「みなさん、元気だねー。でも、周りに迷惑を掛けるのは感心出来ないなー」
桑田 輝者は、ロボットや機甲士の構造上弱い箇所をアームガンで狙い撃ちしていく。
外部ネットと繋がっていない機甲士をどうやってハッキングした原因は分からないが、だからと言って未だに暴走する機械に手を出さない訳にはいかない。
事態が事態なので、敵を無効化しながら消去対応する作戦に出た。
だが、彼にはある思いもあった。
「ところで、お前。自分達を追い詰めた政府に復讐したいと考えているのだろ? だったら、誰かの力になろうとは思わないのか?」 エネミーは輝者の言葉に応じず、ただ襲うだけだった。
それどころか、輝者の言葉が彼の逆鱗に触れたのか、更に攻撃性が増した気がした。
「おっと、残念ながら相手には話が通じない様だな」
輝者は止むを得ず敵の四肢を破壊した。ピクピクと動いており、まだ抵抗している様だが、痙攣している風に見えた。しかし、しばらくしたら、動きは停止した。
「全部片付いたら安く診てやるからな」
輝者は、機能停止した機甲士のポケットに自分の名刺を入れると、その場から立ち去って行った。
全てが終わったら、持ち主が復旧しに来てくれるだろう。そんな期待を込めながら。
「ロボットなどの電子機器はともかく、ネットから断絶されている機甲士が暴走するなんて、凄い話だな」
「先輩、世の中には金をケチって、得体のしれない中古や、中には公園で拾ったメモリーカードを、そこそこ高価な機器のスロットに差し込んで……取返しのつかない損害を自分で招いちゃう人もあるってことです。恐らく、機甲士の暴走もそれが原因かと」
「あぁ、それなら合点がいく。なら停止した後で原因を調べていくぞ」
ケヴィン・ローウェルは、ボディの制御を無線では動作しないように無線を切り、ケーブル端子の差込口などもダミーのジャック差し込んだ上に布ガムテープで絶縁、不必要な接続をされない様にした。
そして、ハッキングに対し、ハッキング返しを狙って、機能停止の命令を書き込むUSBメモリをいくつか用意した。
「……とはいえ、さすがに暴走している相手に、いきなりUSBメモリを入れることは出来ないよな」
という訳で、先にケヴィンがアームガンのDW04-パワーショットを撃って、敵のボディを一部破損させた。
弾は何発か命中して、手足が破損されて、敵はその場に倒れたが、未だに足掻いていた。
その間に、ケヴィンの後輩・
リロイ・ブラウンが電子機器類の電源を安全に落としていく。
すると、機甲士の目から光が消えて、動きも収まった。
「どうやら、作戦は上手くいったみたいですね」
その後、メモリの挿入口を開けてみると、案の定メモリーカードが差し込まれていた。
「どうやら、このカードが今回の暴走の原因みたいですね」
「あぁ、その様だ。これは皆に報告した方が良さそうだな」
という訳で、リロイがアナログな通信機を使って、皆に連絡した。
「機甲士の挿入口にメモリーカードがありました。皆さん、停止した機甲士から似た様なものがないか調べてください」
リロイの言葉を受けて、一同が機甲士のボディを調べたところ、全てのボディにメモリーカードが差し込まれていた。
これが原因で、機甲士は暴走していた様だ。
その後、肝心のメモリーカードは全て回収されて、政府に報告した。
また、ヨシュアが作った復旧プログラムのおかげで、ほとんどのデータは無事に復旧された。