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新クレギオン

深き密林に紛れしモノ

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深き密林に紛れしモノ
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
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「――どういうこと?」
「んんー? 普通の泉に見えるよねえ」
 首を傾げるアインと摩耶。
 連絡を受けて駆け付けたメンバーの前に広がるのは、言葉通り極普通の泉だった。
「金色でもないし……違う泉ってことはない?」
 恋の意見には先に到着していたトスタノが答えた。
「分からないけど、追ってきた猛獣があそこで水飲んでるんだよね」
 彼が指差す先には泉に顔をつけて一心不乱に水を飲むボス熊の姿があった。
 これ以上泉に近付くのは危険だ。まずはあのボス熊をどうにかする必要があるだろう。
 秀の指揮の下、黒い巨体との戦いが始まった――。
 先陣を切るのは超常感覚で意識を集中させた恋だ。
 ボス熊が水面から顔を上げ、再び下げたタイミングを見計らい形態変異をしながら一気に距離を詰める。
 ヴァルハラ・ライザーでの接近戦。身体能力を限界まで振り絞った亜人の連撃を繰り出し、まずは一発目を背中に命中させた。
 そして間髪入れず二発目を脇腹へ――一発目の攻撃でクマが体勢を崩したために僅かに急所を外したが身体に当てることには成功した。
「っ……なんて頑丈な身体してるんだ、よ!」
 ラストの三発目を繰り出す恋だったが、太い腕に振り払われ強い打撃には至らず素早く後方へと距離を取る。
「あーあ、もっと暴れたかったな~」
「そんなこと言ってないで、まずは手当てが先よ」
 クマの反撃をサイ・ドローンの刃で防いで時間を稼いだ摩耶は、手が届くところまで来た恋を岩や樹木が積み重なった壁の内側に引っ張り込む。
 この即席の壁はパワードスーツW・D・P・S【FPS82-リトルドール】で摩耶が作った防御壁だ。
「まあこれくらいの怪我なら直ぐ治るわね」
 クマの爪が掠めたのか血の滲む恋の腕にヒーリングを施す。
 その間にも戦いは続いていた。
 エイミングと射撃スキルを以って後衛を担当するアインがグラビティカノンを構えて狙撃する。
 肩に命中したものの致命傷には至らず、ボス熊は痛みと怒りに咆哮し空気を揺らした。
「――っ、……うるさい」
 図体がデカい割に喚くボス熊をアインは鋭い視線でロックオンすると、続け様にFPW5-トールハンマーを放った。
 ボス熊に向かって伸びる放射状の電撃。
 それは負傷した肩を掠め更なる激痛を与えたのだった。
「グゥオオオオオオ!!!」
 野太い悲鳴が密林を駆け巡る。
 そしてボス熊の分厚い筋肉がメキメキと軋み始めると倍近くに膨らみいよいよモンスターのような姿へと変貌した。
 しかし、息苦しそうな息遣いに違和感を覚える。回復しパワーアップしたというよりも無理矢理に最後の力を振り絞っているように思えた。
「みんな、もう少しだよ! 踏ん張って!」
 秀の激励に皆の集中力が増す。
「パテルがみんなを、守る……!」
 口の中で噛み締めるように呟くパテル。
「わたしも加勢します!」
 ゴーストマネジメントで異能力強化したアミルが加わり、二人のシャドーマネージャーが炸裂する。
 続けて秀がアンチシールドレーザーで畳み掛けた――。
 ボス熊は複数の攻撃を避けるどころか強化した肉体を盾にして構わず突き進んでくる。
 ロステクの影響を受け過ぎたための副作用か、自我を失ったゾンビのようなこの動きには不気味さがあった。
 これはボス熊も誤算だっただろう。知能がマヒしている分、隙だらけだ。
 攻撃を受けて使いものにならない腕をそのままぶらぶらと振り回しながら体当たりする巨体に、この場に集ったメンバー全員で最後の攻撃を仕掛け、漸くボス熊を泉に沈めることができたのだった――。

 騒ぎを聞きつけ、密林に散っていた他の探索メンバーも合流し、泉の調査が開始された。
 ボス熊の肉体強化を目の当たりにしていたメンバーは、この泉に何かあると踏んだのだ。
「黄金ではないけど、きっと謎が隠されてると思うんだよね」
 科学者としての血が騒ぐトスタノは湧き水の成分分析に取り掛かる。
 空兎もコンピューターでの解析に加わり、泉周辺を歩き回った。
「黄金の泉の噂も出回ったばかりとお聞きしましたが、常に黄金に輝いているとは限らないかもしれませんね」
 呟くように言葉を紡ぐ空兎に、ライナルトも同意を示した。
「俺もそう思う。泉の存在自体そう多くねえからな。常に黄金に輝いてたとしたら密林に入った俺達の誰かが気付いても良さそうなもんだ」
「流石に目立ちそうですもんね……。何かあるとするなら、泉の底が気になるところですが……」
「よし、ちょっと泳ぐか。解析は頼むぜ」
「えっ――!?」
 まだ泉に入るのは危険だと空兎が止めるより早く、ライナルトは上を脱ぎ捨てるなり泉に飛び込んだ。
 それを見ていたトスタノが少し興奮気味に言う。
「情報通り怖いもの知らずだね!」
「言ってる場合ですか!? とにかく早く呼び戻さなくては――」
 と、心配を余所に泉の中から顔を出したライナルトは片手を持ち上げ何かを投げて寄こした。
 それを両手で受け止めたトスタノは、空兎と一緒にソレに視線を落とす。
 手の平の上にあったのは、石ころくらいの固い物体だった。
 見た目では黒く焦げたような何かの部品の欠片のようにも見えるが、小さすぎてなんなのか正直判断がつかない。
 ライナルトが言うには、泉の底に同じような物体が複数散らばっているとのこと。
「――うーん、なんか溶けた痕跡があるね……でもここでの解析はこれ以上は無理みたい」
 物体を調べてみたものの、トスタノの言う通りもっと設備の整った場所で調べなければ解明には至らないようだ。
 皆で話し合った結果、この場での調査は困難という結論に達し、少しの水と石ころのような固形物を回収し撤退することにした。
 こうして未開拓地の調査を終えたメンバーは密林を無事に抜け出し各々帰路につくのだった。




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