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桜並木の町を死者が襲う

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桜並木の町を死者が襲う
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 その町の桜並木は街道筋と川の土手に植えられており、荷揚げに使う公園辺りで交わっている。
 そこではお祭りが始まっているはずで、ピーヒャララと賑やかな音が風に乗って川辺まで流れて来た。
 そして川辺は小石が赤く染め上げられ、そこに踏み込む屍を区別し易くされている。
「お花見の時期にデロンデロンの屍人が出たですかぁ??」
「街の只中、いやさ川辺に動く屍かの?」
 忌ノ宮 刀華が小首を傾げると高橋 凛音がもっともらしく頷いた。
 遠目にひょっこりひょっこり歩いてくる姿は滑稽で、しかし色彩や形状は歪で気味が悪い。
 屍だから仕方ないとはいえ可哀そうだ。
「取り敢えず暴れりゃ良いんだろ?」
 止める暇も有らばこそ。
 恐るべき勢いで水城 頼斗が動き出した。
 様子見などしない、最初から全速全身。全霊を持って敵に挑む。
「任せとけって! ……あら、よっと!」
 頼斗が刀を振り回すと、刃より生じる無数の風刃が敵を切り裂いていく。
 烈風の剣が過ぎ去りし後には、跳ねるようにして生ける屍が動きを止めた。
 
 最初はそれでも動こうと空中でもがいていたが、落ちる前に風の刃に呑まれて叩きつけられたのだ。そんな状態で動けるはずも無し。
 だが、誰もが彼ほど速やかに片付けられたわけでもない。

「そんな!? 急所を斬り割かれているのに……」
「へぇ。倒し難いとは聞いてたけど、こりゃあ斬り甲斐がありそうだ」
 仲間の誰かが切りつけたようだが、急所を割かれても平然と動き続ける屍ども。
 その異様な姿に驚く者も居るが、頼斗にとってはただの的に過ぎなかった。改めてこういう敵なのだと理解しただけだ。
 だが苦戦している仲間がいるのならば、手が空いた時で良ければフォローするのも良いかもしれない。
 我が身に秘められし力を開放しながら刀を担ぐと、次なる敵に向かうのであった。

 戦いが進むにつれて川辺のあちこちで死体が潰れ、あるいは切り裂かれて横たわる。
 問題なのは頭が砕かれたら潰れたまま歩き出し、唐竹割りで真っ二つにされれば右と左に分かれて動き出すことだ。
「うっぷ。気色わるっ。お団子が不味く成るですぅ……」
「屍の形ではなく悪しき『場』が動いて居るようなもんじゃからの。浄化なら妾の領分じゃ!」
 刀華が口元を抑えて唸ると凛音は溜息を吐いて、向かってくる屍と周囲に配置した大神を見渡していく。
 食い止めるだけならば大神でもやれるであろうが確実性は無い。不浄対策の羽織も着ているがいささか心もとなかった。
「刀華、妾が周囲に結界を張るまで時間を稼いでくりゃれ……頼んだぞぃ?」
 凛音は刀華に任せることでようやく安心して結界造りに掛かった。
 パンと掌を打ち合わせ、ゆっくりと左右に開いていく。
 さすれば霊力で編まれた卒塔婆が右に四本、左に四本。サっと八方へ飛んで即席の結界を作り上げたのだ。
「凛音様が浄化するまでお付き合い願うのです。ここで止めて見せるですよぅ?」
 刀華は不安定な足場にも関わらず、平然と河原の中を駆けた。
 その動きはまるで我が家の庭を駆け回るかのよう。
 生ける屍が仲間や大神と対峙する中で、脇や足元の隙間から回り込んで来ようとする個体を霊力を宿した刀で手早く切り裂いたのだ。
 その後も戦場を睨んで、潜り抜けようとする敵を確実に阻んでいた。

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