クリエイティブRPG

狙われた魔道具

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狙われた魔道具
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 序章
 
 ローランド、プリシラ公国、ティベリアにあるとある輝神教の教会に、一本の連絡が入った。
 
「そ、それは本当ですか……!? そんなことがあったらこの教会は……!」
「クリス? そんなに慌ててどうしたの?」
「あ! マリーさん! あの、大変なんです! この教会がもう……! だから早くしないと!」
「落ち着いてクリス。それじゃあ何を言ってるのかわからないわ」
 
 取り乱すクリスを落ち着かせ、冷静に話すのは教会の修道女の先輩のマリーだ。
 
「たった今連絡が入ったんです! この教会が魔族に狙われているって!」
「魔族に……? それは一体どういうことなの? 連絡ではなんて?」
「それが……!」
 
 クリスから語られた事実は、いつも冷静なマリーさえ動揺させる内容だった。
 
「確かにそう言ったの……? この教会が、魔族に狙われているって…!?」
「より正確には教会にある魔道具が狙われているみたいですけど、魔族たちは何をするかわかりません……。
それに、ここの教会の魔道具は魔族と強い親和性があるみたいで……」
「万が一魔族の手に渡ったら大変なことになる……」
「はい……」
 
 教会には数は多いが弱い下級の魔族の他に、力の強い中級魔族も迫っていた。
 もしその中級魔族の手に魔道具が渡ってしまえば、周囲の街が壊滅する可能性もあるという……。
 それを知った教会のパドレ神父は言った。
 
「そうか、教会にある魔道具のせいでそんなことになっているのか。
しかし魔族が来ているという話は真実なのか?」
「はい! 事実すでに魔族の被害も出ていますし、間違いないかと!」
「そうか……」
「なのでもうマリーさんが、冒険者たちを集めています!」
「わかった」
 
 少しの沈黙の後、マリーは言った。
 
「クリス、冒険者たちは明日には来てくれるみたいよ。
それに、こんなに危険な魔道具なら絶対に魔族には渡せないわ」
「そうですね……!」
「それにしても、どうして魔道具のことが魔族に知られていたのかしら…」
「マリーさん……」
 
 神妙な面持ちでマリーは告げた。
 
「クリス、神父、落ち着いて聞いてください。もしかしたら、教会の中に裏切り者がいるかもしれません」
 
 一章
 
「わあー、あれが下級魔族たちかー! みーんなやっつけてあげるんだ!
あいつらやっつけたら教会のお姉さん、僕にお菓子くれるかな?」
 
遠くに迫る魔族たちを空から眺めているのは私 叫、魔族から教会を守るために集まった冒険者の一人だ。
 
「もしかして、たくさん倒したらたくさんお菓子くれるかな!? 魔道具が狙われてるって言ってたけど、魔道具は美味しくないからいいや!
あ、来たな! よーし、覚悟しろー!」
 
 私 叫は空中から雷や氷の弾で下級魔族たちを次々倒していく。
 
「んー、あいつらは弱っちいけどたくさんいるなー、なんか疲れちゃった……。
他の人たちが戦ってる間、僕はちょっと休むんだよ」
 
 上空で攻撃を止めて休んでいた私 叫に、一体の下級魔族が襲いかかってきた。
 
「うわわっ、飛べるのもいるんだね! 危ないなーもう!
しかもちょこまかと逃げるし! もっとじっとしててよー!」
 
 私 叫が不敵に笑う。
 
「なんか面倒くさくなっちゃたな! えい! 龍転身! 一気にやっつけてやる! くらえ!」
 
 ――ドォン
 
 一撃を受けた魔族は地面に落ちていく。
 
「やったー! やっつけだよー! お姉さんたち褒めてくれるかな? お菓子くれるかな?
お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞー!」
 
 私 叫は教会に向かって飛んで行った。
 
―――
 
「じゃあマリー、お願いね」
「ボクに任せておけば安心です!」
 
 黒い翼の生えた少女苺炎・クロイツと、金色のきれいな毛並みを持つさんぜんねこのゴルデン マリーは、
 下級魔族を倒すために集まった冒険者だ。
 
「それではボクはあの高台に陣取りますので、苺炎さん、上手く誘導してください」
「うん、マリーにアドバイスももらったし、きっと大丈夫よ」
「じゃあ、頼みますよ」
 
 そう言ってマリーは高台に登って行った。
 苺炎が下級魔族たちを誘導し、マリーがそいつらを狙い撃つという作戦だ。
 
「よし、私も動こうかな。マリーが下級魔族たちを狙いやすいように」
 
 苺炎はそう言うと、1本の木に絵を描き始めた。
 オーバードローイング、力強い作品は見る者に力を与え、邪なものには恐怖を与えるというそれは、
 下級の魔族たちには恐怖心を与える。
 
「これでマリーが狙いやすいように誘導してっと……、それから……ん」
 
 苺炎は羽を1本抜き、魔力を込めて絵を描いていく。
 苺炎は大切な絵を描くときは、こうして魔力を込めて書いていた。
 
「輝煌天翼、これだけ魔力を込めれば確実に誘導できるはずよ。
うん、ここはこれでも大丈夫そう。後は他の場所にも描いておいて、そうすればマリーがなんとかしてくれるよね」
 
 苺炎の絵によって、何も気づかずに下級魔族たちは誘導されていく。
 
「お、来ましたね、上手く誘導されてきているようです」
 
 マリーは静かに銃を構える。しかし、まだマリーは銃を放たなかった。
 
「ここで焦って撃ってしまってはいけません。しっかりと間合いを見極めて、確実に仕留めなくては……。
もう少し引き付けて、しっかりと間合いを測ってから……」
 
 ――パン
 
 マリーの持つ銃から銃声が響き、魔族たちが次々に倒されていく。
 
「一体一体は大したことないですが、いかんせん数が多いですね。
とはいえこういう時のことも苺炎さんにはアドバイスしているので、上手くやってくれるでしょう」
 
 その頃苺炎は最大の魔力を込めた絵を完成させていた。
 
「うん、良い出来! これで一気に下級魔族の集団を誘導すれば、一気にマリーにとどめを刺してもらえるわ!
さあ、これで私の仕事はおしまいよ!」
 
 苺炎の最高の絵に、魔族たちは集められていく。
 
「あの絵にこの一帯にいる魔族たちが集まっていますね。それならば後はボクの仕事です。
魔力も十分、ゴブリンスマッシャー!」

 ――ドドドドン
 
 下級魔族たちは掃討された。
 
―――
 
 一人の冒険者が教会から出てきた。
 
「こちらは仕事にありつけるとはいえ、まさか教会を狙うとは…。
教会を守るのはもちろんですが、他の方が戦いやすいように魔族を少しでも多く倒さないといけません」
 
 そう言って魔族たちに向かって行ったのは天津 恭司、下級魔族は数が多いこともあり、積極的に頭数を減らす作戦だ。
 
「相手の攻撃は受け流しつつ、クインタプルスラッシュで倒していけばどんどん数は減っていくはずです。
大量に教会に近づかれると厄介ですから、ここで仕留めますよ!」
 
 恭司の攻撃で下級魔族たちは次々に倒され、数を減らしていく。
 しかし、次から次へと現れる下級魔族はさらに恭司の周りに集まってきた。
 
 「それぞれは大したことないのに数ばかり……! こうも多いとこちらも手が回らなくなってしまいます……」
 
 クインタプルスラッシュの後の隙を突いて魔族が襲いかかる。
 
「なんて、それが狙いです! 今の隙は囮ですよ! フルフローリッシュ!」
 
 恭司があえて見せた隙に引き付けられた魔族たちは、まとめて切り倒された。
 
「ふう、これで大部分は片づきましたね! それでは、次に行きましょうか!」
 
 少しでも戦況をよくするためにはここにいた魔族を倒しただけでは足りないと考え、恭司は次の魔族を倒しに向かった。
 
―――
 
「魔道具が魔族に狙われてる、か。そもそもなんでそんなものがここにあるんだって話だが、今更言ってもしょうがないか」
 
 冒険者の朝霧 垂は下級魔族を見据えながらつぶやいた。
 
「下級魔族どもは大したことないだろうが情報を流したやつが潜んでるって話だし、敵を倒しすぎると裏切り者に逃げられそうだ。
逃げられるだけならまだしも、素質が中級魔族に加勢なんて事態は避けないとな。
こちらが魔族を倒しすぎず、かつ教会にも近づかせない程度に残すのが一番だろう。それでやつらが撤退すればベストか? おらっ」
 
 教会に近づく魔族を倒しながらも決して責めには回らず、防衛を優先して動く垂。
 しかし、しばらく戦況が膠着していても裏切り者に動きはない。
 
「ふん、敵さんも何もしてこないし、ここらが潮時か? 魔族の裏切り者がいるなら何かして来るかとも思ったが、何を考えているんだ?」
 
 精霊剣・水を付与された冷海の氷虹銃が魔族たちを凍り付かせる。
 
「やっぱり下級魔族たちは大したことないやつらばっかりだったな。
今回は何とかなりそうだが、今後同じことが起こったらどうするつもりなんだ? 裏切り者がいるなら始末しないと、何度でも同じことになるぞ」
 
 垂は魔族たちを倒しはしたが、懸念の表情を抱いたままだった。
 
―――
 
「最優先は教会の防衛ですね。おそらくリーダーであろう中級魔族は、他の者に任せるとしましょう」
 
 教会の近くで魔族たちを待ち構えているのは一樹 刃
 同じく魔道具を守るために集められた冒険者の一人だ。
 
「魔族を倒すことももちろん大切ですが、どれだけ魔族を倒しても魔道具が奪われてしまえば意味がありません。
それに教会には非戦闘員もいますから誰かが護らなければ。おっと、それ以上は行かせませんよ!」
 
 ――ドン
 
「私が教会の守りに徹している以上、非戦闘員に手出しはさせません」
 
 刃は教会に近づいた魔族を退けていく。
 幸い一体一体の強さは大したことがないので、一人でも十分に守ることが出来ている。
 
「それ以上は行かせないと言っているでしょう!」
 
 数体の魔族が刃の横をすり抜けて教会に近づこうとしていた。
 
「ならばこの雷刃剣で無理矢理に止めるまで!」
 
 ――バァン
 
「あなたたち下級魔族ではこれには耐えられないでしょう。教会には手出しせず、大人しくしていることですね」
 
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