が変化する。そして、『【海】三式軍刀改』を抜き、敵の艦姫へ向かっていった。

「教導官があの状態なら、仕方あるまい。今日もわしの主砲が火を噴くぞ!」

 ネイも援護するように主砲から次々と発射していく。
 セイの魚雷も放たれ、敵の攻撃が次々と妨害される中、フルドレスを纏ったエスメラルダが霊兵装を斬っていった。


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