クリエイティブRPG

新クレギオン

深き密林に紛れしモノ

リアクション公開中!

深き密林に紛れしモノ
【!】このシナリオは同世界以外の装備が制限されたシナリオです。
リアクション
First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10  Next Last




 * 未開拓地の探索・Ⅳ *



 密林に入って三時間近く経過しただろうか。
 未踏地域のため足場が悪いのは当然ながら、凶暴化したクマにも警戒しつつ探索するのはなかなかに時間を要した。
「そろそろ何か出てきても良さそうですが……そっちの様子はどうですか?」
 クラウス・和賀の問い掛けに、ウェアラブルコンピューターでマッピングしていたサトリ・エッシェンバッハが顔を上げた。
「そうですわね……まだ決定的な場所は把握できませんが、野生動物が罠に掛かってくだされば進展も望めますわ」
 そう断言するサトリの少し後方で、時折地に膝をつけては精密探査をするコイシ・エッシェンバッハに二人は目を向けた。
 コイシは気にせず今度は単分子刀で木を伐り倒しては年輪を調べ始める。
 黄金の泉が密林の発生に関わってくるのであれば、泉は植物に対して成長を促進させる効果があるはずと推測するコイシ。その泉に近い程成長促進の効果を受けている可能性が高い。
 現に、奥地に踏み込むにつれ木々が太く長く伸び、空を覆い尽くしているように思う。
 そこへ、周囲を見張っていたアミル・ヴィシャーナが焦った様子で駆け込んできた。
「みなさん直ぐに隠れてください!」
 リスクプレダクションの予知能力で一瞬時間を稼いだアミルの声に、それぞれ瞬時に反応し、茂みや樹木の陰に身を隠す。
 その直後――地響きのような音が近付いてきた。
 皆の目に飛び込んできたソレは黒い巨体の猛獣で、クマというには程遠く常軌を逸した化け物のようだった。
 ――あれが本当にクマですかっ?
 という疑問が皆の表情から滲み出る。
 息を潜めていると、足を止めた猛獣は辺りを窺うようにぐるりと頭を巡らせ、ある樹木へと近付いていく。
 そこにはサトリが仕掛けていた塩分不足になりがちなクマの為の岩塩と、その周囲に猛獣用塗料罠が三つ設置してある。
 掛かれば良いと思っていたが、まさかこんな大物が掛かるとは……。
 戦闘の指揮を執るサトリは、人差し指を唇に添えて皆に合図を送る。
「――このまま様子を見ましょう――」
「「「――分かりました!――」」」
 猛獣は皆の視線を集めたまま樹木の前で動きを止めると、鋭い爪を太い幹に突き立て岩塩を木の皮諸共バリバリと剥ぎ取った。
 それをそのまま口に入れて数回の咀嚼で呑み下してしまう。
「なんて豪快……!」
 コイシの呟きに皆同意とばかりに生唾を飲み込んだ。
 作戦を遂行するためにはここは慎重に行動しなければならない。
 猛獣が立ち去るのを見届けてから四人は再び顔を突き合わせた。
 作戦立案にて全体の指揮を執るクラウスはメンバーに指示を出す。
「――というわけで、このまま作戦通りにいきます。泉まで気付かれないように細心の注意を払って行きましょう」
 猛獣が通った箇所に点々と残る塗料を目印に“足跡追跡大作戦”を開始する――。
「なるほど、上手く罠に掛かってくれたようだな」
「「「!!?」」」
 突然空から声が降ってきて腰を落とし警戒する四人の前に、木の上で様子を見ていたライナルトが悠然と着地した。
「あなた……驚かせないでください」
 胸を押さえて言うアミルにライナルトは「悪かった」と謝罪しながらもカラッと笑う。
 そんな彼にクラウスが一歩踏み込んだ。
「いつから居たんですか?」
「ついさっきだ。お前たちを探してたらヤツがいた。何か考えがあるんだろ?」
 一口乗せてくれと言いたげなライナルトの考察にクラウスは対抗策を講じるため頭をフル回転させる。
 此処にいる女性陣は皆美しく普通の男なら懐柔もできようが、ライナルトの視線は常に対話する相手――今はクラウスに真っ直ぐ向いている。
 こういう男は隙など見せず腹の探り合いに発展するのが落ちなのだ。
 それに今は時間が惜しい。
 クラウスは一つ息を吐き、政治家としてのスキルで真っ向勝負に出ることにした。
「此方が作戦を開示したら其方も情報を提供してくれますか? 可能ならロステクの融通も賜りたいところなので、その対価として此方が未開拓地探索に成功した場合その名誉を譲りますよ」
 暫しの沈黙の後、ライナルトの口端が緩く持ち上がった。
「悪いが、俺との交渉は時間の無駄だ。名誉なんてのには興味ねえし、俺がこの依頼を受けた理由もお前達と同じだからな」
「同じ? ロステクですか」
「黄金の泉だ。もう大半の奴が泉をロステクに関連付けて動いてるぜ。お前たちだけ連絡が取れなかったから直接伝えに来たんだよ」
 此処はどうやら電波が乱れているらしい。
 彼が自分達を探していた理由にクラウスは少し驚いた。
 そして話の続きはさっきの猛獣を追いながら話すというので行動を共にすることにした――。



First Prev  1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10  Next Last