* 序章 *
新年を迎えた清々しい青空の下――。
蒼空学園近くの森林に集まった不良達数名は、準備を整えた会場を見渡し満足げに頷いた。
「雪が降ってどうなるかと思ったけど、何とか間に合って良かったな」
「そうだね。あとは来てくれるお客さんと全力で楽しむだけかな」
言いながら、
御影 黒臣と
結城 桜貴は、本日主役である
赤柴 スザクを振り返る。
彼等の視線を受けながらも、スザクは静かにステージを見つめていた。
森林ということもあり、自然を最大限に活かしたステージは雪や板でスロープを再現し、樹木にロープを張り巡らせた手作り感満載の些か歪な出来であったが、
スザクにはどんなに立派なステージよりも輝いて見えていた。