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緑豊かな土地

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緑豊かな土地
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 単騎のドラグナーである千雪に、幾人かの特異者が協力を申し出た。その一人が世良 潤也である。心優しい性格をしている彼は、ドラグナーとして戦い、アークの人々を守りたいと考えている。だから今回も知らせを受けて駆けつけたのだが……それだけで目的が遂行できるわけでないことを知っている。バルバロイにはテリトリーがあるため、ドラグーンアーマーだけで戦っても攻撃は弾き飛ばされてしまう。それにはトルバドールの星詩が必要になるのだ。
「ドラグナーだけでバルバロイと戦うのは危険だ。君もアリーチェの星詩で、トルバドールの加護を受けてくれ!」
 千雪にも加護がいると思って、声を掛けたのだった。【使徒AD】ダンスマスターの操縦するスタンドガレオンも接近してきた。同乗者は潤也のパートナーであるアリーチェ・ビブリオテカリオだ。
「ほら、あんたの武器にも風の加護を与えるから、しっかり戦ってきなさいよね」
「いやあ、かたじけないねぇ……」
 年寄りじみたことを言いながら舌を出す千雪。ドラグナー単騎で勝てるとは流石に思っておらず、どこかのトルバドールに便乗するつもりだったが、まさか向こうから声を掛けてくれるとは思っていなかったのだ。
「数はそれなりか……援護は任せてくれ」
 火屋守 壱星も、古銅銭剣を振るってバルバロイの接近を防ぎながら共闘を申し出る。
「任せた! 前線は任される!」
 親指を立てる千雪。壱星も笑顔を見せ、ガレオンの上に立つアリーチェの前に木扉を立てた。舞台装飾であると同時に、防壁代わりでもある。
 その時、一隻のスタンドガレオンが接近してきた。ルルティーナ・アウスレーゼが操縦する、フラムフラウG/Fだった。

 ルルティーナはガレオンを動かしながらご機嫌に歌っている。緑の山を守り、フルールシスターズの出撃を宣言する歌である。
「また、ルルがヘンテコな歌を……」
 と、呟くのは、追随するドラグーンアーマーの乗り手、紅城 暁斗だ。ちょっと可愛いけど……と思っていると、ルルティーナはウキウキした様子でフルールシスターズの仲間たちに声を掛けた。
「シャロお姉ちゃん、アレクスさん、あー君、準備はいいですか?」
「ああ、いつでも良いぞ」
「フラムフラウ、いっきますよぉ♪ 魔力ドライブ炉、出力全開です♪ フルブースト~♪」
「…って出力全開!? おい! ルル!? アレクスさんが落ちたらどうするんだー! ルル~! やめろぉ~!」
 突然発進したガレオンに驚き、慌てて追い掛ける。
「うぉっ!? いきなり飛ばすな! チェーンサークルなかったら落ちてたろうが」
 心配されたアレクス・エメロードは鎖状の手すりを掴んで事なきを得た。
「てへっ♪ ごめんなさ~い♪ でも落ちなかったですよね?」
「……守る騎士がこのヘタレなのは不安だな」
 そんな豪胆なルルティーナの声とおろおろしている暁斗の動きを見て、アレクスはぽつりと呟いた。
「ヘタレって僕の事ですか!? 不安って……うぅ」
 頭を抱える暁斗。確かに、肝心なところで気弱になってしまうきらいは自覚しているが……!
「あれ? なんか動きがぎこちないドラグナーちゃんが」
 そんな暁斗の苦悩をよそに、シャーロット・フルールが単騎のドラグナーを発見して首を傾げた。
「だいじょーぶ? ボクはシャロちゃんだよ!」
「うん? 他にもう戦ってる奴がいんのか。ちょうどいい。良かったら一緒しようぜ。俺はアレクス」
「甲斐千雪。よろしくね」
「歌姫の星詩がないとバルバロイちゃんには攻撃通んないんだけど、よかったらサポしよっか♪ ふふん、領域の中和はこのシャロちゃんにお任せっ♪」
「シャロが言うようにドラグナー一人じゃ奴らに手も足もでねぇぞ。領域ってバリアがあるからな。そこで活躍すんのが、俺とシャロの星楽だ!」
「やったぜ。こんだけ助けてもらったらもう負ける気がしない」
 張り切る千雪だった。

 そして、千雪を気に掛ける「歌姫」はもう一人いた。川上 一夫その人である。川上 四穂とともに参戦した彼。千雪が上の娘と同年代であるらしく、彼女が負傷するのはあまり見たくはないのである。
 それは別として、バルバロイ等と言う訳の分からない害虫に自分達の大切なものが荒らされるのは我慢できないという人々の気持ちには、全く同感だ。彼がこの作戦に参加した最大の理由はそこにある。
 そうであるから、自分は千雪に攻撃が行かぬよう、囮になって敵を引きつけよう。まるで父親のような気持ちになるのは致し方ないことだろう。実際に親子くらい違うのだから。

 その一夫を、ジオマンサーの四穂はやや恨みのこもった目で見ていた。
(パパは恐らく、甲斐千雪さんにパパの娘達=ボクのお姉ちゃん達を重ねて、今回の戦いに臨む事にしたんだろう)
 とすれば、四穂はその思いを尊重したいと考える。
(なぜなら、ボクもお姉ちゃん達が大好きだから)
 が、それは別として……。
(川上家のアイドルはお姉ちゃん達ではなく、ましてやパパでもなく、ボクだ)
 それがどうだろう。今四穂は風水士で彼が歌姫になっている。
(こんな今は間違いだ!)
 と言う事で、四穂が歌姫で一夫が風水士という在るべき状態に今を変える為、彼に歌姫を諦めさせたい。そのためには、怖い思いをさせて心を折るのが一番なのだ。恐るべし十一歳。
 その機会を、彼女は虎視眈々と狙っていた……。
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