クリエイティブRPG

双つ名のテゴナ店、本日のメニュー

リアクション公開中!

 111

双つ名のテゴナ店、本日のメニュー
リアクション
First Prev  13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23  Next Last


 風華の誘いを受け、騎沙良 詩穂はテーブルにつき、紅茶を口にする。意味もわからず眠らされ、期待していたティータイムは何処へ? と思っていた彼女にとって、それは嬉しいことだった。
 (とはいえ、せっかく店主にお招き頂いたわけですし、お茶を飲んでいるだけ、という訳にも行きませんよね。期待にお応え致しましょう)
 彼女は他の者たちへ目をやる。世良 潤也アリーチェ・ビブリオテカリオは風華の隣に座り、話ていた。シャーロットとルルティーナは、奥の方で、化粧をしている。八上 ひかりはキッチンにある器具を幾つか手に取ってみていた。兎多園 詩籠は、歌詞を確認している。
 彼女は顔を戻すと、隣に座るロザンナ・神宮寺へ聞いた。
 「店主に美の何たるかを示す、ね……ロザンナちゃんは何か決まった?」
 「なんだかわかないけれど、技を見せればいんだね? すっごく綺麗なやつを!」
 「あ、はいはい。派手なやつね」詩穂は察した様子で言う。「協力するよ」
 「さんきゅー、詩穂ちゃん、よいちょまる☆」
 詩穂とロザンナは席を立った。
 「次はボクたち――炎熱と笑顔のGAL☆ニコラと!」
 ロザンナの言葉を、詩穂が継ぐ。「アリス・リドルが美を示しましょう」
 そして詩穂が、手を掲げた。すると部屋が宇宙のような空間になる。
 更に時間が経つと、皆の体が浮き始めた。
 (さあ、行くよ!)
 ロザンナは、掌にバレーボール大の擬似太陽を生成し宙に放った。その眩い光によって出来た影を詩穂が踏むと、ロザンナの体が浮くのを止める。
 太陽は時間と共に大きさを増し、見る者たちはまるで本物のように壮大だ。
 しかし、それを作り出した当の本人は、不満げな様子。
 (悪くないけど……なにか足りないな、よし!」
 太陽に向けて手を翳し、そこへ自らの心の力を、魔力に変換し注ぐ。すると更に眩く、胸に灯る勇気のように輝きを放った。
 (ブレイブアタックに『勇気』もデコレーション☆ましまし、っと。うん、これなら良いかも!)
 ロザンナはテゴナへと振り向くと言った。「この光り輝く勇気の太陽、綺麗だと思うよね? ボクも自分でもなんで綺麗かわからない(・_・) でもこれをボクは越えたいんだ。だからっ☆」
 詩穂が踏んでいた影から足を離すと、ロザンナは再び浮遊し太陽に組み付いた。
 そして詩穂が色鮮やかな蝶と、巨大な星芒形の光を作り出し周囲へ浮かべる。幻想的な太陽系の景色が広がった。
 (よし、それじゃあ最後!)
ロザンナは太陽に、ムーンサルトキックを放つ。すると太陽は巨大な流れ星となり、心に焼きつく程の輝きを放ちながら、消えて行った。
 パフォーマンスが終わり詩穂とロザンナが戻ってくると、テゴナは言った。
 「しかと拝見致しました。現状に満足せず、更なる輝きを探求する心。確かに、それも『美』と言える」
 ロザンナはにこりと笑うと言った。
 「あのさ、自分の本質……自分で行動して経験すればわかるよ」
 「自分なりに、してきたつもりですよ」
 「じゃなくて……まずは誰かと一緒でもいいと思うよ」
 「他者の価値観を通じて、自分と世を改めて学ぶべき、と? なるほど」
 「良かった……よし、ティータイム再開しようよ♪」
 「そういえば」二人の話が終わると、詩穂が言った。「店主さん、お名前はなんと仰るのでしょう?」
 「テゴナ、と申します。カハヒラコ、と呼ぶものもいますが」
 「カハヒラコ」詩穂は反芻するように繰り返した。「……河原をひらひら飛んでいる蝶々? 自由気まま、ということでしょうか?」
 「そうであれば喜ばしいのですがね」テゴナは肩を竦めてみせる。「ふらふらしていて、悪魔にも妖精にもなり切れない半端者、という皮肉ですよ」
 「ああ、それは……すみません」
 「お気になさらず。これはこれで気に入っていますので。……しかし、こう上等な紅茶を頂いていると、デザートが欲しくなりますね」
 それを聞いて、立ち上がる少年が一人。自分が美を示すタイミングは、今を置いてほかにないと、潤也はそう思った。

First Prev  13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23  Next Last